決心
コーヒーカップやメリーゴーラウンドのような、どこにでもあるようなアトラクションで、僕たちはずいぶん楽しく遊んだ。コーヒーカップを酔うほど回して、すると彼女が怖がって、叫びながら僕の上着をつかむ。メリーゴーラウンドはただ乗っているだけだけれど、動き出す前にお互いに写真を撮った。
「ねえ、今日、何時に帰る?」
16:00前頃だったろうか、彼女が聞いた。
「え、何時でもいいよ」
「夕ご飯は?」
「食べて行こうよ」
僕がそう答えると、西村さんは安堵した表情で、
「よかった。ご飯いらないって言って出てきちゃったんだよね。振られたら一人で牛丼とかになってたわ」
と言う。
僕は決めていたのだ。
夜、食事をしたあとで、彼女を連れて夜景のきれいな場所に行く。
そして、あの頃は言えなかったことを、僕から言うのだ。
もう、西村さんの目が丸くなるのが想像できた。
ベタな演出を、彼女は嫌うだろうか。恥ずかしがるかもしれない。
次のアトラクションを待ちながら、僕たちは大学の話をした。
「あさって、部屋を探しに行くの」
「そうか。僕、何にも決めないや。いつ行こう」
「前川くんらしいな」
彼女はうつむいて、笑っていた。
「引越し日が決まったら、教えてね。住所も」
「うん。必ず」
「わたし……その、お部屋に呼んでもらえるかな?」
24歳の僕が、「一人暮らしの男の部屋に来るなんて」と心の中でささやいた。
「僕も西村さんの部屋に行っていいの?」
18歳の僕になりきって、純粋な心で聞き返す。西村さんは赤くなって、うなずく。
「……これ、乗ったら、ご飯行こう」
その恥ずかしさを隠すように、彼女はそう言った。




