表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/127

~第53話 宿敵~

 玉藻とまるで姉妹のようによく似た美しい金髪であるが、ロングヘアーの玉藻に対してショートカット、青い海の色のような碧眼、やや全体的に豊満で肉付きのいい玉藻に比べると逆に痩せすぎなくらいに肉があまりついていないもののスタイルのいい長身の身体。


 十人中十人が彼女を見れば美人であると言うであろう文句ない美貌の麗人にして、長年の玉藻の相棒にして親友にして、悪友であるミネルヴァ・スクナーは、玉藻がマンション自宅の扉を開けるやずかずかと部屋の中に入り込んで来て、キッチンまで行くと霊蔵庫を勝手に開ける。


 手なれた様子で中からドワーフ族お勧めの某有名メーカーの黒ビール缶を取り出して栓を開けると一気にごくごくと飲みほし、がんとテーブルの上にたたきつける。


 そして、半泣きの表情を浮かべると、バスタオル一枚で濡れそぼった髪のまま呆れた表情で見つめ続ける玉藻のほうをきっと睨みつけ叫ぶのだった。


「玉藻聞いてよ〜、うちの家族ひどいんだお〜・・私だけ知らなかったのよ〜」


 そう言って『うあ〜ん』とテーブルに突っ伏して泣きだすミネルヴァ。


 いつものことで見慣れているとはいえ、いい加減にしてほしいと怒りと呆れの入り混じった表情で相棒を見つめ続けていた玉藻だったが、どうせ、しばらく勝手にやっているんだろうと思って、ついでにいまのうちに本格的にシャワーを浴びてしまおうと風呂場に行こうとする。


 すると、それに気がついたミネルヴァがひしとその身体に抱きついてその動きを止めるのだった。


「ちょっと、たまちゃん、どこ行くのよ、ひどいよ、お願いだからあたしの話を聞いてよ〜〜〜!!」


「うっさい、酔っ払い、朝っぱらから酒かっくらって管巻くような友達を持った覚えはない!!」


「そんなこと言わないで、あたしの話聞いてば〜〜・・って、なに、あんたそのかっこ? 寒くないの?」


 今更ながらに玉藻の姿に気がついたミネルヴァが、きょとんとした表情を浮かべるが、その態度が玉藻の怒りをさらに煽り立てる。


「人がシャワー浴びているときに、ぴんぽんぴんぽん押したうえに、扉ブチ壊すとかとんでもないこと外で喚き散らすから慌てて風呂場からでてきたんでしょうが!! あんた、ほんとにいい加減にしないとぶっ飛ばして追い出すよ!!」


 これまで見たことないくらい怒り狂っている玉藻の様子に、流石に自分がかなりタイミングの悪いところにやってきていたことに気がついたミネルヴァは、誤魔化すように慌てて横を向く。


「あ、あ〜そうだったんだ、ごめんね、許してちょ、てへっ」


「てへっじゃないわ!!」


 あんまりどころか全然反省した様子を見せないミネルヴァを本気でぶっ飛ばしてやろうかと思う玉藻だったが、とりあえず、このままだと風邪をひいてしまいそうだったので、シャワーを浴びてくるからちょっと待ってろと言ってシャワーを浴びに風呂場に向かう。


 そして、風呂場に入って、蛇口をひねりシャワーからでる水がお湯に変わるのを確認してからシャワーの噴水口を頭上にかけて頭からお湯をかぶり始めた玉藻は、先程の自分と連夜が寸前までいっていた行為について思い出し、思わず自分の豊満な胸と女性の大事な部分に手をやって抑える。


(あ〜、もうちょっとだったのになあ・・)


 連夜自身の分身を自分の体の奥深くに迎え入れることを考えると、自然と身体が火照り、それと同時にそれが叶わなかったことがなんだか切なくなってくる。


 年下の恋人は、その行為の果てに自分との間に新しい命ができてしまうことについてすでに真剣に考えていて、もしできた場合についてもきちんとそれを乗り越える為にいろいろと対策を立ててくれているようで、それを考えるだけで物凄く嬉しいし幸せな気持ちになるが、だからこそ早くこの身体が彼のものであるという証を刻みこんでほしかった。


 もう他の誰かに抱かれることなど考えられもしないし、連夜の身体を誰か他の女のものになどくれてやるつもりはない。


(彼は私だけのものだ。そして、私は彼だけのものなんだ)


 思考は正気と狂気が行き来するが、不思議と連夜の顔を思い出すと狂気の色はなりを潜める。


 高校時代、不良を叩きのめしていたとき、走り抜ける破壊の快感のたびに狂気と共に自分の中の暗黒の象徴ともいうべき白面の狐が現れ、理性のタガが外れてしまったものだが、連夜と一緒にいるようになってから白面の狐までもが連夜に飼いならされていることを感じる。


 今でも邪悪な自分を感じるのだが、その邪悪な自分までも連夜は愛してくれているのを感じるのだ。

 

 愛してくれるのでも破壊してくれるのでもいいと、言外に言ってくれている連夜の狂おしいまでの愛を感じるたびにむしろ白面の狐が連夜だけは絶対に傷つけてはならないと言っているような気がする。


 自分の気のせいかもしれない・・いや、きっと気のせいではない。


 連夜はやはりそういう捨て身に近い愛で自分を愛してくれているのだ、どれだけ自分が傷ついても玉藻を愛していると言ってくれているのだ。


 そう思うと連夜への愛おしさが溢れて来て嬉しさが爆発してわけもわからず歓喜の叫びをあげそうになるのだが、逆にその連夜に抱かれるという幸せを味わう寸前で邪魔されたことが物凄く腹が立ってくる・・というか腸が煮えくり返ってくる。


(くっそ〜、やっぱり一発殴ってやろう!!)


 と、心に固く誓って蛇口をひねって止めると、風呂場を出てガシガシと乱暴に頭をバスタオルで拭いたあと身体も拭き、連夜が事前に用意してくれていた下着と普段着を荒々しく身につけると、ほげ〜〜っとビールをかっくらってるミネルヴァのところに進んでいって、物も言わずにスパーンと手に持ったスリッパでどつき倒す。


「いった〜〜〜〜〜〜い!! な、なにするのさ、たまちゃん!?」

 

 完全に油断しきっていたところの渾身の一撃に涙を浮かべながら苦悶の表情を浮かべて玉藻を見るミネルヴァだったが、玉藻はそんなもんしるかといわんばかりの憤怒の表情を浮かべてミネルヴァを睨みつける。


「うっさいわ、この馬鹿女!! もう、早く話したいこと話しなさいよ、そして、とっとと帰れ!!」


「うう、どうしたのたまちゃん、今日はやけに機嫌悪いみたいなんだけど・・は、まさか、あの日・・」


 スパンスパン、スパパーーン!!


 デリカシーの欠片もないことを口走ろうとするあほな親友の頭を、スリッパで容赦なく連続で張り倒す玉藻。


「ぎゃ〜〜〜〜〜!!」


「ぎゃ〜〜じゃないわよ!! あんた、そんだけ美人のくせしてなんでそんなに品がないのよ? あんたのシンパ達にその本性を見せてやりたいわ、ったく」


 頭を抱えて床の上をごろごろと転がっていくミネルヴァを呆れ果ててみていた玉藻だったが、怒るのに疲れたのかふ〜〜っと大きな溜息をついて霊蔵庫からミネラルウォーターを出して自分のコップに注ぎこみ、ごくごくと飲みほす。


 それを見ていたミネルヴァが、ミネラルウォーターの入っているガラス瓶を取り上げるとそのまま口をつけて自身もごくごくと飲みほすのだった。


「ちょっと待てい!! あんた、それもう私飲めないじゃないのよ!!」


「いいじゃん、ちゃんと全部飲むから」


「そういう問題じゃ・・ああ、もういいわ、とにかく座って話したいこと話しなさいよ。言っとくけど、私今日は本当に忙しいから昼までしか付き合えないからね。昼過ぎにはあんた追い出すからそのつもりでいなさいよ」


 呆れ果てた様子で投げ遣りな口調で言う玉藻だったが、その目は全然笑ってないことを見て取ったミネルヴァは急いで玉藻の対面に座り口を開く。


「あのさ・・私昨日の深夜0時過ぎてからいつものように長期バイトから帰ってきたんだけどさ、そしたら連夜がいなかったのよね。それだけじゃなくて、遠征から帰ってきてるはずのダイの姿もないし、本当だったらいるはずのスカサハと晴美ちゃんの姿もなかったのよ」


「へ? 晴美も!?」


 連夜がいない理由については知っていた玉藻だったが、晴美までいないということについては初耳だった玉藻が驚いた表情を浮かべると、ミネルヴァは得たりとばかりに頷く。


「そうなのよ。連夜はまあ停学中だから、数多くいる師匠の誰かのところにいってるかなということもありえるし、ダイはまあもう社会人で恋人もいるわけだからいなくても気にならないけど、スカサハと晴美ちゃんは学校があるわけじゃない? いくらなんでもおかしいじゃない? まあ、確認しようにもうちのお父さんもお母さんも寝ちゃっているから確認できないしね、明日の朝確認すればいいかってそのときは寝たんだけど・・」


 そう言って一度ガラス瓶をあおってごくごくと一度ミネラルウォーターを飲んで喉をうるおし、また口を開く。


「夜中の二時をまわったころかな、なんかうちの両親が起きている気配がして私も起きてリビングに行ったんだけどさ、そこでお父さんが誰かと念話でしゃべっているのが見えて、お母さんはお母さんで携帯念話で中央庁の誰かと話ているし、いったい何事かと思っていたらさあ、お父さんの話の中で連夜がどうの、重傷の怪我人がどうの、『アルカディア』がどうの、って単語が聞こえてきて、そしたら、横で聞いてるお母さんは、お父さんに『スウちゃんと晴美ちゃんは帰ってきたら勝手にレンちゃんについて行ったことについてたっぷりお説教するからダイちゃんに絶対逃がさないように連れて帰ってくるように伝えてくださいね』ってもうすっごい怒った表情でいってるし・・とりあえず詳しい事情はわからなかったけどさ、私一人事情を知らなかったてことだけはわかって・・」


 そこまで言うと、ミネルヴァは本当に珍しいことにしくしくと本気で泣きだしてしまったのだった。


 酒が入って管を巻いて泣くことは結構あるが、それはミネルヴァが軽度の泣き上戸だからであって酒が抜けるとけろりとしていることから、放っておけばいいのだが、今のミネルヴァはどうみても本気で泣いているようだった。


 久しぶりに見た親友の本気の涙に、少々戸惑った玉藻だったがすぐに立ち上がってミネルヴァの側に行くとその背中を優しくさすってやる。


「ショックなのはわかるけど、ちょっと落ち着きなさいって、あんたが長期バイトに行ってる間のことだったんでしょ? 連絡方法がなくて伝えられなかっただけだと思うわよ。あんたのところの家族って珍しくみんな仲いいし、あんただけ仲間外れにしようと思ってしたんじゃないでしょ」


 そう言うと、ミネルヴァはふるふると首を振る。


 玉藻はその否定の意味がわからず、小首をかしげながらミネルヴァを見て問い掛けてみる。


「え、家族に仲間外れにされたことがショックなんじゃないの?」


「うん、それもまあショックには違いないんだけど、もっとショックなことがあるんだもん」


「何よ?」


「あのあとお父さんは出かけちゃったんだけど、お母さんは残っていたから、捕まえて必死に口を割らせたのよ。今回の事件がなんだったのか。そしたら、しぶしぶ話してくれたんだけど・・お父さんの仕事の関係で連夜が少数の友達とだけで、封鎖されている交易路を通って『アルカディア』に行っていたっていうのよ・・」


「あ、アルカディアですって!? ちょ、待って、それって『王』クラスの『害獣』や謎の襲撃者が出没している交易路じゃないの!?」


 ミネルヴァの口から出た衝撃の真実に思わず驚愕の声を上げる玉藻。


 確かに連夜は何か危険を犯していたようなことを言っていたが、まさかそんな恐ろしい冒険の旅に出ていたとは・・


 そこで思い出されるのは数週間前に連夜が出会ったという『金色の王獣』のこと。


 あれだけの恐怖を植え付ける相手が出没する交易路に再び連夜は飛び出して行き、そして帰ってきたのだ。


 まとまった金を稼ぐために。


 そんな危険を犯してまで得ようとしたものが自分との将来であることはわかっている。


 嬉しくないわけがない、幸せを感じないわけがない、愛しい恋人はそこまで命を張ってでも自分との将来を考えそれを掴みとってくれたのだ。


 全ては自分を守るために。


 しかし、もし連夜自身に何かあったらどうするのか?


 自分がどれだけの悲しみの海に、あるいは絶望の地獄に突き落とされるかわかっているのか?


 怒りと悲しみで身体が震えそうになる・・が、急に玉藻は何かに思い当たる。


 あれだけ自分と生きることを熱望している連夜がそこまでの危ない橋を渡るだろうか?


 ひょっとすると連夜には何か十分な勝算のある上での冒険だったのではないだろうか?


 幸い今日の晩、連夜と会うことになっている、じっくりと恋人の言い訳とやらを聞いてやるとしようではないか。


 それに連夜は生きて無事に帰ってきたのだ、もし万が一次があるとしても、もう自分にはそれがわかる自信がある。


 二度とはさせない、本気で止めにかかる自分を跳ね除けることなど、あの恋人にできるはずがない。


 縛りつけてでも、気絶させてでも、半殺しにしてでも止める、絶対に行かせたりしない。


 そう自分自身に固く誓うと急速に怒りは引いて行って冷静な自分が残り、玉藻は再び表情をもどすとミネルヴァに先を促すのだった。


「それで、その危険な交易路に行ってどうしたの? もう戻ってきたのよね?」


「うん、戻ってきちゃった・・」


「戻ってきちゃったって、何その不満そうな顔・・無事帰ってきたのが不満なの?」


 顔を顰めて玉藻が聞くと、ミネルヴァはまたもやふるふると首を横にふる。


 流石の玉藻もそろそろ限界にきて、額に青筋をたててすらりと組んだ足を盛大にいらいらと貧乏ゆすりさせながら厳しい口調で、いつまでもはっきりしないミネルヴァに問い掛ける。


「あんたさあ、結局何が不満なわけよ? どうしてほしかったのよ?」


「・・私も連夜と行きたかった」


「は?」


 何か非常に不吉極まりないことを聞いたような気がして、玉藻は目の前でもじもじと気持ち悪く身体をくねらせているミネルヴァに問い掛け直す。


「何言ってるの? あ〜、わかった『アルカディア』に行きたかったてことか。海でもみたかったの?」


「違う!! 連夜と一緒に旅行したかったの!! 連夜と一緒に二人きりで運転席でいちゃいちゃしたり、露天風呂に入ったり、ご飯食べたり、ショッピングしたり・・あと、その・・一緒に寝たり」


 スパパン、スパパン、スパパパパパーーン!!


 両手に持ったスリッパで二刀流乱れうちを、容赦なくミネルヴァの頭ではなく顔面にくらわせる玉藻。


「いたたたたたたっ!! 痛い!! 本気で痛い!! ちょ、たまちゃん、それはやりすぎ!! もうツッコミになってないよ!!」


「たわけ!! ツッコミじゃないわ、本気で殴ってるって気づけ、この変態!! あんたあれだけ連夜くんにこのまえ拒絶されたのに、まだ諦めてなかったの!?」


 本気で痛がって鼻を押さえるミネルヴァに、こっちも本気で怒った表情を浮かべて睨みつける玉藻。


 玉藻がそういう反応をするであろうとある程度予想していたのか、ミネルヴァは顔面を殴られたことに対しては怒ろうとせず、むしろ身体を縮めて玉藻の非難の視線をさけるように目線を泳がせる。


「だ、だって・・」


「だってじゃないでしょうが!? もう〜、あんたほんとにおかしいよ、いったいどうしたの? 何かあったの? 私、連夜くんと本格的に会うようになったの最近だから、昔のあんたと連夜くんの仲がどうだったのか知らないけどさ、これまでもずっとこうだったわけ?」


 流石の玉藻もここにきて親友が自分の弟に向けている愛情が家族愛だけではないと確信し、放っておくわけにはいかないので厳しく追及することにする。


 すると、ミネルヴァはふるふると首を横に振り、見たこともないような弱々しい表情を浮かべて玉藻を見つめる。


 玉藻は、ミネルヴァが何か言いたそうにしていることを察し、黙って見つめていたが、よっぽど言いにくいことなのか、口を開いては閉じて、開いては閉じてを繰り返し一向にしゃべろうとはしない。


 しかし、やがて、沈黙に耐えかねたのかとうとう重い口を開くのだった。


「玉藻・・あたしさ」


「うん」


「あたしのことを本気で好きで、絶対幸せにするからって言ってくれていた人がいたんだけど」


「うん」


「・・とうとう、この前一線を越えちゃったんだ」


「あ〜、そう、よかったね・・って、えええええええええっ!?」




〜〜〜第52話 宿敵〜〜〜




 ミネルヴァがさらっと口にち出した内容をそのままよく吟味せずに普通に流しかけた玉藻だったが、すぐにその内容の重大さに気づいて驚愕の声を上げる。


 そして、目の前の親友を見ると顔を真っ赤にして俯いてしまっているではないか。


 いきなりの意外過ぎる急展開に呆気に取られる玉藻だったが、自分の予想とは違い、話の流れがいい方向に流れていっているので表情を和らげて優しい表情でミネルヴァを見つめる。


「な〜んだ、そうだったの。もう、紛らわしいこと言うからてっきり連夜くんとの禁断の姉弟愛に走る気かと思ったけど、そうじゃなかったのね。あ〜、よかった安心した。とりあえず、おめでとうミネルヴァ。お幸せにね」


「いや、あの・・待って、玉藻、お願いだから、最後まであたしの話を聞いて・・」


「え、何よ、その人との惚気話でもしようっていうの?」


 なんだか暗い声で自分の祝福の声をさえぎるミネルヴァに、怪訝そうな視線を向けると、ミネルヴァはなんと再び本気泣きを始めているではないか。


 そのミネルヴァの態度でまさかと思った玉藻は表情を引き締めてミネルヴァを問い詰める。


「ちょっとミネルヴァ、まさかあんたその男に騙されたとか?」


「ううん、騙されてない」


「じゃあ、振られたとか?」


「ううん、振られてないし、プロポーズもされた」


「冷たくあしらわれたとか、暴力ふるわれたとか?」


「物凄く優しいし、あたしのこと最優先で考えてくれる」


「って、何が不満なのよ!? 意味分からないんだけど!?」


 大切な親友のピンチかもしれないと思って勢い込んで聞いてはみたものの、自分の予想とは正反対の答えが次々とあがり、玉藻はとうとう匙を投げてしまう。


 そして、もう知らんとばかりにリビングに行こうとする玉藻だったが、滝のように涙を流すミネルヴァがその腰にタックルしてきて動きを止められてしまうのだった。


「たまちゃん、聞いてよ〜〜!!」


「あ〜、もうほんとにあんためんどくさいわ。言いたいことがあるならはっきり言ってよはっきり。もうこれ以上ぼかすなら私もうテレビ見るからね」


「ううう・・じゃあ、話すからちゃんと聞いてね・・」


 ぐずぐずいうミネルヴァの姿を見た玉藻は、溜息を一ついついて仕方なく再びテーブルにもどり、玉藻がテーブルについたのを確認したミネルヴァは、涙を流しながら語り始めるのだった。


「あたしもさあ、その人のこと嫌いじゃなかったのよね。他の男みたいにあたしのこと上から見下したり、一方的に自分の都合押し付けたりしない人だったし、何よりもあたしのこと最優先で考えてくれるし・・この人ならいいかって、抱かれたんだけど・・だめだったの」


「何が?」


「その人に抱かれたときに、あたしその人を見ることができなかったの。違う人のこと考えてたの。最初から最後まで目の前にいるその人のことなんかこれっぽっちも考えなかったのよ、ずっとず〜っと、別の人のこと考えてた。それでわかったの、この目の前にいる人じゃダメなんだって。そして気づいたの、あたしが本当に愛しているのが誰なのかってことが」


 涙を流しながら悲しげに語る親友であったが、徐々にその顔が上気してきているのに気づき、玉藻は非常に得体の知れない不安が込み上げてくるのを感じてぶるっと震える。


 そして、ミネルヴァが何を言おうとしているのか悟ってしまうと、恐怖に満ちた表情で慌ててそれを口にしないように止めにかかるのだった。


「あたしが・・あたしが愛している人は・・」


「いや、ちょっと待てミネルヴァ。言わなくていいから。それは心の奥底に沈めて厳重に鍵をかけて決して外に出さないようにしなさい」


「無理」


「無理って言うな!! だいたいあんたが言おうとしている内容そのものが、そもそも無理でしょうが!!」


「だって、もうわかっちゃったんだもん、自覚しちゃったんだもん、しょうがないじゃない!!」


「忘れろ!! 思い出すな!! そして、いますぐあんたが一線越えた相手のところにいって一緒に教会に飛び込んでこい。今からでも遅くないから、ね」


「やだやだやだ、もう絶対無理!! あたしが愛しているのは、連夜なんだもん!!」


 こ、こいつとうとう言いやがった・・と、いう表情を隠そうともせず玉藻は怒りと嫌悪をにじませながら正面にいるミネルヴァの顔を睨みつけるが、ミネルヴァはとうとうあたし言っちゃったみたいな、妙に赤くなってやたら照れるばかりで全然玉藻の様子に気が付いておらず、見ている玉藻の心にふつふつと殺意がわいてくるのだった。


「あんた一回死んでみる?」


「なんで!? 物凄い純愛なのに!?」


「やかましいわ、あんた連夜くんの気持ちになって考えてみなさいよね、連夜くんはあんたのことをお姉ちゃんとして好きなのよ? 大事な家族だって思っているのよ? その気持ちを踏みにじるつもりか、あんたは」


 その言葉に、ミネルヴァは一気にず〜〜んっと表情を落ち込ませる。


 一応自分の愛が不毛であり弟を傷つける結果になるということだけはミネルヴァは自覚しているようで、それだけは救いだなと玉藻は嘆息するのだった。


 いくらなんでも連夜に嫌われるとはっきりわかれば諦めてくれるだろうと思った玉藻だったが、今日のミネルヴァはかなり違っていた。


 なんだか非常に思いつめた表情を浮かべて玉藻のほうをじっと見つめる。


「玉藻さ〜、あたしと友達になる前のこと覚えてる?」


「いきなり何よ。小学校の頃のこと? あんた当時から男からも女からもモテモテだったじゃない。奪い合いされるほど」


 突然また違う話題を振ってきた親友に戸惑いの表情を浮かべた玉藻だったが、連夜の話をされるよりはマシかと思って話を合わせる。


 そう、玉藻とミネルヴァが出会ったのは小学校四年生の頃。


 当時すでに同じクラスであったが、二人はクラスメイトというだけでほとんど声を掛け合うこともない間柄であった。


 そんな二人が知り合い親密になるきっかけは、当時からモテモテだったミネルヴァを巡りその寵愛を誰が独占するかでクラス内で看過できないほどの争いが勃発してしまったことで、それに巻き込まれる形になった玉藻が大爆発。


 普段からおとなしくて目立たない娘としてほとんどのクラスメイト達から空気のような扱いをされてきており、玉藻としてもうるさくつきまとわれるよりは放っておかれたほうがいいと思っていただけにこの争いにも参加せずに静観を決め込んでいたのだが、自分と同じように静観を決め込んでいる関係のない子供達まで巻き込まれ怪我をしていく様子に激怒し、片っぱしから力づくで争いに参加している者達を黙らせていったのである。


 このときのことを思い出すたびに、ミネルヴァは『玉藻は当時から風紀委員体質だった』とコメントするのだが。


 これによってミネルヴァ争奪戦争は収集されたもののクラスメイト達の敵意は玉藻に集中、壮絶ないじめが開始されると予想されたが、ミネルヴァが玉藻に手を出す奴は友達の縁を切るときっぱりクラスメイト達に断言することでそれも回避され、そのことから玉藻とミネルヴァの仲は急速に接近していったのだが・・


 改めて思い出してみると、自分とつるむようになる前のミネルヴァには取り巻きは多くいたが、親しいといえる友人はいなかった気がする。


「そういえば、あんたって友達らしい友達いなかったわねえ・・まあ、私もそうなんだけどさ」


 腕組みをして小首をかしげて考えてみる玉藻だったが、やはりミネルヴァにそういう親しい友達がいたという記憶がなく、玉藻の確認するような言葉にミネルヴァも大きく頷いて肯定してみせる。


「そうなのよねえ・・ほんと寂しかったわあ。なんかアイドルみたいな扱いでさ、誰もほんとのあたしのことなんか見てくれない、外面ばっかり見て褒められてもねえ嬉しくもなんともないし、それどころかちょっとふざけてみせようとすると、イメージと違うからやめてとかいって自分達の勝手に作り上げたイメージ押し付けてくるし、もうず〜〜っと気を使ってないといけないから苦痛で苦痛で」


 当時のことを思い出したのか『はふ〜〜っ』と大きく深く溜息を吐きだすミネルヴァ。


「でも、あんたそんな風には微塵もみえなかったわよ。むしろすごくうまくあしらっていたようにみえたけど」


「そこよ、そこなのよ。あたしの根底にあって未だにあたしを支え続けている部分」


 豪放磊落、唯我独尊の友人が珍しく頭を抱えてしまっているが、玉藻にもそのミネルヴァの支えの正体がわかってしまい頭を抱えそうになる。


 なぜなら、自分もミネルヴァに出会う前は、実の妹である晴美を心の支えにしていたからだ。


 ということは・・


「え、ちょっと待って、まさか、その支えって・・」


「うん、連夜なのよ」


 ミネルヴァのあっさりとした告白に、お互い違う意味でず〜んと落ち込む二人。


「学校終わって家に帰ってもさ、大概両親は仕事でいなかったし、兄の大治郎は他の友達と遊びに出かけていていなかったしね。だけど連夜だけはいつもあたしが帰ってくるのを待っていてくれたのよねえ。それもあたしが落ち込んで帰ってくる日に限って家にいてくれて、ソファでしくしく泣いているといつのまにかやってきてあたしが泣きやむまで黙って側にいてくれたのよ。あれだけでもずいぶん救われたわあ。『大丈夫、本当のみ〜ちゃんは僕がちゃんとわかってるから。僕み〜ちゃんのこと大好きだもん』ってさ。ああ、あたしがあたしでいられる場所が最低でも一つはここにある、学校になくてもここに帰ってくればあたしはあたしでいられるんだって、そう思ったらアイドル扱いされることにも乗り越えられるようになったのよねえ」


 泣きそうな顔なのに非常に幸せそうな表情で語っているミネルヴァの姿を見ていると、流石の玉藻もツッコムことができなくなってしまい憮然とした表情を浮かべたままむっつりと黙り込むばかり。


「玉藻と出会ってあたしがあたしでいられるようになってからもずっと連夜はあたしの側にあってあたしを支え続けてくれたわ。それなのにさ、あたし馬鹿だからそれは姉と弟の家族としての愛情で、それ以上でもそれ以下でもないって自分を誤魔化して、全然気が付いてない振りしていたんだけど・・あの人に抱かれてみてようやくわかったというか、改めて気付かされちゃった。ああ、違うんだ、あたしが抱かれたいのはこの人じゃないんだ、あたしを支え続けてくれている連夜に抱かれたかったんだって・・」


「自覚しないでよ、そういうことを・・」


 ミネルヴァの一世一代の告白をげんなりした表情で聞き終えた玉藻は、脱力しきって呟くのだった。


「あのさ〜、もう今更だからあんたの気持ちを否定したりはしないけど、それを自覚したからって連夜くんと結ばれることないんだよ? 姉弟で結婚なんてできないし、あんたの両親は承知しないだろうし、ましてや連夜くん自身が承知するわけないでしょうが」


 もういっそのこと連夜は自分と来年には結婚するという事実を突き付けてやろうかと思う玉藻だったが、ふと目の前のミネルヴァを見ると、今まで見たこともないような、しかし、自分自身はよ〜く知っている妖しい光を放つ目をしてこちらを見ていることに気がついた。


 そこには明らかに狂気の色がにじんでいる。


「ちょ、ミネルヴァ、何その目は・・」


「玉藻、今日ここに来たのはあんたに力を貸してほしかったからなんだよね・・」


「何させる気よ・・」


 物凄い不吉な予感が背中を走り抜けるのを感じ、猛烈にその内容を聞きたくなかったが、聞かなければ聞かないで得体のしれない不安に苛まれそうだったので勇気を振り絞って問い掛ける玉藻。


「あたしさ、最近よく城砦都市『ゴールデンハーベスト』に行ってるの知ってるよね?」


「あ〜、うん、バイトで行ってるのは知ってるけど、それが何?」


「あそこの市民権を得るためには、十年以上居住し定職についているものか、もしくは市民権を持つ親から生まれて来て都市の小学校、及び中学校を卒業したものか、それとも都市の中央庁が認めるほどに都市に貢献したものであるかのいずれかの場合でないと駄目なのよね。私の場合前の二つは当てはまらないから、残るは最後の一つで、もうこの一年近く必至で狩り続けたわよ・・都市が指名手配してる『害獣』を・・」


「は!? あんたそんな危ないことしてたの!?」


 とんでもないことを言い始めるミネルヴァに吃驚仰天する玉藻だったが、しかし、その意図が皆目見当がつかず困惑の表情を深めていく。


「そもそもなんで『嶺斬泊』じゃなくて、『ゴールデンハーベスト』の貢献度あげているの? そんな危ない思いまでして」


「だって・・『嶺斬泊』じゃできないんだもん」


「できないって、何が?」


 相変わらず意味不明の言動のミネルヴァを追及する玉藻だったが、ミネルヴァは顔を真赤にしてモジモジしながら、しかし、その目はどこか遠くをみつめ完全にイッテしまっていた。


「来週・・来週ね、ようやく市民権が発行されることが決定したの。そしたら、あたし、できるようになる」


「だから、何ができるのか、わかるように説明しなさいっての」


「・・結婚・・できるの」


「は? 誰とよ」


「連夜と」


 ミネルヴァの一言に部屋の中が静まり返る。


 何言ってるんだこいつ? という表情を浮かべたまま固まる玉藻に、何を想像しているのか不気味にふふふと笑い続けているミネルヴァ。


 そんなミネルヴァをしばらく固まったまま見つめていた玉藻だったが、急に非常に優しい、いや優しすぎる表情を浮かべてミネルヴァに近づくとその肩にそっと手を掛けてまるでガラスを扱うかのように慎重に言葉を選びながら声をかけるのだった。


「ミネルヴァ、いますぐ病院に行きましょうね。大丈夫、私、いいお医者さん知っているから。きっと治るから、諦めちゃだめよ」


「コラコラコラ!! 人を精神病患者みたいに扱うんじゃない!! あたしは正気だっつ〜の!!」


 自分の肩にかけられていた玉藻の手を振り払い、本気で怒りだすミネルヴァを呆気に取られて見つめる玉藻。


 確かにミネルヴァの瞳には正気の色が見える。


「え、だってわけわかんないこというんだもん。とうとうイッちゃったかと思って」


「違う違う!! あのね、あたしが城砦都市『ゴールデンハーベスト』の市民権にこだわったのは、あの都市特有のある法令があるからなの。それは『嶺斬泊』でも、『アルカディア』でも、『ストーンタワー』でも、『通転核』でも認められてはいないけれど、『ゴールデンハーベスト』でだけは唯一認められている法令・・それは・・」


「それは?」


「近親結婚許可の法令よ!!」


「な・・なぬううううううううううううううう!!」


 ミネルヴァの恐るべき本当の意図を悟った玉藻はあまりのショックに絶叫し、思わずよろよろと後ろに下がってしまう。


 そんな玉藻の様子を見て、まるで悪の秘密結社のボスのような邪悪な笑みを浮かべたミネルヴァは、玉藻よりも弱冠小さい胸(それでも同年代の女子大生の平均くらいはある)をそらしてみせるのだった。


「驚いたようね、玉藻・・この私の壮大な計画に」


「ま、まさか、あんたが・・大治郎さんとそんなに結婚したかったなんて・・」


「そう、あの筋肉逞しい腕に抱かれてみたかった・・って、なんでやねん!! 違うわ、あほ!! あんな筋肉ねこダルマはどうでもええねん!!」


「ご丁寧なボケツッコミありがとうございます」


「いえいえ、お粗末なボケツッコミで恐縮でございます」


 と、混乱している二人は立ち上がるとよくわからないながらもお互いに深々と頭を下げて礼をかわし、ふい〜〜〜っと椅子に座るのだったが、やがて、はっと気がついたミネルヴァが玉藻にくってかかる。


「いや、違うでしょうが、そうじゃなくて!!」


「え、なんの話しだっけ?」


「ちょ、あんたしっかり聞いていたくせにとぼけないでよね、ようするにあたしは来週から連夜と結婚できるようになるってことよ!!」


「ちっ・・」


「し、舌打ち!? たまちゃん、お願い、ほんとに真面目に聞いて」


「真面目に聞いていられるわけないでしょうが!! あんたほんとに何考えているのよ。馬鹿じゃないの? いや、馬鹿ね、超ド級のウルトラスーパー馬鹿だわ!!」


「ほめられちった」


「褒めてない!! 照れるな、気持ち悪い!!」


 はあはあと荒い息をついて舌戦を中断した二人は、期せずして同時にミネラルウォーターをごくごくと乾いた喉に流し込む。


 先に回復したミネルヴァが真剣な表情で口を開く。


「玉藻、あたしの一生に一度だけの本気のお願い。あんたを親友と見込んであたしの頼みを聞いて!!」


「まあ、言うだけ言ってみなさいよ。多分、即断ると思うけど」


「来週の日曜日に連夜を拉致って『ゴールデンハー・・」


「だが断る!!」


「断るのはやっ!!」


 人が一生に一度のお願いだと言ってるのに関わらず、もうきっぱりすっぱり断ってみせる玉藻を見て、物凄く傷ついた表情を浮かべるミネルヴァ。


「どうしてよ、あたしたち親友でしょ? 相棒でしょ? 修羅場を一緒に潜り抜けてきた掛け替えのない戦友でしょ?」


「犯罪を犯そうとしている友達を止めてあげるのが本当の親友ってものでしょうが!! だいたいね、あんたそんな方法で拉致しても連夜くんが頷くはずないでしょ!!」


「いや、そこは動けなくしておいて、ゆっくり時間をかけてあたしの身体にしか反応しないように連夜のまだ女を知らない身体に刻み込むから・・」 


「コラコラコラ!! どこのエロ漫画よ、それ!? 絶対無理だから、やめなさい、あきらめなさいってば。結婚できるといっても一方通行なんだから無理ってわかってるでしょ?」


 正論でなんとか説得しようとしている玉藻を涙目で睨みつけるようにしばらく見つめていたミネルヴァだったが、不意に立ち上がると来た時と同じようにずかずかと玄関に向かって歩き出した。


「ちょ、ミネルヴァどこに行くのよ!?」


「もういい、玉藻には頼まない、あたし一人で来週やってやる!! みてなさいよ、必ず連夜と結婚してみせるんだから!! 」


「ミネルヴァ、だめよ、考えなおして!!」


「玉藻のあほ〜〜!! もう頼まないんだから!!」


 と、素早く靴をはいて乱暴に玄関を開けたミネルヴァは、大きな足音をさせつつ去っていってしまった。


 茫然と誰もいなくなってしまった玄関を見つめていた玉藻だったが、がっくりと肩を落としてのろのろとキッチンのテーブルにもどろうとする。


 すると突然玄関の扉が開き、ミネルヴァが顔だけ出してきた。


 何事かと思っていると、何やらえらく照れくさそうに顔を赤らめながら口を開く。


「連夜との結婚式にはちゃんと呼ぶから出席してね。じゃあ、またね」


 と、やたら幸せそうな顔をして扉を閉めて今度こそ行ってしまった。


 玉藻は一瞬呆気に取られて玄関の扉を見つめていたが、憤怒の表情になると絶叫するのだった。


「絶対、阻止してやるんだからね!! あんたの思い通りになると思ったら、大間違いよ、ミネルヴァァァァァァァ!!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ