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第27話 怒りの矛先

読んでくださりありがとうございます(≧∇≦)


そろそろ終盤に近づいてきました

「不可解だ.......」


 俺は校舎裏で一人歩き回りながら考えていた。

 ここは放課後ぐらいになると日陰になって、昼間に温まっていた地面と相まって丁度いい気温になるのだ。

 それ故にここはとても考えやすい。


 俺は二回目の魔物狩りを終えてから常々先ほどの言葉のように思っていた。

 もういい加減リーゼルと関わるたびに歴史が動いてしまうのは仕方ないと感じ始めているが、果たしてこれが本当に過去なのかというともはやその自信はない。


 俺は確かに神龍に過去戻りに関して戻るように言った。

 だがまさか、ここまで歴史が俺の想定から外れていくとは思わなかった。


 俺がリーゼルと関わった大事な部分は大まかに一緒だ。

 だがそれはあくまで、そのイベントが起こったということに対してだけであり、その内容はイベントによって大きく変動している。


 そして最近は特に酷い。


 俺がかかわってない、かかわるはずもない場面でリーゼルと関わり、もともとかかわる場面ではリーゼルの行動があまりにも不自然だ。

 そもそもリーゼルはあれほどまでに感情豊か......いや、涙を見せる場面などあったのだろうか。

 俺の記憶の限りではない。そしてこれが俺の過去の歴史だとすればこれまでもあるはずがなかった。


 なのに起きている。俺が予想だにしない方向に歴史は大きく歪んでいる。

 もはやこれは確定的なことだ。

 だとすると、一番警戒しなければいけないのは、リーゼルが襲われる相手だ。


 本来の歴史であればタコのような化け物であったはずだ。

 だがここまで大きく歴史が変わっているとそれが現れるという可能性があるのかすら怪しく感じる。

 一番避けたいのはその魔物ではなく、もっと恐ろしく悍ましい何かであらゆる敵を倒せるようになった俺でも勝てない相手。


 ここまで変化すればないと言い切れない話だ。

 俺は出来る限り慎重に事を進めたい。なら、当然不確定要素は潰していく......だが結果はこうだ。

 それ故に恐れている。俺がもう一度目の前でリーゼルを失うことを。

 だから俺の知っている、経験してる適しに沿って動こうとしている......にもかかわらず、だ。


「はあ.......リーゼルは恨めないしなー。とはいえん、やたらと俺の心を見透かしたような行動をしてくるのはとても怖いんだが」


 そう独り言ちりながら、俺は頭を左に傾け、さらに右に傾け、それから左側へ一歩ズレていく。

 すると、俺が避けた方向へと三つの火炎弾が通り過ぎていく。

 俺は組んでいた腕を解放すると左手をポケットに突っ込み、右手で通り過ぎた火炎弾に指から水を当てて消火。

 この先はたくさんの木々があって燃え移ったら危険なのだ。


 そして俺は何事もなかったかのように考え始めようとすると背後から怒鳴り声が響き聞こえた。


「避けてんじゃないわよ!」


「.......」


 俺は振り返るとそこには憤慨した表情のルミナの姿が。

 まあ、おおよそあの表情の理由はわかっている。俺がリーゼルを泣かしたと思っているのだろう。

 とはいえ、今の今まで何もしに来なかったのは驚きだが。


 恐らく、ルミナ自身も俺とリーゼルの関係に手出ししないよう努めていたのだろう。

 しかし、二回目の魔物狩りからまだ多少のギクシャクは残っているのを感じて、リーゼルのことを(おもんばか)っての事の行動が今だろう。

 いや、もっと言えばリーゼルの代わりに怒っているという感じか。


 正直、泣きたいのはこっちだ、という思いをしつつも、否定は出来ないので......どうすっかなぁー。


 するとその時、ルミナが右手で剣を引き抜いた。そしてその剣先を俺に突き立てていく。


「決闘しなさい。拒否権はなしよ」


「......はあ」


 あいつの性格上来るとは思っていたが、まさか本当に来るとは。

 とはいえ、あいつの気持ちももっともだ。さすがにその気持ちを蔑ろにするほどバカじゃない。

 だが......


「本気か? お前が暴れればタダじゃすまないぞ? それにリーゼルが悲しむだろう」


 この気持ちは本当だ。一応、魔物狩りの後は最低限の仲直りはしている。

 もちろん、まだ多少のわだかまりがあるが、少なくともリーゼルは俺を嫌ってない様子であった。

 そしてリーゼルは友達思いだ。そのリーゼルが自分が引き金に友達同士がケンカしてしまったと知ったら酷く悲しむことになるだろう。


 しかしルミナの決意は固かった。


「確かにそうでしょうね。だからこそ、これは私が勝手に仕掛けた決闘よ」


「それをどう思うかはリーゼルの判断だろうが。それに決闘は教師の許可がいるんじゃなかったっけ?」


「それはあくまで公式戦なだけよ。生徒同士でもこういう決闘はよくするの。どちらの意見が信念がこもっているか、というね」


「はあ、全くもって実力主義な学院だ。意見を決めるのすら武力ってことか」


「それが一番早いってことよ。それに力なき者の言葉に誰が耳を傾けてくれると言うの? そういう意味では真っ当よ」


 ルミナは剣を依然剣先を突きつけたまま、腰を低く両足を肩幅に広げていく。

 そして屈曲させた脚で一気に跳躍。俺目掛けて剣を大きく引いた。

 それに対し、俺はリーゼルを正面から受けるように体の向きを変える。


「――――――やっぱ、この学院が嫌いだわ」


「言ってなさい!」


 ルミナは鋭く剣を突き刺す。空気を切り裂く音とおもに俺の左肩を狙った。

 しかし俺はそれを半身で避け、右腕を振られる前に俺がルミナの肘裏を掴む。


「かはっ!」


 ルミナは咄嗟に左拳で殴りにかかるが、俺は体を仰け反らせて避け、膝蹴りでルミナの腹部を打ち上げる。

 それから、掴んだ右腕で背後へ放り投げていく。

 ルミナは地面を転がりなら着地するとすぐさま攻撃してきた。


穿つ火炎(フレイムランス)!」


水弾(ウォーターボム)


 ルミナは背後から剣先を突きつけるとその剣先の周囲から燃え盛る炎で出来たランスが十数発と現れた。

 その炎の熱量で空間を揺らす陽炎ができ、地面に当たれば間違いなく焦がすだろう。


 そのランスが放たれると同時に、俺は突き出した右腕から同じ数だけの水の塊を生成する。

 あのランスは魔法としては殺傷能力Bランクの中級魔法、対して俺のはCランクの初級魔法。

 たとえ俺にとって相性がいい魔法だとしても、魔法のレベルの差から押し負けて普通にランスが襲いかかってくるだろう。


 だがそこは俺だ。しっかりと打ち消せるように込めた魔力量はあのランスと同等である。

 であるからして――――――


「やっぱそうは上手くいかないわよね!」


 俺の放った水の塊とランスが衝突。多大な水蒸気を上げて、一瞬辺りを覆い隠していく。


「魔力の反応がない。上手く消す術を持っていたか......こっちか」


 俺はルミナが<魔力探知>に引っかからないとわかるとすぐに周囲の霧に目を配った。

 すると背後の霧が僅かに動いた。そしてすぐにその場から距離を取ろうと離れていく。


「待ちなさい!」


 俺が避けた先からルミナが勢いよく飛び出してくる。その踵にはブースターが。

 どうやら強襲を仕掛けるという狙いは当たっていたらしい。


「まあ、落ち着けよ」


「!」


 俺はふと立ち止まると迫りくるルミナへと視線を向けた。

 その一方で、鋭い目つきで睨みつけるルミナは確実に近づいて来る――――――その時。


 ――――――ドンドンドンドンドン!


 ルミナが通っている真下の地面から突然魔法陣が浮かび上がる。

 そしてその魔法陣から真上へと打ち上げる強烈な風の大砲が空気を破裂させるような音ともに放たれる。


「なめんな!」


「おう、すげー」


 放たれた風の大砲はルミナとほぼゼロ距離をで放たれたにもかかわらず、驚異的な身のこなしとブースターを駆使しで紙一重で避けていく。


「―――――だが、甘い」


 そして全てを避け切ったルミナは俺へと目線を向けるとすぐそばに俺が立っていることに気付いた。

 俺はルミナの腹部へと右腕を伸ばしていく。それに急いで合わせるようにルミナが無理やり剣を振るおうとする。


 だが明らかに剣を振り回せる距離でもなければ、ルミナの方から近づいているためそのズレは一秒ごとに大きくなっていく。

 そして俺は右手の平を打ち付けた。


「くっ......かっ!」


 ルミナは一瞬の硬直で体をくの字に曲がらせて、すぐに吹き飛ばされた。

 そしてルミナは壁へと強く叩きつけられる。

 それから、壁に張り付いたままゆっくりと地面へと下りていった。


 そのルミナを姿を少しだけ申し訳ない思いで俺は見つめていた。

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