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28話 星空の物語

遠い冬の旅に出ていました。更新が遅くなってすいません!待っている方がいたなら嬉しいのですが...

「ソラちゃんは無事みたい。王宮でも、ソラちゃんの事は話題になっているわ。主に、現王シグナルの側室の夫人方よ。黒髪も目立つもの...。ソラちゃんの部屋の前には3人体制で見張りがいて、専属の侍女一人がソラちゃんのお世話をしているみたい。お風呂の時は違う侍女も手伝うみたいだけどそれ以外はコナという侍女だけが部屋に出入りしている。それと、テオリドという男が度々出入りしているわね。」


基地に帰ってきたアンナはケンに二日間の報告を簡単に済ませた。


「そうか...」

ケンは深く息を吐き出し少し安心さした。

あいつが無事に生きてくれるならいい。


「もう、大変だったのよ、見張りの数もそうだけど、ソラちゃんのいる部屋に専属侍女以外近づかないようにメイドにも言われてるわ。ソラちゃんが無事なのは分かったけど情報があまりないのよね。料理長の話によると、出した食事も半分位しか食べれてないようだし。それで、ケンこれからどうするの?」


ケンは座ったまま目を閉じてから考える。誰もがこの静かな時間をただ待つだけだ。


「ソラが王宮騎士に保護されて5日経った。この5日でムーンが入牢されて新しい王が名乗り出たのは皆もわかってる事実。もう貴族議員も国民に隠し通せなくなって、街でも騒ぎになっている、それに伴って新しい王が国民に公開して載冠式を行うことになった。それが10日後だ。」


10日後の朝載冠式を執り行う事が大々的に発表された。その後一般の国民も参加できる舞踏会が開かれると言う事で街の娘達は皆ドレスを準備するのに忙しくなっているようだった。それと共に話題に上っているのは新たな王が載冠し国の営みがいいものに向かうか悪い方に転がるかだ。


「計画はこの舞踏会だ。おそらく、テオリドはソラを王妃に迎えるだろうよ。テオリド本人の意思がなくても配下の者は黒髪を持ったソラを利用するのは目に見えている。産まれた子は人間と西の国の血が混じった混血子が産まれると思ってる。」


ケンは立ったまま窓に寄りかかってメンバーに向かって言った。


「本当の事はソラから聞きたいと思ってるわ。でも、あの子はこの世界の事を何も知らない。西の国の子だとしても違和感を感じてるのよね。」


アンナは友達のソラを心配しているようで沈んだ顔をしていた。


「当日私は配備の代表として舞踏会に参加するよう招待状が来ました。残念ながら私とアンナは公では知り合いではないのでパートナーは部下に頼むことになります。アンナ...あまり寂しい顔をしないで下さい!」


アンナの手を握って顔を近づけるフィダ。


「違うわよ!ソラの心配をしているの!!」

握られた手を振り払ってそっぽを向いた。


「うるせー」


ケンの低い声で静かになる2人。


「アンナお前は当日、俺のパートナーだ。そらとシンフォお前は騎士として当日隙を作ってもらう。失敗は絶対駄目だ。それと、王宮騎士が俺らを嗅ぎ回っている。しばらく、ここには集まるな。指示は飛び鳥で連絡する。」





舞踏会まで3日。

ソラの体は順調にいい方向へ向かっていた。舞踏会に出る事は5日前に聴かされた。少しずつ聴覚が戻って来ていて、今では完全に聴覚を取り戻しコナが耳元で大きな声を出さなくても聞こえるようになった。


しかし、体調が良くなっても視覚だけはぼやけて小さな穴からぼやけた景色を見えているような感じだ。


コナさんに支えられながら庭を散歩するようになってからゆっくり歩く位なら出来るようになった。


「ソラ様。今日は星空の物語という本を持ってきました。昔の偉人が書いた恋物語だそうです。」


お茶の時間になると、紅茶を入れたコナは本を読んでくれる。それを目をつぶり静かし聞くのがソラのお気に入りの時間でもある。


「星空の物語」

物語を読み始めるコナは静かに心に語りかけるように本のタイトルを読み上げる。


ある国に、日の光を見ることが出来ない街娘がいました。その娘は生涯1人でそれは髪の美しい娘です。しかし、街の人達は誰一人彼女の姿を見たことがありません。何故なら、彼女は日の光が照らしている街には出ないのです。神秘的で七色に光る星空になると山奥の秘密の場所で星の花をつんで生活していました。星の花は流れ星が地に落ちて夜にだけ花を咲かせるそれは綺麗な花で、その蜜は真っ白な砂糖と違い、黄金色で流れるようなさらさらした星蜜なのです。その蜜で作ったパンを食べている娘の髪はとても滑らかで月の輝きを浴びて綺麗に輝きました。いつもと同じように月が登り瞳が世界を映すと娘は秘密の山奥で星の花をつんでいました。そこに街で有名な青年が草を掻き分け彼女を探し当てました。

「あなたが星の子ですか?」

青年は娘に問いかけると彼女は悲しい顔で青年に近づきました。


「あなたには私がどのように見えますか?」娘は俯いたまま問います。


「私にはあなたは美しい1人の人に見えます」

娘は青年の言葉に驚きを隠せません。


彼女の瞳は月の光と同じ白い優しい色をしていて太陽の光を見ることが出来ないのです。そのせいで日中は視覚が真っ暗闇で、夜になり目を隠さず街を出た娘は化け物と袋叩きにされて消せない心の傷を一生抱えるようになりました。しかし、青年は少女に美しいと言ったのです。


「こんなに素敵な言葉を貰ったのは初めてです」

娘は笑いました。青年はその笑顔はこの世のものとは思えない程輝いていて儚いものに感じました。


「私はあなたの事が知りたくなりました。どうかそばに要る事を許してください」


青年が彼女を探して当てたのは偶然なのです。仕事がいつもより遅く終わり、マントを頭まですっぽり被った背中を見つけた彼は彼女について行ったのです。

夢の中で恋い焦がれた星の子が目の前にいる。この娘は運命の女性なのだと直感で感じ取ったのです。

それなら、毎日夜になると彼女と秘密の場所で色んな話をしたり、将来を誓い合いました。

しかし、そんな幸せな時間はそう長くはありませんでした。国の王様が娘の噂を耳にして王妃にしようとしたのです。

2人は引き裂かれ、娘は王様の前に連れて行かれました。


「あなたが噂の化物か。噂は当てにならないようだ」

「街に返してください」

「それは出来ない。私はあなたに興味が湧いた。あなたを愛してみたくなった。」

「王様。私はあなたを愛することも愛を受ける事もできません」

「それは、かの青年に恋しているからか」

「はい。彼は私に優しい言葉をくれました。そして、悲しんでいると慰めてくれ、間違った考えを持っていると叱ってくれました。恋ではなく生涯彼だけを愛したいのです」

「そうか。それは残念だ。私はあなたを手放すことが出来ない。取引をしよう。私と婚姻するば、彼の家は免罪にしてやろう。あなたが断れば、家族諸共彼も死刑になる。さあ、選択を」


彼の父は賭博場を仕切っている長で、賭博場では人身売買や売春、賭博とこの国では重罪を犯しているのです。この法を犯したものは血縁者皆公開処刑されます。この取引を聞いた彼女は最初から迷いはありません。


初めての私の愛しい人、私を愛してくれた彼が生きて行けるならならなんだって出来る。小さな夜の世界からすくい上げてくれた彼をこの身を犠牲にしても救いたい。


「分かりました。受けます。彼を助ける事を約束して下さい。」

「この国の王として約束は守ろう」


それから婚姻の儀の前日まで、彼女は与えられた部屋に篭り、愛しい人へ届くはずのない手紙を書いて夜になり視界が開けるとテラスに出て、彼と共に見た月を見上げて涙を流すのです。


婚姻の儀が無事終わり、初夜を迎えた娘と王でしたが、娘は体を許す事はありませんでした。王様は彼女を既に愛していました。しかし、彼女の心は青年に向いたままなのです。嫉妬に狂った王は彼女との約束を破って青年と青年の家族の罪を裁くことにしたのです。

公開処刑の日。王はこの事を彼女に知られてはならないと思い城の裏の1番上の塔に閉じ込めてしまいました。しかし、部屋の前で噂する侍女の会話で彼女はその事実を知ってしまいました。


「ああ、愛しい人。私の太陽が消えてしまう」

彼女は日がのぼっているにも関わらず、見えない目で侍女を振り切り城を抜け出したのです。

街の道は彼女の頭にしっかり入っています。日が上っている間は彼女にとって真っ暗闇で道などありません。しかし、処刑場まで何かに導かれるように真っ暗闇に無数の星が道を作ってくれました。


処刑場のドアを開けると罪書を読み上げている王も見物客も彼女を振り向き、ゆっくり前に進む彼女に道を開ける見物客。


「私の太陽」

檻に入れられた青年の前にたどり着くと彼女は手を伸ばし、やせ細り傷だらけの顔に触れました。


「ああ、会いたかった」

「俺もあなたに会いたかった。あなたの心が俺から離れたなんて思えなかった。俺の美しい星。会いに来てくれて俺は幸せだ」

「私は昔も今もあなたを愛しています。あなただけを愛しています。愛しています。好き...なの。好き。行かないで」


見えない代わりに彼女は彼の顔の輪郭を震えるてで触れてここに彼が確かに存在するのだと確認しました。


「王様。あなたは私との約束を破りました。私はあなたに愛を差し上げることは出来ないと最初に申しました。しかし、あなたを信頼していたのは確かです。私はあなたの過ちを許すことはできません。私の心と体は彼のもの。愛しい人と引き裂かれ、時間も取り戻すことも出来ない。でも、私は彼が心臓を動かし生きているならそれでいいと思えたのです!しかし、裏切られた。今となっては全て取り返しのつかないことになりました。彼を亡き者にするなら私自ら心の臓を貫きます。あなたの縛になるように。あなたが二度とこのような事をしないように」


彼女は初めて心の声を王様にぶつけたのです。王様は彼女を心から愛していましたが、その愛は黒く闇に染まり、死んでずっと己のそばにいればいいと思ってしまいました。

そして、彼女と彼はお互い手を繋ぎあって王の(ツルギ)により心臓を貫かれてしまったのです。最後の彼女は幸せでした。彼の側で命を終えることができたからです。瞳から見える彼は星達が照らしてくれました。彼も彼女の笑顔を再びみることができた。抱きしめ合う事が出来なくとも触れている指先から彼女を感じられた最後でした。

王様は、自分の王妃が冷たくなり動かなくなってから自分の過ちに気づきました。命果てた愛は永遠に私のものではないと。


その日、太陽の隣には美しく輝く星が日中だも煌めくようになりました。




「ソラ様?」

「ごめんなさい。勝手に涙が出たんです」

読み終わったコナは静かに本を閉じソラの肩に手を乗せた。


「どうして泣いているのか分からないんです」

「きっと、ソラ様の心を動かす歯車の部品が一つ見つかったのでしょう」



この星空の物語を本編とは別で短編として投稿しようかと思います。皆さんが希望するなら!ww

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