連携
翌日、クリスさんに昼食に呼ばれたので俺だけで待ち合わせ場所に向かった。
アイリスとミネルヴァは洗濯などをするそうなので、昼飯代を渡してきた。
クリスさんとの会食は、解呪の報酬が数日以内に王都から連絡が来ることと、改めての感謝の言葉だった。
それから奴隷の様子はどうかという話になったので、ミネルヴァの事を掻い摘んで話した。
「なるほど、そのナズール副将の情報を集めて欲しいと・・・分かりました」
「代金は・・・」
「それは前回助けて貰いましたから・・・」
「それはダメだっ!前回は前回で報酬を貰っているからな」
「そうですか、では次何か私が困っていたら助けて頂くというのはどうでしょう?」
「めちゃくちゃ有り難いが・・・何か怖いなっ」
「大丈夫ですよっ、無茶なお願いをするつもりはございません」
「それなら、よろしくお願いします」
クリスさんと別れた後、久々にゴブリン討伐の依頼を受けた。
アイリス、ミネルヴァと合流して森に向かった。
「最初は連携の確認をしていく。俺とミネルヴァは前衛、アイリスは後衛で弓と魔法を頼む」
「わかった」
「分かりました、ご主人様」
「それからミネルヴァ、<共有>の実験をしたいから視覚を<共有>できないか?」
「視覚の<共有>は負担が大きい、頭が痛くなるぞ?」
「まぁ、やってみるしかないさ」
「わかった」
ミネルヴァの<共有>は凄い。視界から外れている部分に別の窓がある感覚で、そこに意識を集中するとはっきりと見える。パソコンモニターが左右に2つ付いている感じといえばわかるだろうか。
「思ったよりキツイなっ!?やってみるかっ・・・」
「ご主人様、ゴブリンとは違うのですが・・・多分オークが近づいて来ます。距離は50mほどです」
「わかった、戦ってみて無理ならすぐ引くぞっ」
「はいっ」
「了解した」
少しずつ進むと木々の間に・・・いた。体長170cmぐらいの太った豚・・・豚鼻に小さな牙、手には60cmの棍棒か。更に進む・・・。
「ミネルヴァ、自分と俺にオートシールドをかけてくれっ」
「了解だっ!」
ミネルヴァがオートシールドを唱えると身体が青白く1回光った。俺はトーチを唱える。光に気がついたみたいで「フゴフゴ」いいながら近づいて来る。トーチボールは出現させたトーチを敵に向かって10秒ほど自動攻撃させるスキルだ。そのトーチボールを唱えると、トーチはオークに向かって攻撃を仕掛けている。多分ダメージは皆無なのでオークのきをそらしている間に距離を詰めた。
(今だっ!)
駆け出した俺に合わせる様にミネルヴァも走りだす。
「ダシュラッシュ改!!」
ミネルヴァが放ったダッシュラッシュ改は、剣士Lv4をつけた途端に発現したスキルだ。ダッシュラッシュはダッシュしながら剣を斬りつけるスキルだが、ダッシュラッシュ改は、突進で剣を突き刺し、横薙ぎに払って更に斬りつける三段技だ。
オークには当たったが距離が甘かったのか最後の斬りつけが浅い。
オークがミネルヴァの方を見た瞬間、俺もスラッシュ改を繰り出す。ガッツリ入ったが当たり所が悪い。
<共有>でアイリスが何かしようとしていたので横に転げると、スタンボールが飛んで来た。麻痺った!!
「スラッーシュ!!」
ミネルヴァが溜めたスラッシュを決めてオークが沈んだ。
「初戦にしてはまあまあだったな?それにしてもLv4のスラッシュの溜めは威力が凄いなっ!!俺も使いたいな・・・」
「Lv3までは溜めることができないから、Lv4まで待つしかない」
「そうか・・・。それに<共有>はある意味チートだな」
「チート?ですか?ご主人様」
「あぁ、ズルいってことだな」
「なるほどっ!そうですね。他者の視界を<共有>することで死角がなくなりますからね。でも慣れが必要です・・・」
「そうだな、続けよう!」
次にアイリスの<風読み>が捉えた魔物はウインドウルフという魔物で3匹いるそうだ。本当に、会いたいと思うほど会えないゴブリンだっ。
「やるぞっ!!」
「はいっ!」
「了解っ!」
こちらが風下なので、風下をキープしながら近づく。ヤバっ!!こっちに来たっ!
「見つかった!!迎撃だっ!!」
スパッ!!
「ギャンッ!!」
1匹はアイリスの弓が当たったみたいだ。起き上がらない。
残り2匹は構わず突っ込んでくる。
「スタンボールっ!!」
外れたっ!?ジグザグに走ってきている。
「スタンボールっ!!・・・スタンボールっ!!」
1匹の足に当たったみたいで1度コケたがまた立ち上がり向かってくる。
「迎え撃つ。ミネルヴァは右をっ!俺が剣で動きを止めるから。アイリスはスタンボールを頼むっ!!」
ウインドウルフが飛び込むと同時にミネルヴァがスラッシュを叩き込む。いっ!!痛そうっ!即死だなあれはっ!って!構っている暇はないっ!
剣で牙を受け止める。後ろに転がり込むと、アイリスとウインドウルフの間に射線が通る。スタンボールで動きが止まったウインドウルフを横にやり、目に剣を突っ込んた。
「ふぅ、不恰好ながら連携が取れてきたな・・・ミネルヴァの動きもいいし」
「当たり前だっ!キサマの動きが悪すぎなんだ」
「・・・夜の為に体力温存してるだけだっ!」
「なっ!!キサマと言う奴は・・・」
いい返してやったぞっ!!まぁ半分は本当だけどな。後で疲れマラの威力を堪能するがいいっ!
「アイリス、疲れてないか?」
「ちょっとMPを使いすぎました。申し訳ございません、ご主人様」
「いいって、無理しないようにっ!あと何回使えるかMPが減ってきたら言ってくれるとありがたい」
「分かりました、ご主人様」
さぁ、サクサクとゴブリンを探しますか・・・。
ゴブリンを2匹倒した所でレベルアップだ。
カナメ・クロサキ
種族:人族
職業:灯り持ち:Lv5 剣士:Lv4
称号:トーチ野郎
16歳
レベル:8
HP:990(990)
MP:1540(1550)
攻撃力:1260(990+250+20)
防御力:1190(990+200)
素早さ:1080(1080)
魔力:1550(1550)
器用さ:990(990)
運:100(100)
<固有能力>
「好転」
<スキル>
トーチ:Lv5(聖火:Lv:3 篝火:Lv1 転移の灯台:Lv1 照明ボム:Lv1)
回復:Lv3(ヒール:Lv3 異常状態ヒール:Lv1)
アイテムボックス:Lv2
鑑定:Lv3
翻訳:Lv2
気配遮断:Lv4
身体強化:Lv2
<技スキル>
ダブルスラッシュ:Lv2 トーチボールLv2 ダッシュラッシュ:Lv3
<加護>
女神の加護:Lv10
<獲得可能職業>
幻惑士:Lv1 盗賊狩り:Lv1 先導者:Lv1
<獲得可能スキル>
ウィークアタック
<獲得称号>
盗賊の天敵
性奴隷の主人
リトルハートゴブリンキラー
スキルポイント 780
全体的に上がっている。気になるのは、
照明ボム:Lv1・・・通常よりも明るく光るトーチを発射する。発射したトーチは対象に当たるか、任意のタイミングで爆発する
トーチでの攻撃らしい攻撃スキルは初めてだな。ただ消費MP45はちょっと多い。それに爆発は戦闘中中々使いづらいんだよな・・・。
あと気になるのは、獲得可能職業の<先導者>か、
先導者Lv1・・・灯り持ちがLv5になったことで発現した職業。トーチの消費MPがゼロになり、トーチからの派生スキルの消費MPも2/3になる。パーティーを組んでいる場合はパーティーメンバーのステータスが微増する
完全に上位職だな・・・聞いたことないけど。
変更だな。剣士はそのままでと・・・。
アイリスとミネルヴァはレベルアップがなかった。
その後、ゴブリン10匹を倒して宿に着いたのは夜の9時ギリギリだった。
夕飯は9時までだったので助かった。素材や依頼達成の報告は明日するとして、夜の営みはアイリス→ミネルヴァ、小休止後ミネルヴァ→アイリスの順に頂いて、2人に挟まれてねむった。




