アイリス攻防戦
昼過ぎ、不機嫌なアイリスをどうしようかと考えながら過ごしていると、ジグル王子自ら、クエスト達成の報酬を持って来た。
「カナメ殿、昨日はありがとうございました。報酬ですが、1本が大銀貨4枚×72本と指名依頼料の大金貨3枚で、合わせて大金貨5枚と金貨8枚と大銀貨8枚ですね」
日本円で588万円。
内容の濃いクエストだった。
まだ、王様と揉めているそうだが、何とかすると息巻いていた。
ベアトリーチェに対する<転移の指輪>の代わりの物だが、彼女はちょっと特殊な物を望んでいるとか。それが何かはジグル王子も知らないみたいだ。
「<氷の花>は、あの後香水に出来たのか?」
「無事に・・・2人も喜んでくれる筈だ。父もそのうち許さざるを得なくなる」
「何か、ジグル王子は変わったな・・・。前はこう・・・何て言うか」
「特権階級を振りかざす無礼なダメ王子か?」
「それそれ、でも今は何ていうか・・・いい王子かな」
王子は、「言い訳になるが」と前置きした。
そして、蠱毒の呪いの恐怖を語った。
日に日に、死の期限が迫ってくる恐怖。それから逃げるとか、現実逃避する為の淫蕩も、EDの呪いで出来ない。
そりゃ性格も捻くれてしまう。感染するから誰も近寄らない中、あの巨乳ちゃん達は、ずっと側に居てくれたらしい。
ええ話や。
「父は何とか説得してみせる。なんせ、おじいちゃんになるんだからなっ!」
何だとっ!?スゲーなジグル王子。
「それでだが、結婚式にはカナメ殿にも来て欲しいんだが・・・報酬は・・・」
おいおい、自分の結婚式に報酬払って来てもらうって、どんだけ友達居ないんだよっ!
「報酬なんかいるわけないだろ?俺は親友の結婚式に参加させてもらうんだからな」
ジグルは喜んでいた。
挙式は1〜2ヶ月後になるらしい。
ジグルが帰った後、服を買いに来ていた。
全員5着づつ1着は夜の為の服を選ばせる。
双子には5着とメイド服を買った。
リッカとミネルヴァが気を利かせて、食料品の買い出しを双子と行くらしい。
双子の奴隷紋は後日にするとして、今日は今からアイリスのご機嫌とりをしますか・・・。
「じゃあ、買い出しに行ってくるが・・・キサマはちゃんと話しを付けて帰ってこいよ?正直あの空気は耐えられん」
「わかったが、ミネルヴァ・・・勝手に<共有>するなよ?」
「すすす、する訳ないだろう!?」
めちゃくちゃ動揺してるじゃん!
まぁ、ともかくアイリスを連れてデートでもするかな。
「アイリス、どこか行きたい所とかあるか?」
「ありません、ご主人様」
あらら、完全にヘソを曲げていらっしゃる。
話しをするのが先かな?
一度屋敷に戻る。
「アイリス?いい加減に機嫌を直して欲しいんだが・・・朝帰りについては悪かったと思ってるんだ」
「朝帰りについては・・・嫌ですが、それで怒っているのではありません。それどころか、私は奴隷ですので怒る事自体がおかしいんです」
「不機嫌な理由は朝帰りでは無い・・・では何故・・・」
「ご主人様からエルフの匂いがしました」
あぁ〜、なるほどクールリュさんの事を怒っているのか。
誤魔化すことは出来そうだが、正直に言った方がいいな。
「昨日誕生日会で、クールリュさんと偶然会ったんだ。それで、色々あって彼女は弱っていた。・・・違うな、魅力的だったから抱いた」
「そう・・・ですか」
「別にアイリスよりクールリュさんが良いって事ではないからな?むしろアイリスの方がいい」
「ご主人様、私はずっとあのギルド嬢に劣等感を抱いていました。ご主人様と先に会ったのもあのエルフ。その後、ご主人様に買って頂いたのが私。多分ご主人様はあのエルフを気に入ってましたよね?その代わりが私なのだと」
「そんな事はない、アイリスはアイリスだから買ったんだ」
「それに、私は奴隷であのエルフはそうではない。奴隷が主人に対して恋愛感情を持つのは本来タブーですが、奴隷ではないあのエルフはそれが自由に出来ます」
「奴隷から解放されたいのか?」
「それは嫌です。ずっと側に居たいです」
「アイリス、勘違いしているぞ?俺はアイリスだから買った。逃す気もないし、蔑ろにする気もない。アイリスが1番だが、他の女も抱く」
「ご主人様らしいですね。分かりました、1番って言葉を信じます。あのエルフよりも可愛がって下さいね?」
一回だけして外に出た。
街中を周って、アイリスにはネックレスを買ったりした。
なんとか機嫌が良くなったのでホッとしながら屋敷に戻った。
「おっ、仲直りしたッスね!?」
「まったく、キサマ達は・・・」
ニヤニヤしているリッカとミネルヴァは後からイジメるとして、今後のことを話し合う。
明日は双子に奴隷紋を刻んむとして、金もある程度出来たし、屋敷も双子に任せられる。
「どこかに遠出するか、ダンジョンにでも籠るか?」
「私は前回の初心者ダンジョンを攻略したいです、ご主人様」
「強くなるなら何でもいいぞ」
「お金ッスね。もう少しクエストして溜めてからどこか・・・エルフの里か、龍人の里に行きたいッス」
それなら、クエスト受けながらダンジョン攻略で決まりだな。
<転移の灯台>のスキルがあるから夜は屋敷に戻って来れる。
装備の点検はミネルヴァに任せて夜のお仕事をこなして寝た。




