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チート?いいえトーチです  作者: 取手名
13/62

帰還

ダンジョンでレベルがあがり、更に奥に向かう。

これで紅キノコは5本目になった。出てきた魔物はスライムとコウモリのみ。アイリスの<風読み>で魔物を感知、俺のトーチに魔物の注意を引かせて後ろからバサリ。もしくはトーチに魔物の注意を引かせてスタンボールからの攻撃になっていた。しばらく進むと下に降りている階段を発見した。


「これが地下2階に向かう為の階段かな?アイリス、疲れてないか?」


「大丈夫です。ご主人様」


「わかった。でも疲れたらすぐに言うんだぞ?アイリスが頑張ってMP切れ、その結果危険になることも考えるんだ」


「はいっ、肝に銘じます。ですがまだ大丈夫です、ご主人様」


「そうか、じゃあ下に降りてみる」


アイリスを前にして階段を下りる。別に臆病だから先に奴隷のアイリスを行かせる訳ではない。アイリスが譲らないのと、<風読み>の効果を発揮するには先がいいとなったからだ。


地下2階も上と同じ様な作りになっていた。


「ご主人様っ、少し進むとジャイアンアントが居ます。数は3匹です、いかがなさいますか?」


「行こう。これまでと同じ作戦でいいな?1匹づつ倒して、3匹目を2人で倒す。無理なら即撤退だ」


「はい。ご主人様、よろしかったらウインドフォローをおかけいたしましょうか?」


ウインドフォロー・・・風の加護を数分間得る。素早さと防御力が僅かに上がる


これは保険として2人共にかけた。自分にかけるのはもったいないとアイリスは言ったが、強制的に自分にもかけさせた。


ウインドエッジはなぜ使わないのか聞いたところ、洞窟のような狭い場所では使いにくいスキルのようだ。味方も視認することが出来ない刃渡り1mの風の刃・・・確かに怖いわな。屋外戦闘や、洞窟内だとしても連携が深まれば使う機会があるかもしれない。



ウインドフォローをかけてもらい、ジリジリと進む。

スキルレベルが上がったトーチは18m先に出現させることができる様になった。その18m先に・・・いた。1mの犬くらい大きなアリだ。

トーチに引かれている。すり足で近づいて首と体を切断した。アイリスも終わっていたので、もう1匹に近づくとアゴの牙を開いてジャイアントアントが突進してきた。アゴの牙を黒鉄の剣で受けるが、踏ん張りきれずに倒れてしまった。アイリスが詠唱をしてスタンボールをジャイアントアントに当てる。


「ギッ・・・ギギッ・・・」


麻痺したようだ。


「助かった」


アイリスに礼を言いながらジャイアントアントの首をはねた。

ピコンっ、よしっ!?アイリスはレベル上がってないか・・・。俺は・・・灯り持ちが上がってるな。トーチボール?何それ?ファイアボールの劣化版みたいな・・・それからトーチスラッシュ?松明を掲げる様な位置からのスラッシュ・・・意味わからん。ただのスラッシュは斜めに斬りつけるけど、トーチスラッシュは縦寄りに斬りつけるのかな?使えるんかいなこれ。とりあえずはそれだけか・・・。剣士もレベル上がって3になってる。ダッスラッシュ・・・素早く突進しながら斬りつける。



まあ、そこそこ強くなったな。あと1本の紅キノコをさがしたらそろそろ帰るか。

ジャイアントアントの死体をアイテムボックスに入れて捜査を再開した。


次の紅キノコはすぐに見つかったが問題が起きた。2本あったのだ。こういうのってなんかキリがいい数を揃えたいと思うのは俺だけだろうか。だってあと2本で銀貨3枚だよ?探すでしょ。

それから1時間くらいかかって紅キノコは計9本採取した。3階への入り口は発見したが、道順を覚えきれる自信が無かった為、ここで引き返すことにした。


帰り道ではジャイアントアントが2匹とコウモリ2匹、スライム3匹を倒したが、レベルは上がってない。

トーチボールの使い勝手だが、良かった。そこそこの熱量と威力を持ったトーチが自動追尾で数十秒間、攻撃を繰り返していた。魔物を倒すほどではなかったが、敵の注意が散漫になり奇襲が楽になった感じだ。トーチスラッシュに関しては縦寄りの斬撃の為当てにくくなったが、トーチスラッシュからのスラッシュのコンボが出来るようになった結果、トータルとしては強くなった。ただ、技スキルもMPを僅かに消費する為、連発は出来そうにない。


「やっと出口か・・・これから馬車で15分の距離を歩くのか・・・正直キツイな」


「大丈夫です、ご主人様。私の背中にお乗り頂ければ、街までお運び致しますので」


「いやいや、大丈夫だから。そんな自己犠牲いらないから。馬鹿なこと言ってないでちょっと休むから膝枕しろ」


「はいっ!ご主人様」


アイリスは満面の笑みで女座りし、その太ももをポンポンして俺を招いた。


「今日はどうだった?正直に答えてくれ」


「そうですね〜、奇襲は今のところ上手くいってますが、光に反応して私達の背後から魔物がくる場合もあるはずです。その場合は最悪挟み討ちに合い、非常に危険だと思われます」


「確かに・・・」


「今はまだ魔物の数も強さも大したことないので問題ありませんが・・・」


「とりあえずメンバーはお金が溜まり次第奴隷を購入する・・・」


「・・・はい」


「アイリスは女の奴隷が増えるのは嫌か?」


「いえ、そういうことは・・・」


「も、もちろんアイリスは特別だからなっ?奴隷を増やしてもアイリスをな蔑ろ(ないがし)にはしないから」


「はいっ、ありがとうございます!ご主人様」


ふーっ、良かった。アイリスの機嫌が悪くなったら気まずい。いくら主人と奴隷でもそれは嫌過ぎる。いや、俺は主人なんだし・・・ここは威厳が必要だな。


「アイリスっ!おっぱいを・・・その、乗せてくれるとありがたいんだが・・・」


「フフッ、はいっ!」


アイリスは前に身体を傾けて呼吸ができる様に2つの塊で顔を覆ってくれた。

10分程堪能したので立ち上がり、街に向かって歩き出した。


馬車で15分程の距離は、普通に歩いて2時間程かかった。

朝は多分6時ぐらいに起きて、準備してご飯を食べて7時、ギルドで依頼を受けて街を出るまでに8時、それからダンジョンに向かい8時15分到着か・・・帰りが徒歩で2時間。今が夕方4時なのを考えると6時間も・・・いや、休憩を考えると5時間もダンジョンにいたのか・・・。これじゃもっと深く潜るとなると、途方も無い時間がかかるな・・・。


冒険者ギルドに到着して、銀貨を9枚受け取る。それから魔物の素材を買い取ってもらう為に買取所に向かった。


「いらっしゃい、素材を出しなっ」


デカイ男がいた。ヒゲモジャで身長は190から2mぐらいありそうだ。

アイテムボックスにあるのは、ジャイアントアントが5匹分と、コウモリが7匹、スライムが7匹だ。


「ちょっとこのカウンターじゃ置けないかもしれない・・・」


「ん?バックねぇのにか?・・・おめぇさんアイテムボックス持ちか?ならこっちに出しなっ!」


ヒゲモジャが指し示したのは、幼稚園にあるプールや水遊びの場所みたいな場所だった。


「ほうほう・・・初心者ダンジョンか・・・。魔石はまだ抜いていないんだな?・・・そうだなぁ・・・これだと銀貨7枚って所じゃな」


「じゃそれで・・・」


「待て待て、魔石はどうする?売ってくかい?」


「いくらになる?」


「そうだなぁ、魔石は銀貨5枚だな。素材と合わせて大銀貨1枚と銀貨2枚だ」


・・・1万2千円ぐらいか・・・。安くないか?いや、アイリスは普通の顔をしてるな。わからん、売っちゃえっ!


「じゃあそれで・・・」


「あいよっ!」


ヒゲモジャにお金を渡された。

素材買取り所を後にして、宿に帰る道すがらアイリスに聞いてみた。


「買い取り金額はあんなもんなのか?」


「はいっ、私の知識ともあまり差はありませんでした。ご不満だったのですか?」


「俺はあまり知識がないからな・・・適正価格だったのか、ガキだと思って安く買い叩かれていないか心配だったんだ」


アイリスは、「そうなんですか」と納得している。

今日の収支としては日本円にして、馬車がマイナス3000円、紅キノコがプラス9000円、素材が1万2000円、宿屋の金額がアイリスと2人分でマイナス1万円、計8000円のプラスか・・・せつない。これが冒険者の暮らしなのか・・・。節約しないと2人目なんて、夢のまた夢だ。


宿屋に着くと夕食までまだ時間があったので買い食いをしながら部屋に戻る。これで1日の収支は7000円になった。慰謝料とかで、370万あったのが装備や服で250万無くなり、120万。まだ余裕があるとはいえ、武器の消耗とか考えると頭が痛い。

でも、夕食までの1時間は頭を空っぽにしてアイリスを貪りました。




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