オーガマミレ
入り口は、蔦が沢山垂れ下がり、かなり分かりにくくなっているが、結構大きな口を開けた洞窟だ。
横幅10m縦幅3mってところかな?
とりあえず入り口に魔物はいないとアイリスが言っていたが、一応ゆっくり奥を覗き込むが暗い。
トーチを限界の5個展開させる。
トーチは、いつのまにか出せる数が1個増えていた。持続時間も25分から30分に増えている。
とにかくそのトーチを洞窟内に展開してみる。
外から覗く限りは何もいないな・・・。
「奥に多分オーガが1体います、ご主人様」
アイリスの指示に従って奥に進んで行く。
居た・・・さっきの奴より少しデカいし、肌の色が鮮烈な赤だ。
あれがレッドオーガ・・・オーガの亜種なんだろう。
そのレッドオーガがトーチの光に気づいて近づいてくる。
全員が目を瞑った所で一旦トーチを全て消す。
耳を塞ぐ。
「スタンフラッシュっ!!」
・・・・・・・。
目を瞑っていても明るい、耳を塞いでいてもキーンと音がしてる気がする。
トーチを展開してレッドオーガを確認すると、土下座に近い形で蹲っている。
まず、ミネルヴァが走っていった。
俺も・・・あれっ、地面が揺れてる。
構うなっ!今しかチャンスはない!
「ダッシュラッシュ!!」
「牙顎っ!!」
そのまま距離を取ると、オーガがむちゃくちゃ暴れ始めた。
「シールドバッシュ!!」
「スタンボール」
「照明ボムっ!」
ベアが<シールドバッシュ>で大勢を崩し、アイリスの<スタンボール>が痺れさせる。
そこに俺の<照明ボム>が炸裂し、ミネルヴァの追撃の邪魔をする。
・・・・ん?・・・俺いる?
「・・・・スーッラーッシュ!!!」
ミネルヴァの溜めスラッシュがレッドオーガの胴体を斜めに割いた。
「ピコンッ」
おぉ、順調にレベルは上がっている。
が、所詮は元に戻っているだけで、何の変化もないので割愛する。
今回は、アイリスのレベルも上がっているみたいだ。
アイリス(所有者:カナメ)
種族:エルフ
職業:弓術士:Lv8(奴隷) 短剣士:LV1
称号:なし
16歳
レベル:23
HP:1520(1520)
MP:1790(1790)
攻撃力:1910(1790+100+20)
防御力:1600(1520+80)
素早さ:1690(1690)
魔力:1690(1690)
器用さ:2190(2190)
運:30(30)
<固有能力>
「風読み」
<スキル>
風魔法:Lv6(ウインドフォロー:Lv5 ウインドエッジ:Lv6 エアシールドLv2)
雷魔法:Lv6(スタンボール:Lv10(MAX) スタンフラッシュ:Lv3 サンダーボルトLV:1 )
主従の祝い:Lv7
身体強化:Lv6
奉仕:Lv10
<技スキル>
雷矢:Lv3
強射:Lv4
<加護>
女神の加護:Lv7
<獲得可能職業>
細剣士:Lv1、弓士:Lv1、弓剣術士:Lv1
<獲得称号>
薄幸のエルフ
呪いに耐えし者
スキルポイント1710
アイリスは全体的に強化が進んでいる。
新しく覚えたスキルは<サンダーボルト>だ。
サンダーボルト・・・対象に落雷を落としダメージを与える。燃焼と痺れの追撃効果を与える。
いいじゃん、いいじゃん・・・。
アイリスの<スタンボール>も、<スタンフラッシュ>も、どちらかと言うと非殺傷スキルだ。
<サンダーボルト>のような殺傷スキルは、雷魔法では初めてだ。
ただ、消費MPが100もある為に連発は出来そうにない。
今まで通りに<スタンボール>か<スタンフラッシュ>を使って貰い、ここぞと言う時に<サンダーボルト>って感じになりそうだ。
あと、<主従の祝い>がLV7になった。
<主従の祝い>は主従があるパーティ間で祝福を共有できる。
ただし、<主従の祝い>のレベルを超えないと言う制限があった。
今回<主従の祝い>のレベルが上がった事で、今までは<女神の祝福>がLV6分しか恩恵を受けていなかった俺以外のパーティにLV7分の恩恵があるようになったのだ。
これはデカい。
あと、密かに<奉仕>レベルが10になっていた。
・・・え?<スタンボール>はLV10でMAXになってたよ?<奉仕>LV10はMAXじゃないの?
アイリス・・・恐ろしい子っ。
それから、アイリスには近接技がないので、新しく覚えた<短剣士>の職業をセカンドジョブとして付けておいた。
スキルポイントは300消費してのこり1710になっている。
「ありがとうございます、ご主人様」
「あぁ、それより奥の状況は分かるか?」
アイリスによると、奥はかなり広いそうで、複数のオーガの気配と、謎の気配があるらしい。
「どうする?王都に戻って報告した方がいいか?」
「どうするかはキサマ次第だが、出来るだけ探索して、貰える物は貰ったらどうだ?ダンジョンだとしたら未発見だろう。宝とかあるんじゃないか?」
「私はカナメ様に憑いて行くだけですから」
でしょうね。
俺の召喚獣みたいなもんだから。
でも、憑くの字は不穏だから止めようね。ってかベアが言うとやっぱりストーカーっぽく聞こえる。
慎重に行くとしますか。
何かあったら即引き返す方向で。
現在トーチの最大射程は50m程だ。
LV1で10mでLVが1上がると5mづつ射程が伸びてきている。
そのトーチを出来るだけ前方に展開して進んで行く。
居た、またもオーガだ。
今回は普通のオーガに見える。
例によってトーチを不審がり、棒でツンツンしている。
思考回路はゴブリンと同じだな。
あと、排泄物じゃないからそんなばっちぃ物みたいに扱わないで・・・。
とにかく、オーガはあまり複数で見かける事が少なくて助かる。
サクッと殺りますかっ!!
・・・・・ミネルヴァが・・・。
だってまだパワレベの途中だし、俺にはアイテムボックスに収納すると言う大切な仕事が・・・。
ベアさん?それ俺の大切な仕事なんですが・・・。
忘れてた、ベアもアイテムボックス持ちだった。
つ、次!次は絶対に活躍するもんっ!!
アイテムボックス収納は譲りませんよ!?
あっ、そうそう。
今の戦闘でミネルヴァのレベルも上がった。
ミネルヴァ(所有者:カナメ)
種族:ダークエルフ
職業:剣豪:Lv4 指揮官:Lv4(奴隷)
称号:
17歳
レベル:19
HP:1940(1940)
MP:750(760)
攻撃力:2680(2560+100+20)
防御力:1740(1660+80)
素早さ:2040(2040)
魔力:760(760)
器用さ:1560(1560)
運:57(57)
<固有能力>
「共有」
<スキル>
無属性:Lv5(オートシールド:Lv5 シールドウォール:Lv2)
火属性:Lv4(ストレングス:Lv4 ボム:Lv2)
身体強化:Lv7
奉仕:Lv10(被虐:Lv8)
インパクト:Lv3(ダブルインパクト:Lv3 トリプルインパクト:Lv1)
指揮:Lv1(鼓舞:Lv1)
<技スキル>
スラッシュの極意:Lv3 牙顎爪:Lv1 パリィ:Lv5
<加護>
女神の加護:Lv7
<獲得職業>
剣士:Lv6
<獲得可能スキル>
ウォークライ
<獲得称号>
敗戦の将
スキルポイント1740
とりあえず前から獲得可能職業だった、指揮官:Lv4をセカンドジョブにしてみた。
獲得するのにスキルポイントを600も消費してしまった。
だがこれで、セカンドジョブに職業を新しくセットするのに必要なスキルポイントが300でレベルに応じて消費スキルポイントが高くなることがわかった。
で、指揮官をセットすることによって増えたスキルは、
指揮・・・戦闘における指示等が正解に伝わる。ミスの確率を下げる。
で、指揮の派生スキルである<鼓舞>は、
鼓舞・・・味方の戦意を上げる。攻撃力、クリティカル確率に補正がかかる。
それから技スキルの<牙顎>が<牙顎爪>に変化してLv1になっていた。
牙顎爪・・・時間差のない上下のコンビネーションの後、追撃する。追撃は必ずクリティカルになる。
強っ!!俺も一応アタッカーなんだか、ミネルヴァとの差が開いていく。
凹む、もう今日はお開きにして明日出直すことにする。
王都の冒険者ギルドに戻ってきた。
「あら〜、帰って来たの?こっちいらっしゃ〜い」
「尻アゴか・・・」
「うぉ〜ぃ!?思考が漏れてる漏れてる。ダダ漏れよ?」
「尻だけにか?」
「アゴいじりはそれくらいにして、依頼は達成出来たの?」
オーガマは相変わらずフラットだ。
「あぁ。依頼は3匹だったが、1匹多いけど大丈夫か?」
「依頼は3匹だから、多い分は素材の買い取りしか出来ないわ」
「そうか・・・あと、レッドオーガらしき奴を仕留めたんだが・・・」
「えっ・・・、レッドオーガ仕留めた?またまた〜、冗談はよして・・・本当に?」
オーガマが信じていなかったので、カウンター横にレッドオーガの死体を出した。
どうやらレッドオーガはC級でも手こずる魔物らしい。
依頼書があったので、それも受理してもらった。
オーガ討伐(素材納品)・・・3体。素材代込みで金貨10枚(推奨ギルドランクD)
レッドオーガ討伐・・・1体。金貨12枚(推奨ギルドランクB)
計、金貨22枚。
そしてギルドランクがCになった。
クールリュさん、喜んでくれるだろうか?
それから、レッドオーガの素材代は、金貨9枚と大銀貨5枚になった。
最終的な今日一日の儲けは日本円にして315万円だ。
一日の稼ぎとしては悪くない。
それにもうすぐ所持金が1000万円を超えそうだ。
そんな大金見たことある?
このお金で奴隷商でも・・・、いかんいかん。
これはリッカの旅費と滞在費に当てないと。
とりあえずリッカを迎えに行くか・・・。
一度屋敷に戻り、<転移の灯台>でリッカが乗っている馬車に転移する。
「ひゃわっ!!ご主人っ!ビックリしたッスよ!!」
「おぉ!リッカ・・・何で馬車で寝てるんだ?」
「いや、宿代出してもらうのもなんかなぁ〜って思って・・・」
「お前、ふざけてるのか?これは重要な仕事だっ。金の話は任せて、馬車とお前の安全を最優先にしろっ!」
「わかったッス、ご主人。面目無いッス」
「よし、次の街まで行って宿に馬車を止めたら、屋敷に帰るぞ」
「あれ?お仕置きだべ〜って言わないッスか?」
「リクエストなら仕方ない・・・」
「あれ〜・・・?もしかして墓穴を掘ったッスか?身の安全を最優先していいッスかね?」
服を脱いで、リッカが入っている寝袋に滑り込む。
寝袋の中で格闘した。
その後、リッカの身の安全が最優先な事に気づく。
傷などないか全身を調べる必要がある為、馬車の幌の骨組みにロープを掛け、そのロープをリッカの腕に巻いて引き上げる。
全身を確認しなければならない。
薄暗くなり始めた馬車の中、トーチに照らされた未成熟なリッカの身体の隅々まで、外はもちろん中まで確認した。
屋敷に戻ったのは夜中だった。
忘れていた、ここにも飢えた獣が3匹いた事を。
「ウチはもう大丈夫ッス。痛いので今日はパスで・・・なんかデジャヴッス」
明け方まで暴れまくってクタクタになった。
今日は一日ダラダラ過ごそう、そうしよう。
リッカを宿に送って屋敷に戻り、一日寝て過ごした。




