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出逢いからそれはおかしかった?

初小説です。

拙い文章ですが楽しんで頂けたら幸いです。

「今日も可愛いよ、ティアナ」


いつもの様にアルスト殿下は、婚約者であるあたしを優しい瞳で見つめながら囁いて下さった。


      ◆◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇◇◆


 オルプルート王国第一王子であるアルスト殿下との婚約が決まったのはあたしが五歳の時。殿下の六歳の誕生日を祝うパーティにて多数の婚約者候補の一人として呼ばれたあたしは、殿下に祝いの挨拶をする為に両親、二人の兄と共に列に並んでいた。


 パーティといっても王宮広間で行う格式ばったものではなく、お茶会として庭園で催されたものだった。その時のあたしは列に並びながらも、視界に入ってくる色とりどりのスイーツに気を取られていた。


 公爵令嬢なので普段からそこそこの種類のスイーツは堪能済みではあるのだが、さすがは王宮。見た事の無い美味しそうなスイーツが沢山テーブルには並んでいる。スイーツに目がないあたしは早く殿下に挨拶を済ませて食べに行きたくて仕方なかった。でも、そこは五歳でもちゃんと淑女教育を受けている公爵令嬢。はやる気持ちをグッと我慢してスイーツなんて気にもしてない風を装う。勿論横目でチラリとテーブルをチェックしながら、どのスイーツから食べようか順番を考えるのは忘れない。


「国王陛下、王妃様、本日はお招き頂きありがとう御座います。アルスト殿下、お誕生日おめでとう御座います」


 ようやく自分達家族の番が回って来た様で、挨拶を述べるお父様の声にハッとして殿下への挨拶に集中する。コレが終わったらスイーツだ。嬉しいな。


「うむ、ローゼン公爵も元気そうで何よりだ。そちらがティアナ嬢かな? さぁアルスト、ご挨拶なさい」


 陛下に促されてアルスト殿下がスッと優雅に一歩前に出る。


「公爵、わざわざありがとう御座います。それからタクトとスクトもありがとう」

「おめでとう、アル」

「お、おめでとう、アル殿下」


 あたしの双子の兄達は殿下とは同い年で、特に長兄のタクトお兄様は殿下とは親友だ。時々我が家にも遊びに来ている殿下を見かける事があった。あたし自身はまだ殿下とは喋った事がないので、今日が初対面となる。兄様達の挨拶が済み、殿下はあたしの方へと視線を向けた。


「ティアナ嬢、初めまして。私はアルスト・オルプルートです、宜しく」


 澄んだエメラルドグリーンの瞳をキラキラと輝かせてこちらを見つめてくる殿下。端正な顔立ちに少し色素の薄い茶色の髪。見るからに“これぞ王子”と言わんばかりの容姿に思わず見惚れそうになる。


「は、初めてお目にかかります、アルスト殿下。わたくしはティアナ・ローゼンと申します。お誕生日おめでとう御座います」

「……やっと会えた」

「え?」

「あ、いや。ありがとう、ティアナ嬢」


 殿下が何か小さな声で呟いた様に聞こえたけど、どうやら気のせいみたいだ。


「早速だがティアナ嬢、私は君をこん……」

「おーーっと、アル! 皆の挨拶がまだまだ終わってないじゃないか。て、事で私達はこの辺で一旦失礼するよ。ね、お父様」


 そう言って急にタクトお兄様があたしを引き寄せて殿下から遠ざける。


「あ、あぁ……そうだな。では陛下、また後ほど」


 タクトお兄様に促されてあたし達家族は挨拶の列から離れる。


「なっ、タクトのヤツ!」


 背後で殿下が口をパクパクさせながら何か呟いてるみたいだけど、お兄様に手を引かれてどんどん離れていくあたし達からは何をおっしゃってるのか聞き取れなかった。なんだろう?殿下も早くスイーツが食べたくて羨ましいのかな?



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