オークション
オークション会場入り口では保証金として金貨1枚を預けなくてはならない。
これは、冷やかしの客が来ないようにするシステムで、何かしら競り落としたら返却されるそうだ。
奴隷の扱いはというと、入札の権利がない代わりに、保証金も取られない。
なんでも、金持ち連中は自分の身の回りの世話をさせる為に連れて入るのが通例となった為に、こういう扱いになったそうだ。
自分の分とベアの分の保証金を預けて中に入る。
クールリュさんはギルドの出品者として、保証金を預けずに入れた様だ。
オークション会場内ではカタログが配られた。
その紙に書いてある絵と商品名を見て、ある程度目星を付けて商品を購入するという流れらしい。
「最初は貴重な薬関係ですか?クールリュさんは何か欲しいやつとかあるんですか?」
「そうですね、やはり万能薬やエリクサーでしょうか・・・。一つは持っていて欲しいですね。ですが値段次第ですね・・・」
なんだ?クールリュさん最近デレまくりだな、チョロイン枠狙ってるのか?
なし崩し的にハーレムinしてくれたらいいんだけどな。
「薬とか管理してくれる人がいればいいんですが・・・。クールリュさん、いっそ屋敷に引っ越して来ませんか?」
「どどどうして、そうなるんですか?ギルド職員が冒険者とここっ個人的にだなんて・・・」
「だって、ランクが上がれば個人受付嬢には是非クールリュさんをと思ってるんで、早いか遅いかだけですよ?」
(たったしかにそうよね、必然だわ、むしろそうしない方が不自然よ・・・ね?)
「かっ考えておきます。それよりほらっ」
会場は、だいたい体育館ぐらいの大きさで、後ろに行けば行くほど高くなっていて、前の人が邪魔で見えないなんてことがない様な作りになっていた。
俺たちの席は比較的後ろの方で左側の壁寄りで、席は1区画毎に仕切りがあり、ボックス席になっていた。
アイリス、ミネルヴァ、リッカ、ベアにクールリュさんと俺で6人はちょっと狭いが仕方ない。
くっついて彼女達の柔らかさと、甘美な香りを楽しんでしまうのも仕方ない事なのだ。
そうこうしている内に、オークショニアの挨拶が終わり1品目のオークションが始まった。
「本日最初の商品はエリクサーです。奇跡の薬と名高いこのエリクサーですが、万病に効果があり、ある程度の欠損部位修復も可能となっております。鑑定の結果、約3回分の容量があるそうで、かなりのハイレアリティとなっております。開始価格は大金貨1枚」
大金貨1枚、約100万円。
だが、開始と同時にドンドン値段が上がっていく。
クールリュさんも、210万円の時に一回コールしていた。
いい忘れていたが、今日のクールリュさんの格好は黒いシックなドレスで背中が大きく空いていて、ウエストとヒップラインにピタリと張り付くような感じで、足元は少し広がっている。
立ち上がったそのヒップラインにムラムラしてしまうのは仕方がないと言える。
それに気が付いたアイリスが立ち上がり右側をカバーするような位置に着いた。
左側は壁になっている為、に必要ないと判断した様だ。
アイコンタクトがなされ、全面をリッカとベアがカバーした。
入札に負けたクールリュさんは落ち込んだ様子で後ろに下がってきた。
「やはり、最初の品は目玉商品だけあって高額な値段が付きましたね・・・」
「そうですね・・・」
下がってきたクールリュさんの腰に手を回し引き寄せた後、サクッと唇を奪った。
「俺たちのパーティの為に落札しようとしてくれたんですよね?ありがとうございます」
「べべっ別に貴方達の為っ訳では・・・」
「違うんですか・・・」
気を落とし、側を離れる振りをしてみる。
「あっ・・・そうよ、そうですっ。心配なんですよっ!!」
また唇を奪う。
こちらに半身を寄せたクールリュさんの手が、変化した俺の身体の一部に触れた。
偶然だったのだろう、ビックリしたクールリュさんは目を見開き、顔が耳まで真っ赤になっている。
「それでは・・・商品番号3番、人魚の涙は大金貨2枚と金貨5枚で302番のお客様が・・落札っ!」
オークショニアは3回目の木槌を打ち鳴らした。
アイリスに誘導されて、クールリュさんは椅子に座っている俺の脚の間に、こちらを向いて座らされていた。
後ろから見られない様に、俺の両サイドにはアイリスとミネルヴァ。
右には盾を持ったベアが、正面はリッカが立っている。
そのリッカと椅子に座った俺の脚の間のクールリュさんは戸惑っていたが、身体の一部に伸びたアイリスの手によって優しく空気中に解放されたその部分に目が釘付けになっていた。
「ゴクッ・・・」
クールリュさんの喉が鳴る。
こんな場所でするのかという常識と戦っていた様だが、アイリスの手によって上下に擦られる物を前に観念した様た。
ハラリと落ちた前髪をそのエルフ耳に掛けながら手を添えようとした瞬間、ミネルヴァによってその手を止められる。
クールリュさんは仕方なく口を使用して非難の眼差しをこちらに向けながら、顔を前後に動かしだした。
髪を直し、口元を拭きつつクールリュさんは左側の、ミネルヴァが立ち上がり開けた席に座る。
「もうっ・・・変態・・・」
クールリュさんが肩をぶつけてくるけど、これでハーレム入りは決定だろう。
これでいいのだ!既成事実を作り、周りから固めていく作戦なのだ。
変態の変態は変態なのだ!
あっ!!もうすぐ薬などの雑品部門が終わってしまう。
最後の商品は「ダークレッドオーガの肝」。
・・・?ダークレッドオーガって俺たちが倒した奴じゃね?
その肝が雑品部門のトリを務めるの?
「午前の部最後の商品は、商品番号64番ダークレッドオーガの肝でございます。元々、オーガ種の肝には精力増強の効果がございますが、ダークレッドオーガの肝にはそれ以上の効果があることが最近の研究で分かりました」
会場内がざわつく。
オークショニアは一拍置いた。
「・・・その効果は、男は絶倫!!90歳の御老人が3日3晩20人以上の女性とまぐわったとされています。女性の場合は、皆気が狂う程の快楽を得られ何百と絶頂を得られます」
会場中がどよめいた。
いやいやいや、欲しいっ!
めちゃくちゃ欲しいっ!
くそっ!知っていたら売らなかったのにっ!!
「スタート金額は大金貨5枚から・・・」
「10枚っ!!」
「11・・・」
「20枚っ!!」
「30枚っ!!!」
「・・・30枚、他にはいらっしゃいませんか?」
「50枚っ!!!!」
「55枚っ!!!!」
それから一騎打ちがはじまり、結果大金貨78枚で木槌が鳴らされた。
(絶対、次にダークレッドオーガを見つけたら絶対肝を手に入れる)
午前中のオークションは終わり、1度退室して昼飯を食べることにした。




