始まり
よく異世界転移前の出来事を長々と語る転移物小説があるが、俺の場合は記憶にないらしい。
いや、転移する事になった出来事だけが抜け落ちている感じだ。
ただ、目の前にはテンプレの女神様が微笑んでいた。
こんな綺麗な女の人を見た場合どう思うだろうか?俺の場合は、転移したと直感的に理解できた。
決して、厨二脳が変な脳内物質をドバドバだして、トリップしているわけではない。
「ありがとうごさいます。綺麗だなんて♪」
これはもしや思考がただ漏れになるっていう、人権ダダ無視の創造主特権ってやつかな?
「違いますよ〜。いやほらっ人権ダダ無視って事ではなくてですね〜、こっちの方が手っ取り早いっていう・・・気遣い!そう!気遣いなんですよ?」
「いや、今思いつきましたよね?」
「そっそれに、私は創造主っていうより管理者なんですよ」
ごまかした上に話をそらしたな?
俺がジト目をすると、そんな需要は求めてませんとばかりに女神は話し出す。
「まっま〜、それは置いておきましょう。とりあえず、あなたの直感通りにここは、転移してもらう前の白い空間です」
チッ、チート早よ!!
「いやいや、会話しましょう?はぁ、まー良いです。色々端折って説明しますね?」
それよりもチート早よ!!
「あー、あかんタイプの人ですねー。でも説明はさせてもらいます。お仕事ですので」
女神はやれやれと言った感じで顔を左右に振りながら説明を始めた。
「えーあなたの死因は事故死ですね。記憶がないのは脳みそグチャグチャで復元が事故前までだったからですよー。聞いてます?」
「聞いてますから巻きでおなしゃすっ!!」
「はーもーわかりましたよ。で、転移先はテンプレですね。後転移するあなたの使命はありません」
「えっ!!・・・・スタッフ細胞は?」
「ありますん」
濁したっ!!
「話を脱線させていいんですか?チートまで時間かかりますよ?」
「すみません。ただ、使命ない系の転移なんですよね?じゃあなんで転移なのか気になるじゃないですか」
「要さん?あなたは死ぬ瞬間、次元の割れ目に落ちたんです。つまりココに脳みそグチャグチャで落ちて来たので、私が再生させました」
えっ!!お母さん?
「違います。再生させただけで産んではいません。で、いろいろな大人の都合で私の管理する世界に転移させることになったんです」