災害救助とすれ違い
「今月に入って12ヶ所目、同じ場所が6ヶ所」
アフリカでは元々国として崩壊しており利権絡みで軍部も民兵も動き中国等の介入で更に混沌としている。
「砂漠化も押さえられるし湖も昔の姿に畑も恩恵を受けるのに何でよ」
「そりゃ、イギリスやフランス等のヨーロッパの連中が部族の優劣をつけたり白人の搾取を行っていたり、悪いがイギリスの二枚舌外交の産物ですよ中東にせよ」
「それならイギリスに責任を取らせれば良いでしょ」
「そんな力も無いですし、アメリカもアフガニスタンで混乱を目的にだけで武器を与えて混乱の元をつくってますから」
政治的な話になり私を見るので、
「立派な理念があっても主義主張に飲み込まれていく、日本だって二次大戦は東南アジアの植民地解放を歌ったが主導者の暴走で搾取を行ってしまったから」
「なればこそ宇宙は主義主張関係なくと言うことだ」
グレッグが言うことに同意しながら再度破壊されたプローブを設置するためメルティスを降下させる。
「ロックされました」
複数の携帯用対空ミサイルに狙われ発射された瞬間にジャミングをかけミサイルは明後日の方向に飛んでいった。
「13発もHN-5、中国製ね」
「こりゃ露骨すぎますぜ中国もですがCIAとかがおこなってるって事も」
売買の情報が無いかネットで調べるが現金なのか出てこない、
「中国なら気にせず購入履歴を残すと思いますから余計怪しいか」
ミリアがパパに聞くと連絡を取っておりこちらは警戒しながら綺麗にされた設置場所に降下を行う、
「警備の地元の軍隊がいない、と言うか対空ミサイルを発射したのが彼らか」
そういった瞬間にまたロックがかかり赤外線誘導のミサイルが発射され弾頭に向けレーザーを発射し次々と破壊した。
「M2ブローニング、ハイラックスに3両」
自分の国の車両が優秀すぎて車両をつくった人もこんな使われ方をするとは思わないだろう、そう思いながら射撃を開始した車両にレーザーを打ち込み破壊をしながら状況を連絡する。
「クーデターが起きたらしい、ここは放棄とする」
アメリカのコントロールセンターからの指示に同意しながら情報を集めていると影で手を伸ばしたのはフリーランスの傭兵でありCIAの影がちらほら見えるが決定的な証拠は見せずにいたが、
「この画像、ヨーロッパで工作員と接触、CIAの情報収集管理担当官とつながっている」
ミリアは驚き連絡をとろうとするのを止め、
「これは計画した本人に責任を取ってもらわないとですぜ」
そう言いながらレグルスが情報収集管理担当官であるコードネーム、ベビーフェイスのパソコンに表示させた。
「はじめまして、ベビーフェイス」
「おや、ナオだったねはじめまして」
こうなることを予測していたのかポーカーフェイスなのかわからないが話をする。
「今回のクーデターの件、ばれるのを承知で行ったとしか」
「そう思うかね、直接話をできて嬉しいよ、妹さんは元気にしてるかな」
わかってはいたが半分だけ血のつながっている妹について言われる。
「元気にしていると思いますよ、もし何かあればそちらの建物と職員が消滅しますよ」
「ほお、中々の脅しだが良いのかな」
「良いですよ、妹は自分の意思で残りましたし理不尽に拘束や命を取られればメルティスの性能をフルに使って後悔させます」
「覚えとこう、例の国はもうそろそろクーデターが起きてもとの政権が主権を取り戻すだろう」
そう言われ通信を切った。
「何よあれ、脅しに来るとはナオ妹さんの事は本当に良いの」
「父親が同じだけど父親の事を最後まで嫌っていたから」
「何れにせよあの情報収集管理担当官はくせ者ですぜ、連絡をとりたいが為にわざわざクーデターを起こしましたからね」
アメリカの怖さを実感しながら数日後プローブを投下した。
「ナオ救助要請」
ミリアがオリンポスの指令室に飛び込んできた。
「エベレスト登山に向かった友人のテレビクルーが現地で地震にあったらしくて負傷者多数で現地の唯一の飛行場も離発着出来ないって」
エベレスト登山の飛行場であるテンジン・ヒラリー空港周辺でマグニチュード7の地震が起きたと言うことで救助に向かう、
「チェックはパルス頼む」
「リョウカイ」
緊急発進と共に医療用のユニットを2つ後部から搭載して離陸する。
「テンジン・ヒラリー空港、標高2846m 滑走路は527mですぜ」
レグルスがデータを表示する。
「滑走路にウラノスでガイアを吊るして先に着陸して確認する」
メルティスはパルスとグレッグに任せてウラノスはレグルスがガイアには私とミリアが乗り込む、
「夜明けまであと4時間」
未だにエベレストも見えない真っ暗のなかで焚き火が見えるだけで3D表示された地形を便りにレグルスがウラノスで降下を行い20m程で切り離しガイアのスラスターを吹かして滑走路に降り立った。
エンジン出力をあげ増設したライトで周囲を照らし出し滑走路にある崩れ落ちてきた岩をブレードで排除していく、
レグルスは駐機所にウラノスを着陸させ岩をどけるとメルティスが垂直着陸で滑走路に降り立った。
「レグルス、医療用のユニットを」
メルティスの照明を全てつけると周りを照らし出す。
キャタピラがついた医療用のユニットをレグルスが滑走路の端の岸壁の所に移動し負傷者の救護を行う、
「ミリア」
「カシウス」
不意に声が上がり金髪の青年が飛び出しそれに気がついたミリアがかけより抱きつく、それを見て複雑な感情を自覚しながらも各種センサーで埋まっている人を探しだしブレードで瓦礫を取り除きながら助けていき負傷者を運ばせる。
あの状況が頭に浮かぶが目の前の生命に集中しながら夜明けを迎えた。
レグルスもパワードスーツを身につけ瓦礫の撤去を行っておりパルスは重傷者を医療用のユニットを搭載するとカトマンズの空港に空輸して戻ってくる。
ミリアはウラノスの通信ユニットで連絡を取合い救助の受け入れなどの手配をしていた。
短い食事と休憩をとっているとミリアとカシウスが仲良く座って食事をしておりレグルスが、
「先を越されたか、奥手め」
「関係ない、ミリアも後1ヶ月でアメリカに戻るし」
「後悔先に立たずだ」
そう言うとレグルスは食事をおえると作業に戻り自分は食事を途中でやめガイアに戻って作業を続けた。
瓦礫の撤去と救援を終えメルティスに戻り帰還の準備にはいる。
「ミリアは」
パイロットシートに座ってレグルスに聞くと画面にカシウスと別れを惜しんでいるようでそれを見つめ続けるしかなかった。
「お待たせ」
ミリアが戻ってくると何事も無かったように座りそれを確認して500mの滑走路を使い加速してスラスターを下に吹かすと一気に加速した。
「くぅっ」
何時もより加速してG中和がきかない領域で一気に加速を行いオリンポスへの進路をとる。
「操縦が荒い」
「誰かが遅かったから急いで戻ってるだけだ」
「遅いって、だからって無茶な加速する必要ないでしょ」
「必要かどうかはチームリーダーの俺が決める」
自分でも理不尽だがそう言いきると一気に降下させオリンポスへと戻った。
「あれから口聞いてないんだって」
レグルスから言われ頷き新しく作られたオーパーツ製の習熟を二人で行っておりミリアは別行動で過ごしている。
「だから、何時でも一緒なわけでもないし客様だ」
「私がお客様ですってナオ、どう言うこと」
ミリアがいつのまにか後ろにいて聞いていたのか顔を赤く怒っている。
「後数週間で去ってカシウスと結婚なりなんなりするんだろ、だから客って言ったんだ」
「契約がそうなってるからって、それにカシウスとは元カレだけどもう何ともないし」
「もう何ともないと思えないねネパールでべっとりして」
「べっとりって覗くような真似してスケベ」
「みんなの前で堂々としていたじゃないか、見せつけるように」
そう二人で喧嘩をしているとレグルスが、
「二人とも痴話喧嘩はそのくらい」
そう言われレグルスをにらむとその剣幕にグレッグの後ろに隠れた。
「わかったわナオの考えが、数週間じゃなく今日で終わりよ」
「ああ、レグルス送っていってくれ」
言い合いは止まらずにミリアは出ていきながらレグルスの手をとって引っ張り、引っ張られたほうは顔をひきつらせて連れていかれた。
「若いのう二人とも、しかし勢いで言って解決するとは思えんがな、これは年よりの独り言だがな」
そう言うとグレッグはついでにNASAに一度戻ると言いながら出ていき一人取り残されながら工具を壁に投げつけた。
画面にはウラノスが離陸して一気に空を駆け抜けハワイへと飛び去るのをただ見守った。