第26話 わしの名前はおひさまにゃ!!
猫としての本業であるお昼寝をしっかりとこなし、そろそろ太陽も傾きかけてきた時間。
温室に誰かが入ってきた。
「はあ…」
溜め息と共に入ってきたその人物は、猫が寝ている机のそばにある木の丸椅子に腰掛けた。
猫は寝起きのぼんやりとした頭で人物を見上げる。
とてもデカい人物……虎の獣人、ラドだ。
木の丸椅子が潰されそうな程の体躯がちょこんと座っている様子はなかなか面白い。
当人は足元にいる猫の存在に気付いていないようだ。
(ははーん、この温室の管理をしているのはラドだったのにゃ)
よく見てみれば、部屋の中は整然としていて隅にほこりなどが溜まっている様子もない。
手入れの行き届いた空間だ。
誰に披露するでもない空間をここまで整備するのは、ラドの気質によるものだろう。
(根っからの世話好きだにゃ~)
猫からの視線に気付いたのか、ラドが机の下をのぞき込んだ。咄嗟に目を瞑り、図らずも寝たふりの姿勢になってしまった。
「ここに居たのか…」
良く寝ているな、と言いながらラドが猫を優しく撫でる。
案外、手慣れていて優しい撫で方をする。
(静かで暖かくて最高だにゃ…)
大きな手で包まれるように顔周りを撫でられ、思わずゴロゴロと喉を鳴らした。
ラドが机の下に巨体を潜らせて、猫に顔をすり寄せる。頬でふわふわの毛並みを感じるくらいは許してやろう。
「太陽の匂いがするなあ………」
ふう、と一息ついてラドは体を起こした。
「“サニー”……またな…」
ボソ、っと呟いて温室を去っていく虎の声を、猫は聞き逃さなかった。
翌日、朝礼の時間。
城で働く者達を一所に集め、取り仕切るラドの肩に猫は登った。
ラドの顔に頭をぐいぐい押しつけ、アピールする。
(さあ、早く発表するにゃ!!)
「…………はあ……。……この猫を、“サニー”と名付けました。」
「にゃーー!!」




