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チート?いいえトーチです  作者: 取手名
3/62

初転移初戦闘

「ステ振りはそれでいいのですね?では行ってらっしゃいまっ」


「ちょっと待ったー!!」


「ちょっと〜、私の決め台詞を邪魔しないでもらえますか?」


「いや、あの、本当に申し訳ないんだけど・・・あの、その、ちょっとだけでも、その・・・お金を用意して頂けると・・・」


「完全にダメ男、ヒモ男ですね〜。はぁ、仕方ないですね〜少し可愛そうになってきました。はぁ・・・ちょっとだけですよ?」


チョロい、ヒモ男に騙される女の典型だ。

金貨が10枚入った袋を受け取りつつ、女神の決め台詞と共に視界が暗転した。



・・・・さわさわ

かすかに吹き抜ける風を感じながら目を覚ました。

一瞬視界が真っ白で、まだ白い部屋にいるのかと思いながらも、目が慣れ始めると、そこは青々しい草が一面に生えていた。


「まさに草原・・・まさに異世界・・・」


すると少し先の草むらがガサガサと揺れたと思うと、左肩に痛みが走る。


「ッツ!!」


見れば左肩から羽が生えた木が飛び出していた。

混乱する思考だが、以外にも視界がクリアになり、草むらが激しく騒ぎ出す。


「ギョス、ガリグ、ギャブジャッジャッジャ!!!」


現れたのは緑色の子供達?いやいやいや、あれはゴブリン3じゃん!!!

異世界転移を望んでいて、このシチュエーションは想像してたけど、ヤバイヤバイヤバイっ!!

これは怖い怖い怖い!!

俺は急いで走り出した。


「ジシャ、ゴン、ベギャブシャーッ!!」


追え!!アイツを、逃すなーっ!!

そんな風に聞こえた声に逆らうように逃げる・・・。

ハッ、ハッ、ハッ!!

更に逃げる・・・。

疲労のせいだろうか、足がもつれ前に倒れた。

手のひらが擦りむけヒリヒリしている。

左肩はもう麻痺したように時々ズキズキ痛んだ。


「ハッハッハッはは、いっでーーーっ!!!」


半泣きになりながら、ステータスで得た回復と言うスキルを思い出した。

ゴブリン達の気配が近くにないことを確認し、近くにあった岩陰にみをかくした。

まず、手のひらの擦りむけた箇所に意識を集中させ、回復する様を想像する。


手のひらが僅かに光り出し、ゆっくりとではあるが傷が無くなっていく。同時に身体から僅かに何かが抜け出た感覚があった。

MPを確認すると200から190に減っていた。

HPは90になっていた。


少し時間を開け、フッと息を吐きながら肩から生えた矢を両手で掴み、一気にひきぬいてみた。

この世の終わりの様な痛みが襲ってきたが、ゴブリンに見つからない様に必死に声を抑えた。


肩を回復させて、ふと上を見ると・・・

あっ・・・目が合いました。

ゴブリン3のうちの1匹が上からこちらを覗き込んでいらっしゃる。


「ギジャーッ!!グザマワラーッ!!」


ゴブリンが太い木の棒を振り回しながら岩場を降りてくる。

とりあえず岩陰から飛び出し必死に逃げる。

・・・っと見せかけて、急にUターンしてタックル!!

驚いて動きが止まったゴブリンはあっけなく倒れた。直ぐに馬乗りになり必死にゴブリンの首を両手で締める!!


「ゲッ・・・ゴッ・・・アガッ!」


ゴブリンは手放さなかった木の棒をめちゃくちゃに叩きつけてくるが、我慢できないほどの痛さはなかった。


「早くっ!!早くっ!!死んでくれっ!!!早くっ!!」


ゴブリンに馬乗りになり、腕を引っ掻いてくる爪や、身体に当たる木の棒を無視して、必死に腕に力を込めた。

しばらくしてゴブリンは動かなくなったけど、腕が硬直してなかなか首から離れなかった。

とりあえず木の棒を拾い、ゴブリンは開けた場所にひきづっていき放置する。

そして、また岩陰にみをかくしゴブリン達を待つことにした。


少し気持ちが落ち着いてきたが、まだ心臓の動悸は早いな。

とりあえず、出来る事をしないと。

そう決意した途端にゴブリンの死体の向こう側からゴブリンが2匹走ってきた。

仲間の死体を見つけたらしい。

周りを警戒しながらグキャグキャ言っている。

出来る事はないかと頭を働かせて、トーチというスキルを思い出した。


「やるしか・・・ない。トーチ!」


ゴブリンとの距離は10メートル前後そこに光源を思い浮かべる。


「フワッ」


すると、ゴブリンとゴブリンの間に15cmぐらいの火の玉が現れた。

いやいや、ショボすぎる!

確かにトーチは松明だけど、手の平ぐらいとは思わなかった。

ゴブリン達は火の玉に気付き、警戒して一旦距離を取ったみたいだ。

だが少しして火の玉への警戒が解けたのか、木の棒でツンツンし始めやがった。


「グザン、ビーギャ!アッガッ!?アガッ!アガッ!」


予想外だった。

トーチスキルで出来た火の玉には熱量があったらしく、ゴブリン達が持っていた木の棒に火が着いた。

慌てて火を消そうしているが、今度は腰蓑に火が燃え移ったみたいだ。

俺はこの好機を見逃してはいけないと走った。


「オラァ!!」


火を消すことに集中していた左のゴブリンに木の棒で殴りつけた。

右のゴブリンは何が起こったのか分からないようだ。

構わず右のゴブリンにも木の棒で殴りつけるが、ゴブリンが尻もちをついたために空振りしてしまう。

ゴブリンが木の棒を拾う為に横を向いた瞬間、飛びつき腕を首に絡めた。

必死に力を込めた所為なのか、10秒しないうちにゴブリンから力が抜けた。


安心しそうになった頭を一括し、最初に棍棒で殴りつけたゴブリンを見ると這いつくばって逃げようとしていた。


「逃す気はないっ!!」


背後から近づき、棍棒を何度も何度も振り下ろした。




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