表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チート?いいえトーチです  作者: 取手名
40/62

グール

翌日、午前中は双子を奴隷商に連れて行き、奴隷紋を刻んでもらった。

刻むと言っても、魔力的にマーキングするので、解放の際は跡など残らないから安心だ。


午後は、ダロンの宿屋に戻って来た。

その足で、ギルドに向かう。

扉を開けるとクールリュさんの大きな声が聞こえた。


「だから、その前例がないっていうのは聞き飽きましたから。前例がないから作るんです」


「しかしだね〜クールリュくん・・・」


新人巨乳ギルド嬢が近づいて来る。


「何か君の為に揉めているらしいよ?クールさんがあんなに熱くなるなんて変なのよ。何かあったの?」


「あっ!!!カナメさん・・・」



こちらに気付いたクールリュさんが身なりを整えて近づいて来る。

ちょっと気まずいが、クールリュさんは何もなかったかの様に振る舞っている。


「どうしたんですか?大きな声で・・・」


「カナメさんのランクアップをギルマスに掛け合っていたんです。ダークレッドオーガの討伐と新種認定。それから、王族の指名依頼達成・・・実績は十分です」


「でも?」


「こんなに早くDランクになった前例がないからダメだと・・・もう1つ何か実績があればと言ってました」


「そうですか、別にランクは何でもいいですよ?クールリュさんが大変な思いをするくらいならゆっくり上げて行きますから」


「・・・別にあなたの為だけじゃ・・・」


「え?何か言いました?」


「何でもないです!で?何の用ですか?」


「ダンジョンのクエストを受けたいんですが、何かありますか?」


「ダンジョンのクエストですね?え〜っと・・・」


左にいたリッカが、ニヤニヤしながら肘でツンツンして来た。


(ニッシッシ、難聴スキル発揮ッスか?ご主人)


(何言ってるんだお前?)


(だって、早くランクアップさせたいのは、ご主人の為だけじゃないって多分、早くランクアップしてもらって個人受付嬢や、パーティー受付嬢になりたいって事ッスよ?)


顔がニヤケそうになるが、アイリスや他の人の目もあるので自重する。

とにかく、クールリュさんの為に早く実績をあげないとなっ。


「これなんかどうですか?」


「なるほど・・・ドラゴン討伐ですか・・・大陸の西の山に出没すると・・・推奨Lvは58・・・って出来るかーっ!何でこんなクエストがEランクのクエストにっ!」


ランク不問のクエストらしい。

ただ、さすがにドラゴン討伐は無理なので、初級ダンジョンの深部にいるイビルアイの目玉10個納品を受けた。

達成報酬は、金貨8枚、期限は15日。

日本円にして80万と破格に思えるかもしれないが、イビルアイは危険な深部にしかいない。また、討伐依頼は素材を売ってその分収入が増えるが、素材納品依頼は、素材を納品するので素材代はない。

その分の金額が報酬に上乗せされている。



ギルドを出て昼過ぎにダンジョンに着いた。

御者には帰ってもらい帰りは<転移の灯台>で帰る予定だ。


例のごとく、フォーメーションは前衛左が俺、右がミネルヴァ、後衛左がアイリス、右がリッカだ。

5階までは普通に魔物を避けて進んで行った。どうしても回避出来ない場合は遠距離からアイリスが弓でしとめた。

道に関しては、アイリスの固有スキル<風読み>とリッカの<地質調査>を頼りに進んでいった。

リッカには紙とペンを渡し、<オートマッピング>をさせている。

危険察知能力が高いのはアイリス。

そのアイリスと、ミネルヴァの<共有>で感覚を共有して歩いているので、魔物がいた場合にはすぐ分かる。

俺だけが仕事をしていない。


初級ダンジョンには、致死性の罠はないらしいので、結構サクサク進んでいく。

途中痺れ矢が飛んで来たが、ミネルヴァが切り落とした。


「ダンジョンの深部って言うけど、このダンジョンはどれくらいの深さなんだ?」


「全25層ッス。10年前にダンジョンコアがその階層で発見されたッスよ。それから階層が増えたって話は聞いてないッス」


ダンジョンというのは不定期に階層が増えるらしい。魔物や宝を生み出し冒険者を引き寄せるシステムだとリッカが言っていた。

ダンジョンコアは外殻に守られていて、触るとボスと呼ばれる強力な魔物が出現する。

そのボスを倒すと、ダンジョンは死ぬらしい。死ぬと言っても、魔物や宝を出さなくなり、数百年かけて朽ちていくだけらしいが。


「何でここはそのダンジョンコアが破壊されてないんだ?」


「簡単ッスよ。ボスが危険過ぎるからと、放置していても魔物の素材というメリットしかないからッス。もっと大きなダンジョンだったら、スタンピードが起こる危険もあるのでボスを倒すことを目標にしてるみたいッス」


「ボスが危険ってことは、誰か挑戦したんだろうか・・・」


これは、ミネルヴァが知っていた。

10年前にダンジョンコアを発見した冒険者は、小さなダンジョンだと油断して、外殻に触れた。

現れたのは浅いダンジョンに似つかわしくない魔物。その名はエキドナ。


・・・は?地球でいうエキドナってまじ化け物なんですけど。

エキドナは下半身が蛇の美女で有名だよね?それ?

たしか、ゼウスを追い詰めるくらいの化け物の嫁で、オルトロスとかケルベロスの母だったかな?で、旦那がゼウスに負けた後、息子のオルトロスと寝て子を産んだとかだったはず。


そんな化け物普通に戦えるわけないじゃん!!

冒険者達はあっけなく殺されて、1人だけ助かった奴がいたらしい。

それが、噂に名高いフェリペさん・・・って知るかっ!!


とりあえず、ダンジョンコアには触れないでおこう。

ただ、あっとゆう間に8階まで来てしまった。

今日の目標は10階まで行く事、あと2階というところで珍しい魔物が出たようだ。


「ご主人様っ!!グールの群れです!」


「ウジャウジャ居るッス!これは回避できそうにないッスね!」


「斬り捨てるまでっ!!」


チャンスターイム!!一度やってみたかった事がある。


「慌てるなっ!<篝火(かがりび)>」


篝火は魔物を引き寄せる。

その篝火を4つ作る。それと同じ場所に、


「<聖火>!!」


聖火を作り出す。

聖火は魔物を寄せ付けない。

だが、もしかしたら聖火はアンデットに効果があるのではないかと考えていた。

案の定、篝火に寄ってきたグールが聖火に焼かれて浄化していってる。

近寄っては浄化、近寄っては浄化。

昔、ゲームのコントローラーにガムテープを貼って学校に行た時の事を思い出した。

お茶を飲んでゆっくりしていると、ピコンッ!という音がした。

見てみると、ウジャウジャいたグールは1匹も居なくなっていた。


少し早いがレベルアップ確認の為に屋敷に戻った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ