第11話 男だよな?
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「ふぅー、疲れた」
「確かに疲れたね。でも、これがこの学院のメインの授業だったから仕方ないよ。それにもう終わったことだしね」
俺は美少じ......ゲフンゲフン、美少年のレイナとともにまた外のベンチに座っている。
そして俺達は先ほどまで受けていた実技授業のことに関して感想を述べていた。
やはり実力主義というわけか実技の熱の入れようはすさまじい。
とはいえ、まだ始まって間もないのでそれほどというのが教師からの視点だろう。
だが俺を除く他の生徒からすれば魔力が空になるギリギリまで魔法を使うというのは酷く苦痛なのだろう。
まあ魔力切れが近くなると酷く倦怠感を感じてくるというのを慣れてないとキツイことは確かだ。
ちなみに、俺はピンピンとしている。
汗を拭う仕草で水魔法を使って汗を演出しているだけに過ぎないので全然疲れていない。
まあ、俺が魔力を全部放出しようとするとこの学院は軽く吹っ飛ばすぐらいなので出せるわけもないのだが。
なので俺はこの授業を別名ダイエット授業と呼んでいたりする。
最近イイ感じにシェイプアップされてる気がする。前よりも腹の肉は摘まめなくなった。
「にして、レイナの風魔法はさすがだね。僕なんか同じ風魔法なのに足元にも及ばなかったよ」
「えへへ、そうかな。でも、ユリスだってまだ全然伸びしろあるよ。なんというか風の質? が違かった気がした」
「へ、へぇー、とにかくレイナに近づけるようにしてたからわからなかったよ」
ふぅー、あぶねー。また知らず知らずうちにヘマしてたか。というか、まさか魔力の質に気づくとは予想外だったな。
あれは何度も体内で魔力を練り合わせるようにしてイメージして体内に循環させることで魔法の威力を高める方法だからな。
まさか前の体の状態に魔力の質を高めようとしていたのが仇になっていたのか。
とはいえ、今後のためにもやめられないのでこれからも適当に誤魔化していくほかなさそうだな。
「でもでも、それにしても凄かったのはやっぱり紅潔の剣姫ことルミナ様だよね! あの爆裂魔法は凄かったよねー。でも、たまにこっちの方をチラチラと見ていたのはどうしてだろう?」
「さあ、何だったんだろうね。まあ、僕には関係ないことだろうけど」
俺はそう言ってそのことも適当に誤魔化していく。
それにしても、今更だがどうしてあの女と同じクラスなのだろうか。全く同じクラスにはリーゼルだけでいいというのに。
そんなことを思い出しながら、俺はふとあの放課後のことも思い出していた。
現在、あの日から数日が経っている。
あの日は俺はあの女にまざまざと力の差を見せつけてやった。そして放心状態の女を見て結構スカッとしている自分もいた。
それから学院に戻って「もう二度と俺に関わるな」と女に告げるとその女はよりにもよって食い下がって来たのだ。
それもその時の言葉が――――――
『私はあんたのその力の秘密にとても興味をもったわ。それにあんたがしようとしていることにもね。だからそれは拒否させてもらうわ』
なんという横暴さ加減。あの時とはルミナの感情が違がっていたがそれでもあの横暴さは変わらないままだったらしい。
その言葉に対して、俺は当然反発する。
もうすでに違ってしまっている歴史だが、それでも一致していた部分はあったのでその歴史を変えさせないように、出来ることならば俺が知っている歴史にあの時まで戻すために。
だがあの女は力を持っている奴が力を見せつけて上に立たないのが気に食わないらしい。
まあ、少し言い方に語弊があるが、一言で言えば力あるものは力なきものを引っ張って行けということだ。力の使い方は人それぞれだというのに。
俺はその言葉にも当然ながら反発する。
俺がこの力を持っているのはクズどもを引っ張っていくためじゃない。リーゼルの未来を変えるためだ。
強いて俺がこの力を使うとすればリーゼルに頼まれた時ぐらいだろう。
そして俺はルミナを無視していこうとすると無視すれば言いふらすと言い始めたのだ。
それには俺もカチンとくるわけよ。「お前にかかわっている時間はねぇ」と。
なので、ルミナに禁則の魔法陣を仕掛けた。禁止したのは俺の秘密を言うことだ。
話を戻すとレイナが「ルミナ様がチラチラと見てきた」と言ったのは別にレイナをチラ見していたわけじゃなく、俺をチラ見していたのだ。
しかもその時の目はまさしく正体ばらせと脅迫するような凶悪な目つきだった。
「案外わからないかもよー? むしろ僕の方が関係ない話かも」
「白服のレイナが注目されなくて、黒服の俺が注目されるという方があり得ない話だよ。まあ、僕は違う意味で注目されてるけど」
「ち、違うんだよ! 僕が言いたいのはそういうことじゃなくて!」
レイナは俺に向かって手をワタワタとさせながら言い返そうとする。ごめん、わざとそっちに持ってった。
というか待て、なんで男なのにこんなに可愛く見えるんだ? こいつは本当に男なのか? 実に疑いたくなるぐらいだ。
赤らめた頬に黄緑色に輝く毛先をを少しまとめた長い髪が揺れる。そして天然全開の慌てた表情からの態度。
胸は確認できないがそれで男と判断するにはあまりに早計な容姿に、均整の取れた顔。
もはや男と言う方がおかしいぐらいだ。もうすでに何人かの男に告白された現場を見たことあるし。
考えてみれば俺ってレイナのことを全然知らないよな。
昔を振り返ってみればリーゼルのことがあるまでは俺はレイナと関わりを持っていた。
だがそれ以降は俺への周囲の辺りが強くなっていき、俺自らがレイナを巻き込まないように避けるようにしたんだっけな。
まあ、それからも全く関わりがなかったわけじゃないが、それでもそのほとんどを一言二言の言葉を交わすだけで終わったはずだ。
だから、こう考えると俺はレイナのことをやはり全然知らない。
何をどう感じて俺はレイナを男だと思っていたのかも今となってはさっぱしだ。
どうするか......ここは思い切って聞いてみるか?
俺はレイナの顔をジッと見る。その顔にレイナはやや顔を赤らめてうつむかせるとチラッと見て告げる。
「ど、どうした?」
なにそれ可愛い―――――って違う違う違う! 俺にはリーゼルという心に決めた人がいるんだ! なのに、なぜ惑わされているんだ! 俺ぇ!
俺は一つ咳払いをすると思い切って聞いてみた。
「レイナは今男の制服を着ているわけだが、本当に男なのか?」
「へ?」
レイナは突然の質問にキョトンとした顔をする。
んー、さすがにそれは考え過ぎか? いや、でもその反応が俺みたいに演技だとしたらどうだろうか。
まあ嘘を見破れる魔法はあるのだが、なぜかレイナにそれをやるのは酷く躊躇われる。
俺の数少ない味方だし、ここはレイナの言葉次第で終わりにするか。なんか申し訳なくなってきた。
俺が自分のした行動に一人でに自省しているとレイナはなぜかもじもじと体を小刻みに動かしていく。
そして上目づかいで聞いてきた。
「もしそうだったらどうする?」
――――――何その質問!?
「な、何ってそれはユリスが聞いてきたから......」
やばっ、声に出てたのか。というか、もじもじさせんな可愛らしい!
というか、普通にどう答えればいいんだこの質問......もう何て言ったらいいかわからんのだが.......
俺はレイナの言葉に対して腕を組みながら悩み始めた。これはそれほどの案件だろう。
するとレイナは俺の背後の方で誰かを見つけたようで大きく腕を振り始めた。
その様子に気が付くと俺はレイナの視線方向へと振り返っていく。
するとそこには銀髪で長く伸びた二つを揉み上げを左右に揺らしながら、均整の取れたスタイルを放ち、両手で抱えている紙袋から取り出した菓子パンを食べながら歩いてくるジト目美少女神リーゼルがいた。




