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チート?いいえトーチです  作者: 取手名
8/62

探し物

目が覚めたがまだ風が涼しい。遠くでかすかに鐘の声が6回響いた。

朝飯を食べる為に支度をし、朝食を食べてから宿を出る。

異世界を結構味わったので、今日1日は街中の散策をする事にする。

・・・というよりも、例の件を探しに出かけなければっ!!


というわけで、宿屋を出て右に進む。ギルドを通り過ぎて更に進む。

・・・ない。というか場所をしらない。散策がてら街をぶらぶらしていると見知った顔を見つけた。

クリスさんが店らしきものの前で何やら作業を行なっていた。


「クリスさんっ!!先日はどうも・・・」


「やぁ!誰かと思ったらカナメさんじゃないですか。この街には慣れましたか?」


相変わらず隙がない立ち振る舞いをしているのが微妙に気持ちわるい。


「まぁまだ3日目だからどうにも・・・この街は広くて・・・」


「東方からいらしたのですよね?何かお探しのものでもありましたか?」


「お探しの物というか・・・」


煮え切らない答えにクリスさんはピンッと来たようだ。


「そういえば、冒険者を目指されているとか・・・知らない土地で仲間探しも大変でしょう?」


仲間なんて最初から探してないとはいえないよな・・・。

クリスさんが上手く話を誘導してくれているので、乗らない手はないよな?


「そうなんですよね〜、どこかに<女性>の冒険してくれる仲間はいないですかねぇ〜?」


「冒険者の方々は良く奴隷をパーティーに入れておいでですので、一考されてはいかがですかな?」


「<女性>の奴隷ですか〜。検討したいんですが、<女性>の奴隷を取り扱っているところが分からないですからねぇ〜」


これだけ<女性>を強調していれば大丈夫だろう。何を好き好んでむさ苦しい男をパーティーにいれることがあるだろうか?ここは王道の女性奴隷一択しかない。


「私供も他の店舗で取り扱っておりますので1度見に行かれますかな?」


「まー、そうですね。後学の為に・・・一応・・・おっお願いでっできますか?」


クリスさん、なんて商売上手な人だろう?

彼こそが神なのかもしれない。


「私は伺えませんのでこの男に案内させます。手紙も用意しますのでしばしお待ちを・・・」


1度奥に入っていったクリスさんは、しばらくしてガタイがいい男を連れて出てきた。


「この者の名前はブロルです。無口ですが腕は立ちますので、護衛も兼ねて案内させますので。後はまかせましたよ?ブロル。くれぐれも失礼のないように・・・」


「わかりました若旦那様」


ブロルはこちらに向き直り、


「ブロル・・・です。案内する・・・ます」


あ〜、はいはいこれ系ね。コミュニケーション取りにくい系だな?

早っ!!置いていかれるっ!!失礼がないようにと言われてなかった?

とにかく早いっ!!早歩きどころか軽くダッシュしてるよっ!!


「ゼェ〜ゼェ〜・・・」


走り始めて30分ぐらいでブロルさんは立ち止まりそこにあった怪しげな館に入っていった。

これはどうするべきか・・・、入るべきか待つべきか・・・。

中を覗き込もうとすると扉が開きブロルさんが手招きしていた。


「おじゃましま〜す!?」


「よーこそいらっしゃいました!!私は奴隷商などという卑しい商売をさせて頂いております、リーゲルと申します。クリス様のご友人の方ですね?ささっ、早速お話しを伺いましょーっ!?」


案内されるまま応接間に通される。

応接間には大きく立派な椅子が1つ、その前に小さなテーブルがポツンとあり、テーブルを挟んだ向かいには一段低くなっている場所があった。

リーゲルは俺を椅子に座らせ話し始めた。


「まずはお客様のご要望・・・好みをお聞きしたいのですが・・・」


「あの、今日はそんなに持ち合わせが・・・だから見るだけでいい・・・」


「だーいじょうぶでございます。お金の事など度外視してまずは好みをおっしゃっていただければ・・・」


「なるほど・・・まぁ見るだけなら・・・。そうだな・・・年は俺と同じ16歳前後で、冒険者としてやっていける者・・・」


カッコつけて、性奴隷OKな女性とか、処女とか、出来ればおっぱい大きな子とかいろいろ言えなかった・・・悔しいっ!出来ればやり直したいが、あまりに開けっぴろげは流石に恥ずかしいなっ。


「承知いたしましたっ!!うちでは性奴隷OKな処女奴隷などもおりますが優先して「是非っ!!」・・・かしこまりました。しばしお待ちを・・・」


あの奴隷商やりよる。つい食い気味で返事してしまった。

しばらくテーブルに用意された紅茶みたいな飲み物を堪能していると白いふわりとした服を着た5人の女性達が一段下がった場所に立たされた。

・・・・いやこれ他の4人は要らなくない?真ん中っ!!絶対真ん中っ!!金髪巨乳エロフっ!!これ他の選択肢ないじゃんっ!!ってか見るだけだったはずなのにっ!!絶対お金足りないのにっ、どーすんの!?


「お気に召された奴隷はおられましたかな?」


いや、真ん中の子それ以外見てないからっ!!


「お客様?」


「・・・あ・・・あぁ、真ん中・・・の子・・・」


「かしこまりました。では面談をおこないましょう・・・」


他の4人が出て行き、エロフと奴隷商が残った。

ってか奴隷商も要らないんだが・・・。


「コレッ!挨拶を・・・」


「はいっ・・・お初にお目にかかります。アイリスと申します」


かっ、可愛い・・・。サラッとした白に近い金色の髪が背中まで伸び、瞳の色は水色と黄緑の間。少しだけ垂れ目で左目の下に泣きぼくろがある。唇はエロい。身体つきは女性らしさを前面にだしていて、身長は俺とおなじぐらいで、胸は・・・で、デカイ。痩せているがどこかふわりとした印象を受ける。


「お客様、アイリスは器量は良いのですがエルフとしては致命的でして、更に呪いにかけられておりますので夜伽などはできませんが、本人は性奴隷でも良いとのことです。ですが呪いが解けない限りは・・・」


「致命的とは?それから呪いって?」


「致命的というのは呪いのせいで魔力が常にゼロに近いのです。エルフは様々な魔法を使えますが魔力がゼロでは魔法もつかえず・・・、更にこの呪いは性交渉をしようとしたものを殺してしまうのですっ!!この器量なのにっ!!そのせいで性交渉できずに前の主人から鞭打ちなどを受けて傷が残っておりますが・・・」


アイリスは背中をちらりと見せた。そこには決して小さくない傷がいくつかあった。


傷は・・まぁ正直どうでもいいが、呪いねー・・・。でもあの子が手に入るならっ!!でもセック◯できないとかどんな拷問だよっ!!なんとか、なんとか呪いを・・・。あぁ〜っ!!もう!!どうする?決めろっ!!でもお金が・・・。

恐る恐る金額を聞いてみる。


「でもお高いんでしょう?」


「今なら、クリス様のご友人という事もありますし、呪いなども考慮しまして・・・ズバリ!!大金貨3枚でどうでしょう?」


300万・・・多分めちゃくちゃ安いんだろうなぁー!!ハァ・・・でも全然足りない・・・。

諦めるしかないか・・・。


「今手持ちが・・・」


「仕方ありません、では大金貨1枚でっ!!」


「いや、金貨7枚ぐらいしかない「売りましょう!!今回だけの特別プライスです!!」ってまじでっ?」


「まじでございますっ」


「買ったっ!!絶対買ったっ!!」


「かしこまりました。では早速手続きと、奴隷紋を・・・」


「奴隷紋?」


「はい。主従の証として公に認められます。また、主人を害せなくなること、主人の意思で罰を与える事も出来ます。奴隷の主人になりますと、奴隷の最低限の衣食住を保証しなくてはなりません。また、奴隷分の納税も僅かながらしなければなりません」


「・・・わかった。では奴隷紋をたのむ」


「かしこまりました・・・奴隷紋の金額はサービスさせていただきます」


奴隷商は俺の指針を刺し、その針をそのままアイリスの指に刺した。その後訳の分からない呪文を唱えると、俺とアイリスの身体が僅かに光った。


「これで終了でございます。なお返品等は受け付けておりませんので悪しからず」


「返品なんて絶対しないっ!するわけないじゃん!?」


アイリスが近づいてきて一礼をする。


「改めてよろしくお願いします、ご主人様」


これこれっ!!やっぱりご主人様って呼ばれるのはいいよなっ!そんな呼ばれ方が嫌で変えようとするくだりがいろんな小説にでてくるが、みんな素直になれよといいたい。

とりあえず動揺しないようにしなければっ!


「あ、あぁ。よろしく・・・カナメだっ・・・とりあえず話は宿屋についてからだ・・・」


も、妄想が止まらない・・・。

でも呪いが・・・でも呪いが解ければ・・・解けなかったら?と、思考がループしまくりだ。

奴隷商の館を出ると、あの寡黙な奴・・・名前を忘れてしまったが、そいつがいた。


「お客様・・・宿屋・・・送ります」


今回は少しゆっくりめに進んでくれるらしい。

アイリスは少し後ろから小走りでついてきた。





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