表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チート?いいえトーチです  作者: 取手名
42/62

初心者ハンター

10階は明るかった。

太陽の光が当たらない日陰、それがダンジョン全体に広がっている。

かといって光源が見当たらない。

太陽がないのに薄明るいのだ。今まで出していたトーチは出さずに進む。


「上ですっ、ご主人様」


上空から飛んで来た何かはウィルオウィプスに攻撃したみたいた。

だが、ウィルオウィプスは物理無効。

お返しとばかりに照明ボムを放っていた。

もちろん威力は低い。


「パンッ!!」


乾いた炸裂音とストロボ見たいな光が一瞬。

でもそれでも飛来した何かの動きを止める事が出来たみたいだ。


「スラッシュ!」


よしっ!倒した。

初めて、仕事らしい仕事をした。

斬り裂いた物を見てみる。


「鳥・・・なのか?顔はヘビなのに・・・」


「鳥ヘビです、ご主人様」

「鳥ヘビだな」

「鳥ヘビッス、ご主人」


みんな知ってるみたいだ。

体長は1m程の長さで、翼が生えている手足はないからドラゴンって訳でもない不思議生物。

ダンジョン産の鳥ヘビは魔石があるせいなのかは分からないが、食用肉としては高級で美味いらしいので、今日の夕飯にしようということになった。

1匹だと心許(こころもと)ないし、余ったとしても売れば高く売れるので、数匹狩る事にした。


探し始めてすぐに居た。ウィルオウィプスを先行させると空から急襲してくる。

降下中は細くなっているから狙い辛そうだが、降下後スピードを落とす為に鳥ヘビがホバリングする。

その時広げた翼はいい的になるみたいで、アイリスとリッカが狙い撃つ。

後は地面に落ちた鳥ヘビを前衛2人の近い方が仕留めて終わりだ。

それを小1時間続けると、最初に倒したやつも含めて計5匹の鳥ヘビをゲットした。


11階は何もなかったが、12階に降りた時事件が起こった。

降りた先に冒険者が居た。

今までも何組かの冒険者を見かけた、が声をかけてくる冒険者は初めてだった。


「ち〜す」


「・・・」


降りてすぐに声をかけて来た冒険者パーティーだが、ミネルヴァはシカトしている。

そこに後衛組も降りて来た。


「ひゅーっ、お姉さん達はどこまで潜る予定なん?」


「・・・」


「シカトっ!気が強いね〜。警戒しなくて大丈夫だよん」


「ミネルヴァ下がれ。何の用だ?」


「あぁ、あんたがリーダーなん?魔物のレベルが上がって来てるんで、ちょっと休憩してたら美人さんが降りて来たからね。良かったら一緒に組んで下に進まない?」


「それは他の冒険者に頼んでくれるか?俺達には協力するメリットがないからな」


「まぁ、そう言わずにさぁ〜」


シュッ!

首に何か刺さった。あぁ・・・吹き矢か・・・。


「ぐあっ!!!」


アイリスが気付いて吹き矢を放った奴に矢を射る。


「何しやがる、このアマ!」


ミネルヴァが俺を庇う様に前に出て、話しかけて来た奴に斬りかかった。

斬りかかられた奴も剣を抜いて対応しているが、ミネルヴァの健力には敵わないみたいで吹き飛んだ。


「こんのっ、馬鹿力がっ!」


吹き矢というのは直接的な殺傷力はない。だが、毒や痺れ薬が塗ってあるのが一般的だ。

でも、状態異常耐性を持っている俺には効果が薄い。効果があっても状態異常ヒールをかければ治る。


「ふぅ、ミネルヴァありがとう。大丈夫だ」


「馬鹿なっ?痺れてるはずだっ!!」


「耐性があるからな。それより、目的は何だ?」


「いや〜、目的ね・・・。ダンジョンに潜る奴の目的は1つ。金っしょ?金を得る目的は女しょ?両方を得るには?・・・・追い剥ぎっしょ!」


声をかけて来た連中はジリジリとフォーメーションを整えている。

実質、吹き矢の奴は無力化した。後は剣士が4人と、ハンマーを持った巨体が1人。

一気に来られると厄介だな。だが後ろは階段だ。


「アイリス、リッカ。階段上まで下がれっ!!上にもいるかもだから警戒しろよっ」


アイリスとリッカが走り出す。

俺とミネルヴァは2人が追撃されない様に、下衆共に睨みを利かせる。


「さてさて、男は殺せっ!女は出来る限り生け捕りだっ!最悪手足が無くてもいい。やれっ!!」


「「「おうっ!!!」」」


「剣気っ!スラッシュ!!」


斬りかかって来た剣士に剣気を発動し、スラッシュを浴びせる。

よしっ!腕を飛ばした。追撃をしようとすると、横から顔面に突きが飛んでくる。

その剣をミネルヴァが斬り伏せるが、後ろから斬られた。


「クッ!」


「大丈夫か?」

「浅いっ!大丈夫だっ!」


「引くぞっ!」


階段に向かって走り、駆け上がる。

奴らが追ってくる。


「ガッ!!」

「うわぁっ!」


上からの援護が飛んできた。

アイリスとリッカだ。高低差があるので、射線は通っている。


「ごあーーーーーっ!!」


たが、あの巨体が腕をクロスさせて突っ込んでくる。

ここまでだ。


「アイリス、リッカ。上がって準備しろっ!」


ミネルヴァと視線を合わせた後、階段を駆け上がるった。

だが、すぐにあの巨体も駆け上がって来る。

後ろには巨体を盾にして、あのチャラ男も上がって来た。


「2対4だぞ?まだやるか?」


「このゴードがいれば逆転は可能だ」


「この・・・ゴードが・・・最強!ふんすっ!」


ゴードが突っ込んで来るが、リッカが毒痺れ丸を放った。

アイリスもスタンボールを叩き込む。


俺とミネルヴァは残ったチャラ男を左右から挟撃した。

どう対応するか迷ったみたいだが、ミネルヴァの方に向かって行ったチャラ男だが、それは悪手だ。

ミネルヴァの方が俺より強い。更に、俺を倒して人質にした方が得だからだ。


案の定、ミネルヴァに吹き飛ばされてチャラ男がこちらに飛んで来る。それを体当たりしてまたミネルヴァの方に押しやる。

それをミネルヴァは斬り殺した。


ゴードは動けなくなっていたので、首をはねておいた。

急いで階段を下りる。途中にリッカの毒痺れ丸で痺れていた奴を縛る。

更に階段を下りて腕を斬り飛ばした奴を見ると、ショック死していた。

これで安心、いやっ!吹き矢がいないっ!


「動くなっ!!・・・動いたらコイツの首をハネるぞ?」


チッ!リッカが羽交い締めにされている。


「どうぞどうぞ。で?ハネてどうする?お前が死ぬ事に変わりはないぞ?」


「・・・なっ、ならば。コイツも道連れにしてやる」


なかなか根性が座ってる。

この目は本気だな・・・。


「わかったわかった。じゃあ、見逃してやる。さっさと消えろっ!その変わり・・・」


「黙れっ!武器を降ろせっ!」


「お前はバカなのか?武器を降ろしたらリッカを殺されて、他の奴がまた人質になるだろ?流石にそれは出来ない」


「うるせーっ!!!」


「だから、見逃してやるからさっさと消えろっ!このままじゃ水掛け論だ」


「しっ、仕方ねぇ。動くなよ?」


「いや、リッカは置いていけ。リッカを傷付けない限り、後ろから斬るなんて真似は絶対にしない。神に誓おう!」


「絶対だな・・・わかった」


ジリジリと距離を開いていく吹き矢使い。

ある程度離れると、リッカをつき飛ばして、走り出した。


「アイリスっ!」

「はいっ!」


アイリスは分かっていたみたいで、弓をつがえ放った。

よろけて倒れた吹き矢使いは、また走り出す。


「<強射>っ!!」


アイリスの<強射>スキルは溜めがいるが、通常よりも強い矢を放つ事が出来る。

男が倒れた事により、その溜めの時間が出来たようだ。

放たれた矢は、吹き矢使いの背中に半分以上埋まった。ライトアーマーを着ていてこの威力と正確性は驚異だ。

吹き飛んで動けない様だが、まだ生きている。

ゆっくりと近づいていく。



「攻撃・・・しねぇって・・・約束だったはずだろっ!!」


「後ろから斬らないって言ったが、他の奴が矢を射らないとは言ってない。それに、リッカをつき飛ばしたろ?」


「見逃して・・・グボッ!・・・くれよっ!」


「ないな・・・」


目に剣を突き刺した。

縛っておいた男はどうするか、アイリス達に聞くと、ギルドカードがあるからそれを持ってギルドに行くべきだとなったので男を気絶させ、ゴードやチャラ男達のギルドカードを持って屋敷に転移した。


屋敷では、リリとルルがご飯の用意をしていたが、ギルドに行くから遅くなるかもと伝えてから出かけた。


「カナメさんっ!・・・何ですか?新しいプレイか何かですか?」


ギルドに入るとすぐクールリュさんが気付いてくれた。


「違いますよ。コイツらにダンジョンで襲われたので・・・」


事情を話す。


「なるほど、最近被害報告が何件か上がってました。ギルマスに報告してきますのでお待ちを」


数十分後、クールリュさんはギルマスらしき人と階段を下りてきた。


「やぁ、君があのカナメくんだね?初めまして、ダロンのギルドマスターやってるモルドレです。よろしく」


・・・ショックです。ギルマスは美人さんか、ロリっていうのを期待してました。いや、100万歩譲って、イカツイ元冒険者でもいい。

だが目の前にいるのは、短い金髪で人の良さそうな男だった。

まぁ、前回クールリュさんが俺のランクアップの件で揉めてる時にチラッとは見たから薄々は気づいていたけどな。


「君を襲った奴は1人を除いて全員ヤッたんだね?詳しく教えてくれるかい?」


もう一回説明することになるとは思わなかった。

だがそれも仕方ない事だろう。

時間をかけて説明した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ