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チート?いいえトーチです  作者: 取手名
22/62

テンプレは存在しないのか?

「くっ殺イベント、くっ殺イベント、女騎士女騎士らんらんらんっ♫」


そんな風に思ってた時期もたしかにありました!

現実は残酷なのよね。

オークに縛られている女はどうも冒険者風だ。

女騎士だったらもっとモチベーション上がったのにな〜。まぁいい、とりあえず3匹いるオークを囲む。俺がオークの群れの左側、ミネルヴァが右側、アイリスには後方からスタンボールと、ウインドカッターを打ち込んで囮になってもらう。


アイリスがウインドカッターを打ち込んだ事でオークから叫び声が上がった。


「グモ〜ッ!!!ブゴグガァー!!」


アイリスがスタンボールを放つ。1番後方のオークは麻痺している。ミネルヴァは走り出していて、オークに切りつけた。アイリスとミネルヴァに注意が行ってるうちに、俺が担当するオークにダッシュラッシュを打ち込む。


「まだだっ!!スラッシュ改っ!!照明ボムっ!」


「ドンっ!!」


めちゃくちゃ眩しい。初めてを戦闘でするべきではないなっ!!あっ!でもオークの顔面が黒こげだっ!


「スラッシュ改っ!!なにっ!」



しまった。女の子を盾にされたっ!!うわっ、切ってしまった・・・。

と思ったらオークの後ろからミネルヴァの声がしてオークが倒れた。


「サンキューっ!ミネルヴァ!アイリスの方を頼むっ、俺は女の子をっ」


「了解した」


女の子の息は・・・してないか。くそっ!まぁ、仕方ないといえば仕方ないか・・・。

アイリスの方も・・・終わったな。もう1人の女の子は無事かっ、良かった。


「討伐証明部位は鼻だな。剥ぎ取りしてくれっ」


もう1人の冒険者の女の子に話しかけてみる。


「大丈夫か?何があった?」


「たっ、助かったっス。ウチはリッカって言うッス。わたし達のパーティーは壊滅したんスよ。それで・・・」


なるほど、資金が底をついてこのままだと解散、もしくは奴隷落ちという状況になり、一発逆転を狙ってオークの村を襲撃したが返り討ちにあったと・・・。

女の子達は他の冒険者が盾になって逃げ延びたが、オークの追撃にあい捕まって村まで連行されている途中に、俺達が助けたみたいだ。


「お願いがあるんスけど・・・」


お願いねぇ〜、顔は可愛い系かな?動物に例えるとリス?髪はツーサイドアップっていうのかな?オレンジ色の髪で、身長は150前後胸はそこそこ、元の世界のサイズで表現するならBカップってところだな。

って思考が別のところに行ってた。


「お願い?」


「そおっス」


この女冒険者のお願いとやらは、自分を奴隷として買って欲しいとのことだった。

理由は、もう借金のせいで奴隷落ちは確定しているそうだ。更に依頼不達成の違約金である金貨3枚も払えないで冒険者も除籍になる可能性があるらしい。

リッカは、アイリスとミネルヴァが奴隷だということを見抜いた上で、雰囲気が良く、虐待もされていないことを感じたみたいだ。

つまり、俺は優良物件だから奴隷にして欲しいとのことだった。


「お前を買う金はないぞ?」


「そんなぁ〜、そこを何とかお願いするっす、ご主人〜!!奥様もよろしくお願いするっす!」


アイリスの方に向かってリッカは土下座した。

いやっさっき奴隷と見抜いたんじゃなかった?


「奥様だなんてぇ〜。そんなぁ〜ふふふっ!ごっご主人様っ!この子はいい子です。是非、ご主人様の奴隷に・・・」


ズルくない?コイツっ!俺がアイリスの頼みを断れないことを理解して行動してやがるっ。


「アッ・・・アイリスの頼みだから何とかしてやりたいが、金がなぁ〜。アイリス?コイツが奴隷登録されたとして買うならいくらぐらいになりそうだ?」


「よくわかりませんが、借金の3倍が相場だとか」


「リッカは借金いくらあるんだ?」


「大金貨2枚ッスね。でも、その借金をそのまま肩代わりしてもらう形で奴隷になるっすから、大金貨2枚で大丈夫っす。資金に関してはオークの村を壊滅させれば違約金もでないですし、大金貨1枚の達成料と買い取りで金貨数枚くらいにはなるかも知れないっス」


つまり、リッカもしくはリッカのパーティーは詰んでいたみたいだ。今回依頼を達成しても借金を全額は返せない。また利息が溜まってを繰り返してたんだろうな。

アイリスの頼みだしやるだけやってみることにした。


「オークの村はこっちっス」


リッカの案内で進んで行く。オークの村には20匹前後のオークと、体格が良いオークの上位種であるオークジェネラルが2体程いたらしい。


「お前の得意な戦闘スタイルは何だ?」


「ウチは戦えないッスよ?・・・あぁ、待って待って待って!!戦闘は本職じゃないんスよ」


リッカはサポーターらしい。だからパーティーが壊滅した後にもう1人で金も稼げなくなり、奴隷への道を選んだんだな。一応、リッカの煙玉と言うアイテムがオークの死体に没収されてあったので、それで陽動をするということだった。10分ぐらい歩いただろうか、目の前に簡素な柵が見えて来た。


オークの村は家が6つあり、中央奥の大きな家にいるのが多分ボスだろう。家の入り口に2匹のオークが見張りをしている。アイリスの<風読み>で、今この村には9匹ほどしかオークがいないらしい。周囲にもそれらしい気配はなく、狩にでも出かけている可能性があると言う事だった。


「行くぞっ!?」


1番手間の家の中にトーチを展開する。家の中が騒がしくなった。多分トーチに気を取られているんだろう。ミネルヴァと2人雪崩れ込むように入って2匹いたオークを斬り伏せる。


(少し物音が響いたかっ!?)


アイリスが外で待機していて、物音に反応してでてきたオークにスタンボールを打った。<共感>で視覚を共有していた俺とミネルヴァは外に出て動けなくなったオークを刺し殺した。


(残り6匹・・・、いや5に減ったか)


ミネルヴァのスラッシュにより、出てきたもう1匹のオークの頭が飛んだ。

5匹はあの奥の大きな家にいるとアイリスが教えてくれた。

でもまずは、外の見張りを何とかしないと・・・。

俺はトーチの派生スキルである<篝火>を使った。

<篝火>は魔物を惹きつける炎を発生させる。ただ、効果範囲が最大で半径3m程度だったので今まで使えずにいた。左側の見張りオークにその効果範囲ギリギリ引っかかるように<篝火>を発生させる。


「フゴッ?ゴフ」


気付いたみたいでフラフラと<篝火>の方に近づいて来る。俺は建物の上から飛び掛かり、口を押さえる。その隙にアイリスがスタンボールで痺れさせ、俺が離れた後、ミネルヴァが心臓を突き刺した。


右のオークは左側のオークが居なくなった事を不審に思ってもいないみたいだ。多分便所にでも行ったと思ってるんだろう。

その右オークも同じ作戦で片付けた。

唯一の違いは倒れた後に「ピコン」と言う音が鳴った事だろう。レベルアップしたので色々見て、この後の戦いに備えたかったが、付け焼き刃が危険だと言うのは前の戦いで分かってある。

無難にこのまま行く。アイリスとミネルヴァに小声で作戦を伝える。


「照明ボムを部屋に打ち込み続ける。それで倒れてくれればラッキー。だが、オークが飛び出して来たら迎撃してくれ。ボスオークは2人に任せる。俺はザコオークを倒して合流するから何とか耐えてくれ。無理なら撤退だっ」


「わかりました」

「了解だっ」

「ウチは〜?」


「リッカは・・・わからん。邪魔しないようにっ!」


「わかったッス!」


最大にした照明ボムの消費MPは150で、職業<先導者>の効果で消費MP112になる。余裕を持って打てる回数は8発。まぁ、死んでくれるだろう。


「いくぞっ?」


手の平を突き出し構える。


「照明ボムっ!!」


「ドゴンッ!!」


入り口の扉が壊れた。


「照明ボムっ!!」


「ドゴンッ!!」


「照明ボムっ!!・・・照明ボム!!・・・照明ボムっ!!」


「ドゴンッ・・・ドゴンッ・・・ドゴンッ!!」



次の照明ボムを打とうとした瞬間、入り口から樽が飛んできて、身体を打った。


「ぐわっー!!」


樽が当たった衝撃で2mは飛ばされた。

身体が痛むが何とか起き上がるとオークジェネラルがそこに立っていた。

でっでかいっ!!2m50ぐらいありそっ!!


「ブガゴーーーーッ!!!」


いきなり大音量でオークジェネラルが叫んだ。

逃げないとっ!かっ身体がっ!!

オークジェネラルが棍棒を振り下ろす。


(これは死んだっ!!)


「ダッシュラッシュ改!!」


ミネルヴァが体当たり気味にスキルを放ち、オークジェネラルの体勢を崩したお陰で、棍棒の軌道が身体から逸れた。

だが追撃で棍棒が戻ってくるっ!!


「カァーン!!」


助かった。ミネルヴァが掛けてくれていたオートシールドが発動してくれた。

驚いているオークジェネラルにスタンボールが当たる。安心安定のスタンボールだっ!俺とミネルヴァは駆け出し、ほぼ同時にオークジェネラルの身体を突き刺した。


まだ、安心するのは早い。この村には20匹前後オークがいて、今いたのは8匹。いつ、残りのオークが帰ってくるかわからない。


「アイリス、家の中に生存反応はあるか?」


「少々お待ちください・・・ありません、ご主人様」


「よしっ!」


急いで家に入ってオークの死体を確認する。

1匹はさっきの奴と同じでデカイ。多分もう1匹のオークジェネラルだろう。めちゃくちゃ黒こげなのは、盾になったか、盾にされたかだろう。横にいるのは普通のオーク、召使いか何かだったんだろうが、何にせよ死んでいる。

アイテムボックスに死体を収納し、部屋を物色すると冒険者達の装備らしきものがあったのでそれも回収する。


「アイリス、コレはなんだ?」


部屋の上部には魔石が3個飾ってあった。


「わかりません・・・先祖の魔石か、自分の戦果を自慢する為でしょうか?」


わからないものはわからない。気を取り直して、次の行動をする。

トラップの製作だ。ギルドの依頼内容はオークの村の壊滅なので、残り12匹のオークも倒さないといけない。その為に罠を仕掛ける。


罠といっても知識などない、できることをやるだけだ。まず、奥の家の裏に逃げ道を作る。これはリッカが担当してくれるらしい。次にアイリスは弓を使える為、屋根に登ってもらい警戒してもらう。

俺とミネルヴァは他の家にあった酒を村の入り口に配置、アイリスが見つけた痺れ草の絞り汁を大量に混ぜておく。それを何かの肉が置いてあったので、同時に村の入り口付近に置く。


数時間してオーク達が帰って来た。入り口にある酒と肉に喜んでいる。予定通り、狩などから帰ってきた祝杯だと思ったみたいで、すぐに宴会が始まった。3匹のオークは宴会をせずにオークジェネラルが居た家の方に歩いていく。


「<篝火>!!」


3匹は<篝火>に近づいてボーッとしている。村の入り口に残ったオーク達が酒を飲んで酔いが回り、痺れ出したあたりで作戦開始だ。


痺れているオークをミネルヴァと2人で殺して行き、アイテムボックスにいれる。

疲れるが、楽な作業だ。

次に、<篝火>に囚われているオークをアイリスが弓で狙い撃つ。アイリスが殺し損ねたオークにミネルヴァがスラッシュでとどめを刺した。


「ピコン」


あらま、もう一つレベルが上がったみたいだ。




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