除細動器
ジグル王子に<好転>を使い、まず蠱毒の呪いLv7を変化させてみる。
あっ、ヤバイっ!!今までで一番、身体から抜ける量が多い!立っていられない。
「ご主人様っ!!」
アイリスが受け止めてくれたのか・・・や〜らかぁ。
クリスさんが何か言っているが、もうどうでもいい。
そのまま意識が薄れていった。
目が覚めた。アイリスのお胸様の中はやはり天国に一番近い場所なんだろう。再度眠りにつく・・・。
多分それを何度も繰り返した。
「ご主人様?大丈夫ですか?」
「あぁ、アイリス・・・心配かけたな」
アイリスの胸を揉みながらステータスを確認する。
あった、蠱毒の呪い:Lv7。
MPは・・・6割回復か・・・。
もう一晩寝たら大丈夫だな。それよりも全身に力がはいらない・・・あぁ虚弱だったか。
「アイリス、どうも呪いのせいで身体が怠い・・・。起き上がるから手伝って・・・」
「わかりましたっ。ご主人様は安静にしてください。ご飯はここに運んでもらいますね?」
アイリスは俺を起こした後クリスさんを呼びに行ったみたいだ。あぁ〜ボーっとする。
「カナメさんっ!大丈夫ですかな?」
「あぁクリスさんか・・・大丈夫だ。一晩寝たら元気になるよっ」
「そうですかっ!良かったっ!」
「それで、ジグル王子の呪いはどうなりました?」
「はい、蠱毒の呪い:Lv7は消えて無くなりました」
「そうですか、新しいスキルなんかは増えてましたか?」
「?・・・いえ、特にそう言った話はなかったですね。ジグル王子のステータスを直接見る訳にはいきませんからなんとも言えませんが」
確かに。口頭で伝えられたんだろうな。
「そうですか・・・。それよりも腹が減ったんだけど、何かあるかな?」
「解呪成功のお祝いに宴をと思っていましたが、カナメさんの体調を考えるとそうもいきませんねっ!すぐ準備させますので、少々お待ちを・・・」
クリスさんが出て行ったのでアイリスを近くに呼んだ。
「俺はどれくらい寝ていたんだ?」
「2日です、ご主人様」
「2日か〜、そりゃ腹も減るな・・・っアイリスっ!もしかしてご飯食べてないとか無いよな?」
「主人が寝込んでいるのに私だけ頂くなんて出来ませんっ!」
「そうだな・・・アイリスは奴隷だからクリスさんとかに言い辛いよな・・・主人が寝込んでいるのにご飯食べたいなんて・・・」
「いえ、これは私の意思、望みです。クリスさんはご飯を進めて下さったのですが・・・」
「アイリス・・・はぁ、アイリスっ?アイリスが辛い思いして俺が喜ぶと思うか?アイリスの胸のボリュームが落ちて喜ぶと思うか?」
「・・・・・」
「初めて会った日に言ったよな?俺の意思とは関係なく、必要な時に必要なことをしろと」
「・・・はい」
「アイリスが辛いのは俺が一番嫌がる事だと思ってくれ」
「申し訳ありませんでした、ご主人様。そして、ありがとうございます。私の事をそんなに考えて下さって!嬉しいです」
「こちらこそありがとうアイリスっ。それから、コレのボリュームが落ちる事も、俺の嫌がる事だと・・・」
首元の隙間から服の中に手を入れて、いざ堪能しようとすると、ドアがノックされた。もぉっ!なんだよっ!
「失礼します。クリス様より部屋に食事の用意をとの事でしたので、食事をお持ち致しました」
「わかった、入ってくれ」
メイドさんが三人も入って来た。豪華な料理が乗ったテーブルが3つ並べられる。
「ご苦労様、あとはこっちでやるから大丈夫」
「かしこまりました」
アイリスに介抱してもらい2人でイチャイチャしながら食べた。
翌日、昼に目覚めた。
やはり身体は重いか・・・。
MPは回復してるな、<好転>っ!
ステータスの蠱毒Lv7を凝視する・・・ヤバイっ抜ける抜ける。・・・ハァ・・・ハァ・・・気絶一歩手前だな。ステータスは、蠱毒Lv7が消えていた。
そして、毒耐性Lv1に変化していた。更に、多分何回も気絶したせいだろう、気絶耐性Lv1を得ていた。
「毒耐性Lv1と気絶耐性Lv1を統合して、状態異常耐性Lv1を獲得します」
というアナウンスがあった。<好転>させたスキルは2度は<好転>させれなかったはずだが、統合はするのか・・・。よくわからないが、良しとしよう。
MPはまた枯渇しているのでアイリスに甘えて、翌日ジグル王子の持っているもう一つの呪い、EDの呪いLv5を解呪した。
ジグル王子はEDの呪いが無くなり、AED感応Lv5というスキルを習得していた。
AED感応Lv5・・・A・E・Dというフレーズを聞くと、150Jの電圧がかかる。その後回復力が飛躍的に高まる
訳分からんスキルだな。
「おぉっ!滾って来たぞっ!!カナメとやら感謝するぞっ!」
ずっとEDだったんだ、そりゃ滾るわなっ。
「ところで、そこの奴隷はお前の奴隷か?なかなかの器量ではないかっ!いくらだっ?滾っているのでなっ、言い値で俺が買い取ろう!!」
「A・E・Dっ!!」
「アガガ、アガガ、アガガガガガッアガ!!!」
ジグル王子が白目を剥き全身をビグンッビグンッさせて倒れた。その後、全身が緑色の光に包まれたかと思うと、ジグル王子は目を覚ました。
「なんだ今のはっ!!」
俺はスキルAED感応Lv5の説明をした。これは解呪の副作用なんかではなく、命の危機に瀕した際に回復できるという祝福されたスキルだと。
「なぜそんなスキルが・・・それに何故AEDとっアガガッアガガッアガガガガガッアガ・・・・・自分で言ってもなるのか・・・、それよりも何故言った?」
「分からないのか?」
「お前の言い値でその奴隷を買い取ると言って・・・」
「A・E・・・」
「まっ待てっ!!待ってくれっ!わかったっ!わかったからっ!」
「本当に?アイリスを侮辱し、奪い取ろうとするからだとわかったかな?」
「侮辱したつもりは・・・それに、その奴隷にとっても王族の元で働いたほうが・・」
「失礼を承知で申し上げます。私はカナメ様にお仕えしたいのです。それが幸せなんです」
「王族に仕えるよりもか?」
「A・E・・・」
「わかったっ!もうわかったからっ!やっ、やめてくれ〜!!」
仕方ない、この世界ではこの王子の感覚が正しいのかもしれない。だが、アイリスはダメだっ!!
王様には無礼を詫び、
「A・E・Dの秘密は「アガガッアガガッアガガガガガッアガ!!」絶対に漏らしません」
と言っておいた。裏を返すと、手を出せば秘密バラすからね?って意味だ。王様も、息子の横柄な態度には参っていて、躾けに使えると喜んでいた。
何かこの王様はいい王様だなっ、こんだけ無礼な感じだったのに許してくれている。気が合うんだよなぁ〜。さて、報酬の話だなっ!
「カナメ殿、今回は命の危険を顧みず我が息子を救ってくれて、我が一族を繋いでくれて礼を言う。報酬だが、大金貨10枚だったな?」
「恐れながら王様、その報酬は我がアール商会が支払うことになっています。元々カナメ殿に依頼したのは私ですので、報酬もこちらで用意しますので・・・」
「そうなのか?だがそれでは王族としての面子が立たぬ。他に欲しい物はないかな?カナメ殿」
「特には・・・前にも言いましたが、愛する者と帰る場所があれば他には何もいりません」
「それだっ!!帰る場所、それをこのアモスにするのはどうじゃ?屋敷を準備して、カナメ殿に与えるというのは!?」
「・・・それは、はい」
確かに王都に拠点が出来るのはいいなっ!転移の炎のスキルで移動出来るし・・・。
「是非、それでお願いします」
「あい、わかった」
クリスさんが何か言いたそうにしていた。後から小言を言われそうだ。屋敷はいい物件を探して後から連絡してくれる手筈になった。
そんなことよりも、俺の興味はダークエルフだっ!!早く手に入れたいっ!!手を入れたいっ!!いや、違う何かを入れたいっ!!
何事もなくアモスを出てパルスパルに向かう。
「いや〜、今回ほど冷や冷やしたのはいつぶりでしょう。カナメさん?次回からはもっと相手を敬って下さいね?最悪死刑ですよ?」
「まじですか?ってそうですよね?でも正直早くダークエルフを手に入れたくてイライラしてたのは認めますが、向こうも悪いと思いますよ?」
「それはそうですが・・・」
「それに、今回クリスさんが得るのは途方もなく大きな物でしょ?なんか、クリスさんの思惑通りに進むのもちょっと癪で・・少しぐらい大目に見てください」
「はぁ、そうですね。カナメさんの好意を利用する形になってしまいましたが、得る物が大きかった事は認めます。カナメさんが屋敷を断ってくれたらもっと恩を売れたんですがねっ」
クリスさんが得た物は独占販売権。何の販売権かまでは教えてくれなかったが、それにより王都でもアール商会は盤石になる様だ。
進む先はパルスパル、太陽の光が眩しく輝いていた。