総括
霞む視界に見えたのは鬼と抉れた地面と奴隷達。
鬼は大きな三本の角があり、腕もデカい。
その鬼はミネルヴァの方に歩き出している。
剣を杖代わりにしてなんとか身体を起こす。
「グッ・・・・オい、オィこラ・・・」
上手く言葉が出てこない。
このままではミネルヴァが危ないっ!!
「パシャンッ!!」
リッカが倒れた態勢からスリングショットを放つ。
何か変な音がした・・・いや、あの音は知っている。リッカと話し合って用意した3種類のスリングショット用の弾の1つ、蒸留した酒を詰めた弾。
「そ・・・その、名・・・も、酒丸・・・ッス・・・」
チャンスが出来た。
なぜあの酒丸を用意したか・・・・。
「照明・・・・ボムッ!!!」
「ヒューッ・・・ボガンッ!!」
照明ボムは飛んで行き、見事に鬼にあたり、鬼は炎に包まれた。
森の中で炎はご法度?知らん。生死を分ける場面でそんな事言ってられない。
鬼は身体に着いた炎を消そうとしている。
「まだだっ、照明・・・ボム!!照明・・・ボム!!照明・・・ボム!!照明・・・ボム!!」
ミネルヴァが目を覚ましたみたいだ。
「ミネルヴァっ!!早くこっち来いっ!」
「シュンッ!!」
どうやらアイリスも大丈夫なようでウインドエッジを放っている。
そのウインドエッジのおかげで煙が霧散すると、皮膚が焼け爛れた鬼が片膝をついていた。
だが、皮膚が少しずつ修復されていってる。
どうする?
ここで討ち取らなければもうチャンスは多分ない。
鬼がこっちを舐めていたからここまでやれたんだ。
「逃げ切れないかもしれないっ!ぐっ・・・・そ、やるぞっ!!」
「はい、ご主人様!」
アイリスも俺の横に並び構える。
「キサマにしては・・・いい判断・・・だっ」
ミネルヴァも満身創痍の身体で剣を構える。
「ウチも・・・いるッス・・・よっ!」
リッカと目が合い頷く。
「俺はざっと、あと8回全力で照明ボムを打てる。アイリスっ!!交互に打つぞっ!!」
「はい、ご主人様!」
「リッカ!7回目に用意した3種類の最後の弾を使えっ!!」
「はいッス!」
「ミネルヴァっ!溜めて溜めて、放てっ!」
「分かっているっ!」
「行くぞっ!」
照明ボムを連続で撃つ。その合間合間にアイリスがウインドエッジを打ち込んでいるのでたまに煙が晴れて、確実にダメージを与えているのが分かる。リッカもドレインボールを当ててそれを俺たちの回復に使っていた。
6回目、ちょっと足元がフラついたが耐える。
7回目を撃ち、照明ボムが当たった。
「今だっ!!」
「はいッス!」
「ボフンッ!!・・・ドゴンッ!!」
リッカが打ったスリングショットの弾はものすごい爆破を起こした。
最後の弾は、リッカと話し合って用意した3種類のスリングショット用の弾の1つ、
「その名も・・・・えーっ、なんスかこの弾はっ!!こんなの聞いてないッス!!」
小麦粉を詰めた弾だ。
着弾した後、アイリスのウインドエッジによって拡散し、残っていた火種によって粉塵爆発を起こしたんだ。無風だったし、いけるとは思った。
本当はラストの照明ボムで爆発させる予定だったがまあ良しとしよう。
鬼は顔面がぐちゃぐちゃになっているにもかかわらず、傷が少しずつだが回復していってる。
ただ、回復速度は明らかに遅くなってる。
「・・・・スーラーーーッシュ!!!」
唐竹に近い起動で、ミネルヴァが溜めスラッシュを打ち込んだ。
鬼はそのまま後ろに倒れた。
「気を抜くなっ!」
まぁ、こんな状況で気を抜く奴なんて俺以外にないか。
鬼に近づき、三本の角がついた顔を首の部分に剣を刺して身体と切り離す。
念のためアイテムボックスにそれらを収納した。
アイテムボックスは生き物は入らない。つまり、アイテムボックスに収納できたら死んでいるってことだ。
「ふぅ・・・、ヤバかったな・・・」
ピコンッと音が脳内で鳴った。
「オーガがこんなヤバい相手だとは思わなかった」
「アレがオーガな訳あるかっ!上位種だっ」
上位種が何て名前なのか聞いたがミネルヴァは知らないそうで、リッカに聞いても多分レッドオーガじゃないッスかって事だ。あまりに消耗しているので、夜が明けるのを待たずに、屋敷に刻印した場所に<転移の灯台>で帰還した。
屋敷に帰ってからは傷の手当てだ。
と言っても俺のヒールを連発するだけだ。MPが減ったらリッカの<ドレインボール>でアイリス達からMPを分けてもらった。HPもドレインしてしまうという難点もあったが、自身は回復せずにドレインまかせに出来たので、大した問題にならなかった。
睡眠の前に一応レベルアップの確認をしておく。
カナメ・クロサキ
種族:人族
職業:先導者:Lv6 剣士:Lv7
称号:トーチ野郎
16歳
レベル12
HP:1730(1730)
MP:700(2660)
攻撃力:1800(1530+250+20)
防御力:1730(1530+200)
素早さ:1630(1630)
魔力:2660(2660)
器用さ:1730(1730)
運:100(100)
<固有能力>
「好転」
<スキル>
トーチ:Lv7(聖火:Lv:5 篝火:Lv2 転移の灯台:Lv2 照明ボム:Lv6 )
回復:Lv4(ヒール:Lv6 異常状態ヒール:Lv1)
アイテムボックス:Lv5
鑑定:Lv4
翻訳:Lv2
気配遮断:Lv4
身体強化:Lv4
状態異常耐性Lv2
レーザーポインター:Lv1 New
<技スキル>
真・スラッシュ:Lv1
トーチボール:Lv4
パリィ:Lv1
剣気:Lv1
<加護>
女神の加護:Lv10
<獲得可能職業>
幻惑士:Lv1 盗賊狩り:Lv1 剣豪:Lv1
<獲得可能スキル>
ウィークアタック
LED懐中電灯
<獲得称号>
盗賊の天敵
性奴隷の主人
人型モンスキラー
スキルポイント 1400
なんと、レベルが2も上がっていた。
職業レベルも2上がっている。
スキルは良く使っているやつの伸びがいい。
新しいスキルは、
真・スラッシュLv1・・・スラッシュをどんな斬撃でも出すことができ、威力も大幅に上がる。
多分、スラッシュ系が統合された感じだ。
他は、
剣気:Lv1・・・次に放つ一撃の威力を高める。たまに
相手を怯ませる。
なるほど、他には<レーザーポインター>が増えていた。
リッカや、アイリスが射撃系なのでもしかしたら使うことがあるかもしれないし、スキルポイントも余ってるのでとってみた。スキルポイントは1500から1400に減った。
レーザーポインターLv1・・・対象にピンポイントレーザーを放つ
えっ!?意味がわからない。そう言う意味なの?
射撃指示用のポインターが出るんじゃなくて、ピンポイントでレーザーを放つスキルみたいだ。
次は、アイリスのステータス確認だ。
アイリス(所有者:カナメ)
種族:エルフ
職業:弓術士Lv6(奴隷)
称号:なし
16歳
レベル:22
HP:1020(1230)
MP:1300(1500)
攻撃力:1420(1300+100+20)
防御力:1100(1020+80)
素早さ:1400(1400)
魔力:1500(1500)
器用さ:1900(1900)
運:30(30)
<固有能力>
「風読み」
<スキル>
風魔法:Lv5(ウインドフォロー:Lv4 ウインドエッジ:Lv5 エアシールドLv1)
雷魔法:Lv6(スタンボール:Lv9 スタンフラッシュ:Lv2 )
主従の祝い:Lv6
身体強化:Lv5
奉仕:Lv8
<技スキル>
雷矢:Lv2
強射:Lv2
<加護>
女神の加護:Lv6
<獲得可能職業>
細剣士:Lv1、弓士:Lv1、弓剣術士:Lv1
<獲得称号>
薄幸のエルフ
呪いに耐えし者
スキルポイント1720
アイリスも1レベルアップしている。ステータスの伸びはバラバラで後衛気味なステータスになってきている。
新しいスキルは、
エアシールドLv1・・・対象の周囲を空気の膜で覆う。耐久力は使用者の魔力量に比例する
使いどころはアイリスが分かるだろう。正直俺にはわからない。それよりも特筆すべきは、<主従の祝い>のレベルが上がっている事だ。<主従の祝い>は主従のコミュニティにおいて祝福を共有できる。そのレベルの上限は、<主従の祝い>と同じ。つまり、<女神の祝福>のレベルが上がって、全員のレベルアップのし易さやレベルアップ時のステータスアップにボーナスが付く量が上がったという事だ。
次は、
ミネルヴァ(所有者:カナメ)
種族:ダークエルフ
職業:剣豪:Lv3 (奴隷)
称号:
17歳
レベル:18
HP:1480(1680)
MP:450(550)
攻撃力:2340(2220+100+20)
防御力:1480(1400+80)
素早さ:1780(1780)
魔力:550(550)
器用さ:1300(1300)
運:57(57)
<固有能力>
「共有」
<スキル>
無属性:Lv4(オートシールド:Lv5 シールドウォール:Lv1)
火属性:Lv3(ストレングス:Lv3 ボム:Lv1)
身体強化:Lv6
奉仕:Lv6
インパクト:Lv2(ダブルインパクト:Lv1)
<技スキル>
スラッシュの極意:Lv1 牙顎:Lv2 パリィ:Lv3
<加護>
女神の加護:Lv6
<獲得職業>
剣士:Lv6 指揮官:Lv4
<獲得可能スキル>
ウォークライ
<獲得称号>
敗戦の将
スキルポイント1980
ミネルヴァのスキルで増えたのは<ダブルインパクト>。
ダブルインパクト・・・インパクトをダブルで与える。斬撃・打撃の威力が内部にまで伝わる
たしか、インパクトは斬撃に打撃の特性と威力を上乗せするスキルだ。それを2連で叩き込む事で威力を内部にまで伝えるみたいだな。
あとは、<スラッシュの極意>が増えている。
スラッシュの極意・・・スラッシュ系を極めて連続で放つ事ができる。連続で放てる回数はスキルレベル×3。また、スラッシュのスピード・威力が上がる
ヤバいな、レベルが上がれば凄いスキルになりそうだ。スラッシュ×30連なんてできるようになるのだろうか?
次はリッカだな。
リッカ
種族:人間
職業:マッパー:Lv6
称号:パーティーマスコット
14歳
レベル:16
HP:230(250)
MP:540(540)
攻撃力:450(400+50)
防御力:400(320+80)
素早さ:520(500+20)
魔力:450(400+50)
器用さ:850(850)
運:23(23)
<固有能力>
「オートマッピング」
<スキル>
水魔法:Lv3(クリエイトウォーター:Lv4 リフレッシュシャワー:Lv5 )
ドレインボールLv2
魔物図鑑:Lv4
料理:Lv3
地質調査:Lv1
スリングショットLv2(射撃:Lv1)
奉仕:Lv2
<加護>
女神の加護:Lv6
<獲得可能職業>
探索者:Lv3 料理人:Lv5
<獲得称号>
散財者
スキルポイント480
リッカは、<地質調査>と<スリングショット>、それから<スリングショット>の派生スキル<射撃>が増えていた。
地質調査・・・地質・地形・風土などが分かる
いや、大雑把っ!!
射撃・・・射撃の精度・距離・威力に補正がかかる
まあそうだろうな。
リッカは、攻撃スキルが増えたと喜んでいる。スリングショットに適性があったことも分かって上機嫌だ。今日は疲れ果てたので、明日以降その御礼をたっぷり返してもらおう。
明日は王都の冒険者ギルドに向かい、今日の報告を済ませる予定だ。もう夜も深いので、寝ることにした。




