災害救助
「久しぶりの里帰りか」
用事ができたので行きと同じようにシドニー経由で日本へ戻る。
世界的なウィルスの蔓延により旅客の現象は未だに受けており飛行機に乗っている乗客は見渡す限り1人であり数人のスチュワーデスがサービスをしてくれ明るく振る舞ってくれる。
「まあゆっくりしてくればいいメイティスの改良を行うから」
レグルスに送り出されて久しぶりに閑散とする成田に降りると東京に向かった。
「このマスク、装着感がないし」
自分の名前は有名になっていたので父親から送られたマスクと体にも同じ素材をつけ別人になり用事を済ませる。
秋葉原に向かい買い物をしているともう出てるのかとメイティスのガレージキットが販売されていた。
「前方向からしか公開してないけど色々考えてるというか」
プラモデルを時々製作していたので興味があるがきちっとしたのを見てみたいと思い製作者を確認してみると北よりの田舎であり同人誌なんかの一環でと言うことだった。
「少し時間もあるからいってみるか」
台風の接近で雨が降っているあいまに電車とバスを乗り継ぎようやく到着したが農家の横にあるプレハブにその活動している名前が貼っておりドアを叩いた。
「何でしょう、クレームでしょうか」
メイティスのガレージキットを抱えてる私に製作者であろう青年が聞いてくる。
「クレームというか製造者からきちっとしたのをつくってほしいと思いまして」
何をいっているのかと言う顔をしたので偽造マスクを外した私の顔を見てしばらくすると声をあげスマホでどうやら出回っている顔と合わせ頷いた。
「ビックリしました、こんなんでお恥ずかしい」
ガレージキットを見ながら話をしており私は3Dのメイティスとガイアのデータを渡した。
「代金は」
「迷惑料ですね、多分警察かもっと怖い連中が来ると思いますから、楽しみにしておきます」
そう言うと苦笑いをして帰ろうとしたときに不意に地面が揺れた。
「震度5くらいですかね」
「もう一度強いのが」
そう聞いてくる青年にマスクをつけその目の部分のスクリーンで確認すると余震が1分後にさらに大きいゆれが来ることを伝えておりそれを聞いた青年は外に飛び出し母屋に向かいそれに続いた。
「ばあちゃん大丈夫か、父ちゃんは寄り合いから帰ってきてないんだな」
無事を確認しているとさらにひどい揺れで立っていることも出来ず停電で真っ暗になったので左手首の時計から光源をとり辺りを照らした。
「避難しますので一緒に来られますか」
そう言われて同意するとレグルスに向け救難信号を送信した。
庭の軽自動車に3人で乗ると崩れかけた石垣のわきから道路に出て公民館へと向かう、
「これで台風が来たら」
台風の情報を確認すると勢力は大きく崩れた山肌が2時災害が起きる可能性もあり道路に転がってきた岩を避けながら到着した。
村の住人も次々と集まりお互いの安否を確認しており安心していると、
「町側の道路が崩壊していて川がせきとめられているぞ」
更に川下も道ががけ崩れで孤立してしまった。
「あふれたら鉄砲水だ」
川の近くから避難をといっても台風と地震で寸断されているため方法はなかった。
「上空に到着しましたが台風が直撃します。早く避難を」
自分一人ならだが村民や知り合ったばかりの青年がいるので、
「レグルス、ガイアを下ろしてくれ川をせき止めた土をどうにかする」
「了解しました。その前の駐車場にパルスをのせておろします」
その事を青年に話て村人にも伝える。
青年が自分も手伝うと言うので低空で進入したメイティスの格納庫からスラスターを吹かしたガイアが駐車場に降りてきたのでかけよって搭乗した。
「パルス現状を」
画面に3D表示され川縁を進み対岸の本道とその脇の川が塞き止められている地点に到着すると、
「ブラスターで大きな岩をこわし、そのあとミサイルで塞き止めている土を吹き飛ばします。その場合吹き飛ばしすぎると一気に流れ危険なので注意です」
ブラスターを起動させ大きな家ほどの岩を狙って撃ち込む、表面と中が少しずつ削いでいき水の圧力で転がり始めその空いたところに川の水が集まり流していく、
「問題発生、下流の手前でもうひとつがけ崩れが起きたためこのまま水を流せば公民館に水の被害が」
「レグルス、そちらから最初のがけ崩れを壊せるか」
「やってみます」
そう言われて公民館方向に戻り崩れたばかりの土砂の中で見えている大岩を破壊し最後に両方に向け2発づつミサイルを発射した。
本来は多弾頭ミサイルだがそれだと威力が乏しいのでそのまま塞き止めている堰にぶつけ大きな穴を開けるとそこから流れ始め、上空では暴風雨の中でレグルスがメイティス搭載のブラスターとミサイルで吹き飛ばした。
「問題なくと言いたいところですが、周囲の地形が地震で地盤が浮いてそこに雨で土砂崩れになりますぜこの一帯は」
そう言われて青年と顔を見合わせ公民館へ戻る。
「オヤジ、ここは危険だ移動しないと」
「カズヤ色々聞きたいが確かに危険だが道がな」
川は流したが横の道がということでレグルスに上流と下流どちらが土砂をガイアでどけられるかと計算してもらうと、
「下流の方が2ヶ所ですがどけるならスペースがあるんで」
そう言われて再度ガイアに乗り込み橋を渡り本道へ向かい、その後ろを村人が乗る自家用車の列が続いた。
手前で止めさせると電磁ブレードのドーザーを前に出して川に土砂をどんどん落とす。
岩があっても切断して川におとして10分でひとつ目をどけると最初の土砂崩れに行くと100m程の高さのある縦長の岩をメイティスがブラスターで破壊しておりこちらも同じように攻撃を行い道路上の岩を排除して村人の車を逃がした。
「回収します」
レグルスからの指示でスラスターを噴射し谷間を低空ギリギリでメイティスが進入してきたので格納庫に飛び込む、
上昇しながら通信を傍受していると災害無線でのSOSが入ったので降下すると山間部の扇状に開けた段々畑がある村があり地震の被害が大きいといい救助に向かった。
「怪我人が多数、あと埋もれてしまった人もいる何とかしてくれ」
無線の声は悲痛な叫びであり台風はピークを向かえておりガイアの降下は厳しいので真っ暗な地表に3D画像を当てて表示させ小さい村に不釣り合いな運動場を着陸地点とした。
「センサーに反応なし強硬着陸する」
メイティスの重量に運動場が耐えられるか心配になりながらも着陸した。
「何とか耐えたようですぜ」
運動場の400mトラックをはみ出し駐車場にまたいで着陸しており地面に沈みこんではいるが気にせずガイアを出す。
「PSも出しましょう」
レグルスが3.5m程の人形を格納庫のスライドカーゴから出してきて装備するとガイアに続いて動く、先ずは防災無線が設置してある役場に向かった。
「これは」
「そんなことより負傷者と生き埋めになった恐れのある家屋を教えてくれ」
役場の前に大型のガイアが乗り付けたので助役は驚いたが直ぐに避難してきた人を呼び場所を確認する。
「レグルス、先に向かってくれすぐにいく」
データを送ると負傷者の確認をしていると直ぐに搬送が必要な人が数人いたのでレグルスに相談すると、
「メイティスなら優秀なのがいますから向かわせてくださいパルス任せた」
助役に車で運動場にあるメイティスに運ぶように指示をして消防団員を横にのせると倒壊した家屋へ向かった。
「センサーに反応あり、持ち上げるんで助け出してください」
PSがセンサーと画像解析により邪魔なものをどけて建物の太い梁を持ち上げると二人で入り倒れている人を救助する。
「怪我人を運動場へ運ぶのに車両を頼む」
消防団が合流してはこぶを繰り返す。
更に奥に数軒の家があると聞いて走らせると目の前の地面が消えた。
とっさにスラスターを全開にして上がると十数m先に壁が見えどうやら亀裂で道路が分断されており向こう側の道路に着地した。
「おそらく車両が谷底に落ちてる」
センサーに反応がありそのデータを解析すると3台の自動車が亀裂に落ちたのか確認のため家に向かうが無人で車両もないので引き返す。
「燃料が漏れてこのまま降りればスラスターに引火して爆発しますぜ」
レグルスがPSで亀裂の下を見下ろしておりこちらも飛び越えて横に着地する。
「ウィンチで下ろしてもらいましょう」
ガイアの後部にあるフックをPSの背中に接続するとゆっくりとおろした。
「生命反応はなし、上げてくれ」
回収してほしいと消防団員が言うのを他の行方不明を探すことを優先してPSを引き上げる。
その後も何軒もまわって土砂で埋もれた家にはセンサーで確認後ドーザーで持ち上げPSで撤去しながら消防団員が助けだし、朝方台風が通り抜け東の空が明るくなった頃にメイティスに戻った。
メイティスでは負傷者がパルスの治療を受けて個室に収容されており搬送するため村人を乗せて発進する。
「羽田空港管制へ、こちらメイティス」
「羽田空港管制非常用の通信チャンネル」
台風が過ぎてようやく開港準備をしているところに私が通信を割り込ませたのでいたずらかと思われている。
「台風で被災した人々を収容しており重傷者も数人いるため受け入れを頼む、到着まで4分」
「ってまてこんな速度でって、重傷者の受け入れを許可する」
人数を伝えると都心を飛び越えて滑走路にアプローチをする。
「なんだこの機体は」
思わず声をあげる管制官に指定された駐機所を確認しレグルスとパルスが負傷者を設置されているベットを切り替えホバーベットとして付き添いの村人と共に誘導し待機させる。
「いちを警戒のためPSを出します」
緊急で着陸したが誰かが手を出してくるというのも考えられ救急車とバスが横付けされ運ばれていった。
「終わりましたぜ、長居は無用です」
格納ハッチを閉じて管制官がとどまるのを無視して滑走路へ向かう、
「政府とあめりかさんから止めろと言われているようだがわるいな」
「すまない了解した」
補助エンジンの出力をあげて空へと飛び上がった。