最愛の人
「こりゃ復旧までにえらい時間がかかりますね」
中国は原始時代へ戻り自業自得だと思いながらもしばらくこちらの周辺も影響がで続けておりナノマシーンを散布して影響を取り除いていく、
「アルテミスは相変わらず連絡がつきません」
レグルスの報告に苛つきながらもパルスが、
「シミュレーションの結果、アルテミス1号には電磁波の防御が施された回路が使われてるため影響はなく後数時間後に通信が回復すると思われます」
中国の暴挙に自爆がついたが一番の問題は、
「政府に知らせたんだろう」
「補佐官ではないですが要人に」
「補佐官に確認してくれ、きちんとした説明がなければ今後対応が出来ないと」
不信が不信を呼んでレグルス以外誰を信じれば良いかわからなくなる。
「そうですね、オリンポスの周囲の除染もかんりょうさせないとならないし休暇を取りましょう」
そう言ってくれ風呂に入ると寝てしまった。
夢を見る。
大学に行ってた頃に不在だった父親が帰宅した時の話で母親は数年前に亡くなっており父親には会えば言い合いになる今回も、
「今更何を言うんだ、自分勝手で何を何も言わずに信頼しろだ」
「お前が何と言おうが家族だ、それが信頼のもとだ」
「家族、家にもまともに帰らず、母親は心労で倒れたときにも亡くなった時にもだ」
「仕方無いとは言えないがしなければならない事がある」
そう言われても母親の死よりも大事なものって何だと父親をにらむ、
「お前はこれから色々な人々の思惑にさらされる。人は信念があるはずだがいきるための方便と言うものや、利益のためなら正義を犯し、正義は力でねじ伏せる」
何が言いたいのかそう思いながらにらみ続けていると、
「大事なのは自分を信じ家族と信頼できる仲間を信頼しろ」
そう言われ大汗をかいて目が覚めた。
「ようやく起きられたんですね」
そう言われ32日寝ているのに気がつく、
「NASAとアルテミス1号は通信を回復して予定通り1時間後にコンテナを投下すると」
そう言うとミリアの顔が現れ着陸地点や下ろすコンテナの中身を説明していき宇宙服に着替えるとアルテミス1号の先端の着陸船に乗り込む、
「コンテナ投下」
月の周回軌道にのりながら最初コンテナを切り離し再度周回をして月面着陸船を降下させた。
「先人の足跡に今私達は新しいミッションを行うために降下中です」
降下を開始して機体が反転してアームを伸ばしている。
その瞬間画面が消え通信が途絶した。
「レグルス」
そう言うとNASAとアルテミス1号との通信が行われ次の周回に地上を確認すると、
「我々は救援依頼もミッションもありませんからね」
「除染は」
「2時間後に終わります。向かうだけなら問題はないでしょう」
そう言われて頷いた。
「到着まで30分」
アルテミス1号からの映像は月に墜落した映像が写し出され乗員が出ており人数分の姿が見え安堵する。
「コンテナにも通信用モジュールがあるでしょう」
アルテミス1号は周回しており通信が途切れたのでかなりななれたところから見える位置に移動した。
「コンテナは一番遠く500m先、手前はコンテナ3だから月面走行車を積んでいるからそれで向かえば問題ない」
コンテナのロックが外され縦長のコンテナが白い花を咲かすように広がり展開を終えており、
「3つめ、乗り込んだな」
安堵しながら動くのを待っていたが動かない、
「バッテリーの放射熱は問題ないが」
「回路が例ので焼ききれている可能性が」
「残りの酸素は」
パルスに確認すると、
「個人差はありますが5分」
そう言われてNASAへ連絡をした。
「こっちのシステムもハッキングを受けてダウンしていたんだ、緊急事態だ救援をお願いする」
管理スベシャリストのマックが直ぐにOKを出そうとしたが、
「駄目だ上の了承をえてからだ」
横からメガネをかけたエリートと思える30代のヨーロッパ系の男が顔を出す。
「大統領補佐官、1分いや1秒時間がおしいのです」
「駄目だ、彼等には機密に関わる事についての権限がない」
カーバイン大統領補佐官はと一瞬思ったが怒りを覚えながら脳波コントロールでliveに接続して全世界へ流す。
「ナオと言います。今月面にいるクルーはタンクに空気が5分にも満たない、殺すつもりですかあの時のように」
今までの事がようやく合点がいき冷静になっていく、
「あの時とは何だね」
「アフリカに中国のICBMが運び込まれた事をお伝えしたはずです。しかしアメリカは動きませんでした」
「君達のような無法者の情報を誰が信じるね、結果は起こったが中国に責めをうける事でアメリカには一切の責任はないよ」
「なら彼等は決断できる責任があるはずです」
「そうだな、我々アメリカが助ける」
時間は3分を切ったのを見て、
「わかりました。私達はアメリカの法律を犯すことになろうが敵対行為になろうが大切な人たちを助けます」
「貴様、アメリカ相手に戦うと言うのだな」
自分を信じ最大出力で降下を開始しながら、
「わかりました。大統領補佐官の宣戦布告ですね、私とレグルスは力による正義には自分の信じる信念を貫きます。失礼」
そう言うとこちらの音声をカットして月面直前で急制動を行い優しく着陸した。
「レグルス」
「パルス医療ユニットをおろせ、ナオそこに収容しましょう」
前部の下部ハッチから飛び出すと近くの者から抱き付き背面のスラスターを吹かして医療ユニットに放り込むとハッチを閉め中で自動的に前部に移動してハッチが開かれる。
「二人目」
レグルスが放り込み私も同時に入れハッチがしまる。
「三人目」
そこからはコンテナ側にに倒れており往復の時間ももどかしい、
「九人目」
放り込むがミリアが見れない、
「パルス」
「ミリアはコンテナの向う側です」
そう言われて飛び越えて見るとカバーの影に倒れていた。
「ミリア」
生命データにアクセスするとすでに酸素はなく心配が停止しておりスラスターを加速すると、
「パルス、後部ハッチから乗り込んでエアロックに飛び込む」
スラスターをフルに加速してハッチに飛び込み一位番奥のエアーロックに飛び込んで逆噴射で側面に着地する。
「早く閉めろ」
入った瞬間にエアーロックはしまり空気が充満されるのを緊急パージのスイッチを押してヘルメットを外した。
「ミリア」
腰の部分のはずしかたが解らず腰を単分子ブレードでミリアの腰より大きい腰の部分を薄く切る。
上下を外しミリアの胸に助細動用のピンをつけて心臓を動かし、口うつしに空気を送り込み何度も繰り返す。
「目覚めてくれお願いだ」
細動をしてパルスで心臓を動かしているが自律で動かないと表示がされており何度も人工呼吸を行う、
「すまなかった。あの時は嫉妬してどうにかしてた。君が一番大切だとわからせられた。頼むお願いだ」
何分たっただろうか自律しない心臓に絶望を感じていると頬に誰かがさわった。
「不器用ね、いいわ大切になって上げる」
「ミリア」
弱々しいが声をあげたミリアを抱き締めているとパルスが医療カートを持ってきたので寝かせて医療室に運んだ。
「中々でしたよ」
レグルスに状況を聞こうとするといきなりオープンチャンネルで叫んでいたらしくパルスからも、
「宇宙での最初の結婚式はいかがでしょうか」
そう言われて苦笑いで返すしかなかった。
「全員無事だ、休めば回復するでしょう」
医療ユニットをメルティスに収容して医療区画へ自動で移動させた。
「しかし色々大変なことになりますね公私共に」
「確かに尻に敷かれとくよ、座り心地はわるいかもね」
「3人で何とかしましょう、いざとなれば宇宙で生活すればいいですしね」
そう言いながらほっといた回線の向こう側は大騒ぎになっていた。
「あの大統領補佐官は辞任と言うか隠蔽で拘束されたらしい」
「ミリア、パパは」
「どうなんだろう直接話してないから帰還してからね」
色々装置はつけられて体調管理をされているがコックピットの専用シートに座っており、
「あれからパパは一時的な体調不良で辞任したんだけど、ナオとはお互いあれだったし」
「グレッグと外野から見ててじれったいと言うか若いと言うかさんざんでしたからね」
「だいたい元カレだからって勘ぐりすぎよナオは」
「あんなに親しそうにしてればそう思うだろ」
「若いっていいですね」
レグルスが言うのを二人でにらみ笑った。