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第23話 朝のかわいいにゃんこルーティーンにゃ!


冬の早朝、まだ暖炉さえも凍えている中、せっせと動き回っているのは下働きの厨房係たち。


灰色の毛玉は朝食をもらうため、いつものようにここを訪れていた。


「ンニャアーオ」


甘えるように声を出せば、厨房を仕切っている恰幅の良い狸の獣人がチラリと目を向ける。


「ああ、来たのかい」


女が差し出した皿には、猫用のフードと、少量の茹でた白菜と人参が一口サイズになって添えられている。


「ンニャ!」


「いただきますって言ってるつもりなのかねえ?」


可愛いね、と頭をひと撫でして、女はまたキッチンに向かった。

灰色猫はこの厨房長が好きだ。毎日食べ物を用意してくれるし、無駄に構ってきたりもしないからだ。


(茹でた白菜と人参も美味しいにゃあ~)


あっという間に朝食を食べ終わり、さて今日はどこで暖を取ろうと顔を毛づくろいしていると、あの女から声をかけられた。


「にゃんちゃん!ほら、これ」


なんと女は追加の皿にささみを乗せ、「サービスだよ」と笑った。

そういえば飲み忘れていた水も横に付けてくれた。


灰色の毛玉は歓喜して皿に飛びついた。ガツガツとささみを食べる。


「ンナンナ」


「んん?喋ってるのかい?」


(おっと、うますぎて声が漏れちゃってたにゃ)


「はは、可愛いねえ。またいつでもおいで」


擬態のために3本を絡ませて一本に見えるようにした尻尾を上機嫌に掲げて、本日の寛ぎ場所を探しに向かう。


まずは厨房から出て、いつも扉がうっすら開いている無防備極まりない人間の部屋。


(やっぱりにゃ。今日も開いてるにゃ)


使用人用の4人部屋の手前、侍女たちが寝る部屋のひとつ。

扉の隙間に手を滑らせて開け、お気に入りのベッドに飛び乗る。


「う゛えッ!!」


汚い悲鳴を上げて部屋の住人が目を覚ます。


「もーーー痛いーー…」

「起きなくていいのかにゃ?いつもより遅いにゃ」

「うえ!?わっ!!寝坊したあっ!?」


騒がしい人間、オリーヴを善意で起こす。


「にゃんちゃん、朝のご飯食べれた!?」


この侍女頭はかなりおっちょこちょいで緊張感に欠けているけど、自分が大変な時でも他人を思いやる事のできる優しい人間にゃ。


灰色の猫は「食べれたにゃ~」と返事をしながら、オリーヴが出た後の体温が残ってる布団に横になった。


オリーヴがばたばたと部屋から出ると、他の侍女2人が揃っていたようで、年上で侍女としての経験が長いドナはオリーヴを「遅い!」と叱ったようだ。


「はい!ごめんなさい!」


一方、ドナの隣で興味なさそうにしているのはクレア。こちらはオリーヴよりいくつも若く、あまり口数が多くない。


三者三様だにゃあ~


と、呑気にあくびをしながら、猫は朝の二度寝に入っていくのだった。



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