告白
レストランで食事を終え、僕たちはまたパーク内をゆっくり歩いた。
「楽しかった」
僕の隣で、西村さんは満足そうに笑う。
「とっても、楽しかった」
噛みしめるように、もう一度言う。
「僕も、楽しかった」
「ありがとう、誘ってくれて」
〝デート〟が終わりに近づいている、そんな雰囲気だ。
「西村さん」
僕は彼女の名を呼ぶ。
「ん? なあに?」
「お城に行かない?」
「うん、行こう」
西村さんは笑って答えた。
高いところから見る冬の終わりの景色。別れの色を備えている。
「うわあ、きれい……」
彼女はそこから景色を眺めて、微笑んだ。その横顔を、僕は見つめていた。
「西村さん」
「はあい」
彼女が僕の方に向き直る。
「話すことがある」
「……なんだろう、バレンタインのお返しかな」
━━そうだ、あの頃はこの日に、お返しをして、そしてあなたを振ったのだ。
「去年、西村さんを振った」
「そうだったね」
「今の僕は、あの頃とは違う気持ちだよ」
まっすぐに西村さんを見た。彼女は目を丸くする。
「……え?」
「後悔してるんだ。断ったの」
「それって……」
「今は、西村さんと、ずっと一緒にいたいって思ってる」
━━こんなに緊張することを、僕はあの頃、彼女に2回もさせたのか。
「……ありが、とう……」
彼女の声が震える。
「泣いてるの」
「……泣いてないよ」
西村さんは、また、向こうの空に体を向けてしまった。
「僕と、付き合ってくれる?」
「……断る理由がありません」
僕の方を見ないまま、彼女が答えた。手が顔を覆う。
思わず、後ろから彼女を抱いた。何のためらいもなく。
「ありがとう。大切にする」
言ってから、途端に恥ずかしくなって、すぐ離れた。
すると彼女が振り向いた。暗くて顔がはっきりは見えない。でも、笑っていた。
「おみやげを買おう。今日の記念に」
「うん」
そして僕たちは、手をつないでまたパーク内を歩いた。
おそろいのキーホルダーを買い、そのままパークを出た。
電車を待っているときに、西村さんが言う。
「明日、学校行こうかな」
「え、なんで?」
「福本先生に会いに。バタバタしてて、ろくに挨拶もできてないのよね。前川くんも行く?」
福本先生には、僕も何か挨拶をしたかった。でも、彼女と一緒でいいのか?
「そうだなあ……」
悩んでいると、電車が来た。
彼女の手を引いて、乗る。はぐれないように、彼女をかばいながら揺られ、答えを出した。
「明日、僕も行く」




