ハーレム
女神の話し・・・正直言って難し過ぎる。
反アテナ軍を作って、アテナを封印するのか殺すのか知らないけど、それをしたらこの世界はどうなるのかが重要だ。
「それでしたら大丈夫ですよ。アテナとアテナの箱庭は別物です。矢を射る者と弓矢そのものの関係です」
相変わらず心を読んでくるのな・・・。
それだとアテナの存在って・・・。
「最初に生まれたのはアテナの箱庭、その後生まれたのがアテナで、アジテーターとしての役割があります」
アジテーター・・・扇動者、なんか俺の職業の<先導者>に似てるな。
何かしらの意思を感じる。
そういえば、ベアに<好転>を使った時も、何者かの意思を感じた様な気がしたが・・・。
「私ですよ?カナメさんは、使者蘇生に近い事をしました。それに伴い、物凄い魔力の変動が起きました」
「ダメだったか・・・」
「いえ。ダメと言うよりも、アテナに気付かれる事の方が問題でした」
女神曰く、気付かれれば折角女神の駒にされる事なく過ごせる筈の物が台無しになる。
さらに、アテナに籠絡されて力を利用されることも問題となる。
その為、ベアを蘇生する為に不足しているMPを経験値で支払ったそうだ。
しかしこの女神・・・。
転移した時、死にそうだったのを助けた借りを返せとも、ベアを蘇生させた時に助けた借りを返せとも言わない・・・。
そう言われた方が楽なのに。
「だって・・・借りを返せって言っちゃうと、返して貰ったらそれで終わり・・・チャラってなりますけど・・・」
「言わなければチャラだと俺が感じるまで利用できると」
「言い方に棘がありますけど・・・ね」
「わかった・・・協力はする。ただし、戦争はそっちでやってくれ。あと、仲間に手を出すのもダメだっ」
「はいっ、ありがとうございます。カナメさんっ」
女神の感謝の言葉と共にギルドの部屋に戻って来た。
エウリュアレーが怪しい笑みを浮かべている。
「話したようね・・・結論は出たかしら?」
「あぁ・・・・・・・協力しよう」
エウリュアレーは早速動こうとしたが、流石にいろいろありすぎて頭がオーバーヒートしている。
それに、今日はオフ日なんだ。
実行日は、オークションの後に装備を整えてからの方がいい。
何があるかわからないからな。
屋敷に戻り、アイリス達に事情を話した。
皆あまり理解できてない様子だったが、それは当たり前だ。
俺も良く分かっていないのだから。
とりあえずあと3日間はダラダラ過ごし、
とうとうオークションの日がやってきた。
因みに昨日の夜にクールリュさんは転移して来た。
転移できる事を、もうクールリュさんにはバラしてもいいと思って、伝えたところ・・・。
「今更何言ってるんですか?私はギルド嬢ですよ?カナメさんのクエスト履歴を見れば、王都と自由都市ダロンをとてつもない移動スピードで往き来しているのは明白です」
との事。
だが秘密にして、更に時間的に辻褄が合うように改ざんまでしてくれていたらしい。
昨日は屋敷に泊まってもらい。
今まで黙ってくれていたお礼という形で、全員でクールリュさんを責めてみた。
「クールリュさん?朝ですよ?」
「・・・・もう無理・・・あだまが焼ぎ切れ・・・ハッ!!!朝・・・」
昨日失神したまま眠っていたので、朝になってその余韻が来たのだろう。
「大丈夫ですか?お風呂がありますから入ってスッキリして下さい」
「ふわっ、朝からお風呂なんて贅沢ですね」
クールリュさんはフラフラと部屋を出ていった。
案内はルルがしてくれるみたいだ。
さて、朝食を済ませて全員が準備出来たら王都レヴィアモスのアモス、その南側にある歓楽街に向かう。
馬車は昨日の内に頼んであったので、鐘の音が9回聞こえた頃に屋敷に来た。
「さぁ、いくぞ!」
「はいっ!ご主人様」
「あぁ、わかった」
「了解ッス」
「わかりましたわ、カナメ様」
「えっ?私もこれに続くの?なし崩し的に私もカナメさんのハーレム要員になってる気が・・・」
「・・・きっ、気のせいですよ。さぁ行きましょうクールリュさん」
馬車で向かいながら、クールリュさんにオークションについて詳細を聞く。
「難しくないですよ?最初は比較的値段の安いオークションがあります。その後、比較的値段が高い武具関係や、魔道具などのオークション。その後がアーティファクト関係です。そして、夜に奴隷のオークションですね」
なるほど、メインは夜だな。
「オークションのやり方もあまりわからないんですが・・・」
「それも知らないんですか?全く・・・」
そう言いつつも、クールリュさんは懇切丁寧に教えてくれた。
俺が出品するアーティファクトのコテージはクールリュさんが手続きなどをしてくれるので問題はない。
問題は、俺が入札する場合だ。
それについては実際のオークション会場で説明してもらう事になった。




