変わる
文化祭が終わって一週間、僕たちは相変わらずだった。
朝は同じ電車で学校に向かい、その間はテストや進路の話をした。帰りも一緒になれば、その日のことを共有したし、僕が忘れ物をすれば必ず西村さんに借りに行った。
あの頃とまるで変わらない日々が続いていた。
でも、文化祭の結果が変わっただけでは、やはり済まなかった。
10月のある帰り道、僕は彼女にこんなことを言う。
「今度の、大学別模試、受けるよね? 僕、S大学で受けるけど」
S大学は、僕たちの最寄り駅から数駅電車に乗れば行ける地元の私立大学で、あの頃、僕はK大学模試を、西村さんはO大学模試を受けに行った。
ほかの同級生はみんな高校に近い別の会場で受験していたから、S大学では知り合いに会うこともなく、僕たちは2人で食事をすることにしていたのだ。あの頃は。
しかし、西村さんの答えは予想外のものだった。
「ああ、O大模試か。申し込んでないんだよね」
「え? そうなの?」
「うっかりしてて……。予定入れちゃった」
西村さんは決まり悪そうに笑った。今回は、僕から食事に誘おうと思っていたのに。
「なんだ、そっか……」
「残念そうね? どうかした?」
「いや、晩ごはん行くかなって思ったから」
「前川くんからの誘いを断るなんて、わたしの意に反するけど、今回はごめんね」
電車は乗り換え駅に着いた。西村さんは立ち上がると、すたすたと降りていく。
「また、誘うから」
反対側の電車が出ていくところで、僕の声はそれにかき消された。
「え、何か言った?」
彼女は振り向いてそう聞いたけれど、僕は
「何でもない」
と言って、答えなかった。




