一月
クリスマスの日、あれから西村さんとどんなことを話したのか、はっきり覚えていない。
ただ、あの頃はしなかった「デート」ができて、それを彼女が、「忘れないようにしよう」と言ったことで、僕は浮かれていたのかもしれない。
新年を迎えて、三学期が始まって、僕たちはやはり並んで歩いたし、電車で隣りあって座っていた。
あの頃と何も変わらない。
新年に入り2週間ほどでセンター試験の日を迎えた。
高校から一番近い大学で、同じ部屋にいるほとんどが同じ高校の人たちで、リラックスして試験を受けられた。
センター試験の翌日には学校で自己採点をした。
今度はK大学に出願できそうだ。
あの頃、数学がまったく解けなかったのだ。
過去問では取ったことのない点数を取ってしまい、僕はK大学を諦めた。
帰りは、昇降口で西村さんに会った。そのまま、自然と並んで歩く。
「K大、行けそう?」
「うん。なんとか。西村さんは?」
「わたしも、なんとか」
「よかった。じゃあ、まだ頑張ろう」
二月になると、3年生は授業がなくなって、登校も義務ではなくなる。家で勉強する人もいれば、塾に通いつめる人もいる。もちろん、学校に行っても構わない。
「二月は、学校に来る?」
この質問は、あの頃にもあった。
あの頃僕は、気が向いたら、みたいなことを言ったのだと思う。そして実際、気が向いたときしか登校しなかった。
「来るよ」
「毎日?」
「毎日」
「じゃあ、わたしも」
彼女は笑って、駅前の横断歩道を渡る。




