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ヘルダイバー

ニルヴ:アハハハ! だったら、生きて帰ろうよ!

エレイン:そうそう、生きて帰るんだよ! 生きて帰って、アリシアみたいに赤ちゃんを産もう!

オードリー:そっか、あなたたちアリシアのベビーちゃん見てきたんだよね。

ミネルヴァ:ええ、旧アリシアの脳髄を掃除したご褒美で、赤ちゃんを見る権利が貰えたんだ。


シンシア:そっかぁ、だったらアタシも志願すりゃ良かったなぁ。

ニルヴ:ムリムリ、つわりと吐き気でダウンするって。あたし等は最初に知り合ってたから志願したようなモンだし。

エレイン:そうだよ、脳みそってものすごく生臭いんだよ!

アリシア:ごめんね、迷惑かけちゃって。

ニルヴ:いいのいいの、生まれたてのベイビーちゃんを見せてもらったから! はー眼福眼福

オードリー:いいなぁ、見たかったなぁ


彼『女』たちは、なぜ自分がそんなに赤ん坊を見たがっているのか、全く理解していない。

彼『女』らは、赤ん坊を見ると脳内のA-10神経束がわずかに興奮状態になるように条件付けされていた。

赤ちゃんを見ると見ず知らずの人の赤ちゃんでも寄って来る中年から初老の女性等がいるが、あれこそが経産婦というA-10神経内麻薬中毒者の症状そのもので、それと全く同じと言っていい。


そして、その事実を知らない彼『女』たちの喜びは、悲しかった。

こうしてくだらない(さえず)りを残しながら、対惑星用強襲揚陸艇(ドロップシップ)・ヘルダイバーは、地球より濃密な大気圏と低い重力を持つ惑星オーストラリアへと降下していった。

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