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真・恋姫†無双~北刀伝~  作者: NOマル
第二章~新たな出会い~
53/90

~群雄、南の島でバカンスをするのこと~【騒動の地】

水鏡からにゃんばん島にまつわる伝説を聞き、行動を共にする愛紗達。一刀の事もあり、一旦袁紹の元へと戻る事になった。

そして、その会話を茂みの中から盗聴していた二人組。袁術と張勲だ。どうやら豪華客船に密航していた模様。


「美羽様、聞きました?」

「うむ、聞いたのじゃ」

「どうします?」

「当然、妾がその“三つの星”とやらを手に入れて、大いなる力で麗羽姉様をぎゃふん!と言わせてやるのじゃ」

「は~~い♪」


早速、二人は行動に移す事にした。二人は密林の中をただただ歩いていく。


「―――って、出発したのはいいものの、何かあてはあるんですか?」

「細かい事は気にするでない。こうして歩いておれば、その内なんとかなるのじゃ。ほれ、“犬も歩けば穴に落ちる”というであろう?」

「それは穴に落ちるじゃなくて、棒にあた―――」


と訂正する前に、主共々落とし穴に落ちてしまった。それなりの深さで、張勲は目を回している。


「ほれ、穴に落ちるでよかったであろう?」


袁術がそう言うと、三人の少女が上から覗いてきた。猫、或いは虎をモチーフにした南蛮の衣装を身につけた少女達。


「ひっかかったニャ!」

「獲物ニャ」

「けど、ちっこい方はあんまりお肉がついてなさそうで、マズそうなのニャ」


三人が微妙そうな顔を浮かべていると、袁術は怒りを露にする。


「こりゃあ!妾に向かってマズそうとは何事じゃ!」

「美羽様、怒る所が違ってますよ…」

「むっ、そうであった」


張勲に宥められ、落ち着きを取り戻す袁術。こほん、と小さく咳き込む。


「貴様ら!名門袁家の真の正統後継者たる妾をこの様な目にあわせるとは、言語道断!胴体切断!螺旋階段じゃ!ただでは済まさぬから覚悟せい!」


いつもの緩い雰囲気から一変。堂々たるその振るまいに、三人の猫少女達はビクッ!と肩を震わせる。


「獲物のくせになんか怒ってるけどどうするニャ…?」

「あのちっこい方、イバりんぼな所がなんか大王しゃまそっくりなのニャ」

「もしかしたら大王しゃまと同じくらい偉い人かもしんないニャ」

「だったらうっかり食べたら怒られちゃうニャ~…」

「どうするニャ?」

「とりあえず大王しゃまの所に連れてくにゃ。どうするかは、大王しゃまに決めてもらうにゃ」

「それがいいにゃ」


ヒソヒソと相談する三人。結果、“大王しゃま”に決定を委ねる事にした。

袁術と張勲を連れて移動する三人。ニャーニャー言っている辺り、この子達がにゃんばん族だと予想する。おまけに王様の元へ案内してくれるというから、正に好都合だった。






そして、その砦へと辿り着いた。


「苦しゅうない、(おもて)を上げるのにゃ」


袁術と張勲は、下げていた頭を上げる。

玉座に座っていたのは、袁術も同年代と思われる少女。腰まで伸びている黄緑の長髪で、白虎を模した衣装を身に付けている。


「美以が南蛮族の王、孟獲ニャ」


少女―――孟獲の頭の上に一匹のタコがいた。よく見ると、タコの触手に、赤・青・緑色の宝石が埋め込まれた指輪がはめられていた。

目的のものと思わしき物を見つけ、袁術と張勲は小声で話し合う。


「何をこそこそと話してるニャ」

「な、何でもありません!」

「こっちの話ですなのじゃ!」


慌てて返事を返す二人。訝しげに見ながら「まあいいにゃ」と頬杖をつく。


「それより一体何の用なのニャ。美以の昼寝を邪魔した以上、つまらぬ事だと承知しないニャ」

「何を言うておるのじゃ!そっちが勝手に―――」

「美羽様、考えがあります。ここは私にお任せを」


袁術を宥めると、孟獲と向き合う。


「実は私達、偉大なる大王様のお噂を常々耳にしておりまして、冥土の土産に一目お姿を拝見したいと、遥々訪ねてきた次第であります」


揉み手をし、口から出るのは褒め言葉ばかり。おだてに弱いのか、不機嫌だった孟獲の表情がどんどん緩み始めていく。


「ありがたくも、こうしてご尊顔を拝させて頂き、感謝感激♪そこで、にゃんばん族の皆様は歌がお好きなご様子。もし宜しければ、お礼として一曲歌わせてくれればと思うのですが」

「うむ、美以達は歌が大好きなのニャ♪一つ歌ってみるがよい」

「はい、それでは」


一呼吸置き、張勲は歌を披露する。袁術に勝るとも劣らない美声は、森の奥まで響き渡った。






――――その歌が子守唄となり、孟獲を含めた猫娘三人組が夢の中へと旅立っていった。その事を確認すると、張勲は眠ってしまった袁術を起こす。


「美羽様、美羽様」

「う~ん、妾はまだおねむなのじゃ……」

「美羽様まで寝ちゃったら駄目じゃないですか」

「むっ、そうであった」

「さあ、あれを持ってずらかりましょう」


張勲は孟獲の頭上に居座るタコをそのまま持ち去っていった。




にゃんばん族の住み処から遠ざかり、浜辺まで逃げてきた二人。


「こ、ここまで来れば大丈夫じゃの……」

「美羽様、やりましたよ♪」


張勲は指輪を取り出すと、それを袁術に手渡す。用済みと言わんばかりに、たこは後ろへと投げられた。


ニュッ!?という鳴き声を出し、目を覚ますタコ。赤くなった頭を撫でながら、ある事に気づく。三つの指輪がないことを。


すると、タコは怒りの表情を浮かべ、体がみるみる内に大きくなっていった―――




◇◆◇◆




―――俺は、死んだのか?


暗闇に包まれた世界。

青年はふと、そう呟いた。

最悪の結果を想定し、断定した。


―――そうか、俺はもう……


「―――しっかりしてください!」


突然、少女の声が聞こえた。

体を揺さぶり、必死に呼び掛けている。揺さぶっているのは、恐らく自分。感覚がある―――ということはつまり。


(―――俺、生きてる?)


確信を持ったのか、瞼をゆっくりと開く。


「よかった!目が覚めたんですね」


猫耳を付けた美少女がいた。

桃色の長髪が日光に照らされ、その美しさを際立たせている。一瞬、天使が向かいに来たのかと錯覚してしまう位だった。よく見てみると、服装は南蛮族が身につける様な、豹柄模様の装いだ。特にサラシが巻かれた胸が、溢れんばかりのボリュームを誇っている。


「よかった~!一時はどうなるかと……」

「俺、どうなって………」

「私が来た時には、もう倒れてたので、びっくりしちゃいましたよ」


少女は一刀が意識を取り戻した事を確認すると、安堵の息を漏らした。


「えと、介抱してくれたみたいだね。ありがとう」

「いえいえ、気にしないで下さい」


少女はにっこりと微笑む。その慈愛のこもった笑みを見て、こちらの胸が温かくなる。


「そういえば、自己紹介がまだだったな。俺は、北郷一刀。よろしくね」

「……北郷……一刀」


名前を聞いた途端、何かを考え込む仕草をする少女。


「ど、どうかした?」

「もしかして、愛紗ちゃんの言ってた……」

「えっ、愛紗の知り合いなの?」

「知り合いも何も、私は―――」


少女が口を開いたその時、急に地鳴りが起こった。


「な、何だ!?」

「あれは……!?」


少女が向けている視線に合わせ、一刀も目を向ける。

巨大な蛸の化け物が赤い触手を振るい、暴れまわっているのが見えた。


「た、タコォ!?つうか、デカッ!?」

「あれは、島の守り神様!」

「お、おい!ちょっと!!」


島の守り神。

少女はそう呟くと、タコの化け物がいる方向に向かっていった。一刀も慌ててその後を追い掛ける。



◇◆◇◆



浜辺の方へと戻り、海辺の店にいた袁紹に、にゃんばん族の話を聞く。

しかし、これといった情報がなく、手がかりは掴めなかった。


「すみません。私達も、にゃんばん族の事はあまり……」

「そうですか……」


すると、外の方から大音が聞こえてきた。


「外が騒がしいな」

「何かあったのか?」


怪訝に思い、外に出る一同。

そこは、正に混沌と化していた。

巨大な大ダコが触手で大暴れしており、あろうことか女生徒の水着を奪い取っていたのだ。

砂煙が舞い上がり、女生徒達の素肌が晒される中、外に出ようとした瞬間、瑠華は朱里、昴は紫苑に目隠しされてしまった。


「瑠華くんは見ちゃ駄目です!絶対に駄目ですぅ!!」

「いたた!ちょっと、目が痛いって!」

「……紫苑さん、これは厳重過ぎるのでは?」

「昴君、女の全てを知るというのは、生半可な覚悟で挑むと痛い目を見るのよ?」


後ろから両目を両手で押さえつけられる瑠華。昴に至っては、スイカ割りに使っていた紐で何重にも括られていた。


「私のビーチで何をやってますの!?」

「麗羽姉様、助けてたもぉ……」

「あら美羽さん、どうしてここに?」

「そんな事はどうでもよいのじゃ!それよりタコが指輪で巨大化怒ってるのじゃ」


いつの間にかいた袁術の答えに理解出来ず、頭上に?マークを浮かべる。

すると、密林の奥から一人の少女が歩み出てきた。


「島の守り神は、聖なる三つの石を奪われ、怒っています」

「姉上!?」

「桃香お姉ちゃん!」


愛紗と鈴々は同時に驚いた。何故なら、彼女こそが行方不明となっていた、劉備なのだ。


「あら愛紗ちゃん、鈴々ちゃんも」

「あらではない!」

「一体今までどうしてたのだ?」


劉備こと桃香は二人に事情を説明した。

飛行機が落ちた後、偶然にもこの島に流れ着き、にゃんばん族に助けられた、と。


「にゃんだかとっても気が合っちゃって、居心地がいいものだから、つい♪」

「ついって……」


その自由奔放に呆れながら、姉の無事を喜ぶ二人。劉備に続いて、もう一人やって来た。


「やあ、愛紗。みんなも」

「一刀!?無事だったのか!」

「ああ、湖に落ちていた所を、彼女に助けてもらったんだ」


彼女が劉備だったのか、と一刀は納得した。

愛紗はまたも安堵の息を吐く。肩の荷が下りたと思いきや、


「あのぅ、お取り込み中の所、申し訳ないのですが……」


張勲の指差す先には、巨大なタコがいた。こちらの問題も解決しなければならない。


「こ、これは返すのじゃ……。だから許してたも……」


おずおずと袁術は指輪を返そうとする。しかし、タコが大きく威嚇。それに怯えてしまい、張勲に抱きつく。


「我が身より、島の宝を抜き去りし罪。万死に値する。愚かな人間共に、同じ屈辱を味わわせるまでは、我が怒りが収まる事はないだろう――と言っています」

「言葉分かるんだ……?」

「はい♪」


自分の大事なモノを勝手に抜き取られたから、こちらも人間が身に纏っているものを抜き取っているということらしい。

ただのエロダコではなかったようだ。


「誰がエロダコかぁっ!?――と言っています」

「じゃあどうしたらいいんだよ……」


どうしたものかと頭を悩ませている。その様子を、物陰から星は観察していた。


「こうなったら私が出るしかないな」


星は胸元から“あるモノ”を取り出した。それは蝶を彩った目元だけの仮面。

「デュワッ!」という聞き覚えのある掛け声と共に、それを目に装着。すると、みるみる大きくなり、大ダコとほぼ同じ大きさの巨人となった。


「ええぇぇぇぇ!?マジか!?」

「ウルトラ変態仮面なのだ!」

「ウルトラ変態仮面ではない!ウルトラ華蝶仮面だ!」

「あれってアリなんでしょうか……?」

「いや、アリというかナシというか……」

「まずあり得ない事をしてるっていうのは確かだよね……」


批判の声を聞き流しながら、星―――もとい、ウルトラ華蝶仮面は果敢に立ち向かっていった。最初は互角の勝負を繰り広げていたものの、タコの触手攻撃による拘束に遭い、あえなく撃沈。

その際、水着がずれてしまったのだが、愛紗がすかさず一刀の目を――アイアンクローで――塞いでいた。

瑠華と鈴々は呆れてモノを言えなかった。


「負けちゃったのだ」

「ていうか、何しに来たのやら……」

「無念……!」

「いぃだだだだ!あ、愛紗さん!離して!ちょっと、マジで死ぬからぁ!!」

「あっ、すまん!つい、無意識で……」


万力から解放され、「うぉぉぉぉ……!!」と顔面を押さえながら悶絶する一刀。

未だにタコの対処に戸惑っている生徒一同。すると海辺の店から二人の幼女が出て来てしまった。


「お母さ~ん!どうしたの~?」

「り、璃々!壱与ちゃん!来ちゃだめ~!」


紫苑の声も虚しく、タコの標的となってしまった。狙いを定め、触手が幼女二人を襲う。

その時、一つの影が二人を抱え、その場から即座に立ち去った。

触手は空を掴み、おかげで幼女コンビは無事だった。


「ふぃ~……間に合った」

「瑠華君!大丈夫ですか!?」


二人を救出した瑠華は、額の汗を手の甲で拭う。璃々は紫苑に、壱与は昴に保護された。

二人が無事な事を確認すると、瑠華はその場から動かず、正座したままであった。


「瑠華君?なんで正座なんか……」

「……………………聞かないで」


瑠華の姿を見て、「あっ………………」と全員が察した。タコの吸盤には、“紺色のトランクス型水着”が引っ付いていた。あれは紛れもなく、瑠華のもの。瑠華は上に白のパーカーをジッパーを閉めて羽織っており、裾をぎゅっと掴んで下向きに引っ張っている。つまりは………………。


「………………」


本人の名誉の為に黙っておこう。

一刀と昴は気まずさに空を見上げ、女性陣も微かに頬を赤くしながら――朱里は顔面真っ赤にしていた――顔を逸らす。


「ニュニュニュッ!!」

「あっ、女子と間違えた――と言っています」

「はぁああ!?間違えるなよ!!」


タコの言葉に瑠華はぶちギレた。


「何だよ何だよ何なんだよ!海に来てまで間違えられるとか、もうどうしたらいいんだよ僕はああああ!!」

「お、落ち着け瑠華。なっ?」

「そ、そうだって。いつかは男として見てもらえる……………………筈」


とはいえ、顔を真っ赤にして涙目で恥ずかしがるその姿は、女顔も合わさって乙女そのもの。見えるようで見えない禁断――ある意味――のラインが男性、女性を動揺させるのは間違いないだろう。

それでも、励ましている間、愛紗と一刀は口にしなかった。


「りゅ、劉備!なんとか、その、通訳してやめさせる事って出来ないのか?」

「えっとぉ、私はただ言葉が聞けるだけで、喋るのは……」


どうやら無理らしい。

業を煮やしたのか、タコは桃香を狙ってきた。


「えっ?」

「危ない!」

「きゃああっ!!」


桃香に触手が迫る瞬間、一刀は何とか間に入る事に成功する。腹部にとてつもない衝撃を喰らうが、なんとか耐えきる。


「ぐふぁっ!」

「か、一刀さん!」

「劉備……逃げろ……!うおっ!?」


それが気に入らない様子で、タコが触手で一刀を掴み上げる。


「どわっ!くそっ、離せ!このっ……!」


体に巻き付き、拘束から解放されない。万力の様に、じわじわと力が強まり、一刀の体を締め付けていく。苦悶の表情を浮かべ、嫌な汗を流す。


「一刀!」

「一刀さん!」

「お兄ちゃん!」


それぞれ名を呼ぶ三姉妹。助け出そうにも手段が思い浮かばない。歯痒さを感じていると、


「強き絆で結ばれた三姉妹が、三つの星に願いを込める時、大いなる力の扉が開かれる」


語りかける様に、水鏡は呟いた。


「先生、それは……?」

「古文書に書いてあった伝説の一説よ。恐らく三つの星とはこの指輪の宝石の事」

「それじゃあ……」

「ええ、望みはあるわ」


水鏡は、掌の上にある指輪を見つめる。最初に声をあげたのは、鈴々だ。


「だったら鈴々達がやるのだ!」

「待て鈴々。姉妹とは言っても、我々は姉妹の契りを交わしただけで、血の繋がりは――――」

「なに言ってるのだ!鈴々達の絆は、血の繋がりなんかに負けないくらい強い強い筈なのだ!だから絶対大丈夫なのだ!」


断固として譲らない鈴々。その様子に断りきれない愛紗。


「いや、だが……」

「愛紗ちゃん」


隣から、桃香が静かに語りかける。普段のほわわんとした空気はなく、長女の威厳を持った振る舞いだった。


「やっても出きるかどうか分からないけど、やらなかったら絶対出来ないよ。だから、やるだけやってみましょう?」

「姉上………」

「それに、好きな人がピンチになってるんだもんね」


愛紗はもう一度彼の方に視線を向ける。

今度は両腕を掴まれ、左右に引っ張りあげられている。

もう迷っている暇などなかった。


「よしっ!一つやってみるか!」

「そうこなくっちゃなのだ!」


三人は指輪を受け取り、それを自らの指に嵌めた。


「さあ!一刀さんを助けましょう!」

「待っていろ一刀!」

「今行くのだ!」


三人は強く願う。“力が欲しい”と。


――――大切な人の為に。


その想いに呼応するかの様に、眩い光が三人を包み込む。


やがて、光は晴れていった。


「愛と呑気の“ピーチレッド”!」


赤色の大きなリボンを付け、ピンクのバトルドレスに身を包んだ桃香。


「揺れる黒髪“ピーチブルー”!」


こちらは青系統を基調としたバトルドレス。身軽さが強調され、愛紗は着こなしていた。


「緑色だけどカレー好き“ピーチグリーン”!」


鈴々は黄緑色で、二人とほぼ同じデザイン。ただ違うのは、大きなハンマーを武器として所持している。


『三人揃って、“ピーチガーデンシスターズ”!』


大いなる力を手にいれた三人。神々しい後光を浴びながら、戦闘体勢をとる。


「すご~い!お姉ちゃん達かっこいい~♪」

「もうつっこまないぞ。うん、つっこまない」


キラキラと瞳を輝かせる璃々に対し、この際もうなんでもアリだと判断した瑠華。


「ブルー!グリーン!行くわよ!」

「おう!」

「なのだ!」


大勢が見守る中、三人は散開して巨大ダコに立ち向かっていく。


「“ブラウンブリザード”!」


レッドが放った技で、茶色の大洪水が大ダコを襲う。


――――米糠(こめぬか)は、生蛸を調理する時、表面の(ぬめ)りを取る際に用いられる――塩でも可――。


「“ラディッシュハンマー”!」


すかさずグリーンが手持ちのハンマーで、タコの脳天を叩き割る。


――――そして大根で叩くと身が柔らかくなる。大根にはたんぱく質に分解酵素、そしてジアスターゼという消化酵素が含まれている為、期待が持てる。

ジアスターゼとは、でんぷんの分解を促進する消化酵素のこと。胃腸の働きを助け消化不良を解消したりする。

更に、棒で叩くのに比べて、傷つきにくいというのも理由の一つだ。


「“バブルシャワー”!」


仕上げはブルーの必殺技。両手から繰り出された澄んだ大水流を浴び、大空へと消えていった。


――――煮るときには炭酸水を。身が柔らかくなりやすいとの事。重曹にもその効果が期待できるそうだ。


三位一体の猛攻撃を真正面から食らい、満身創痍の大ダコ。吹き飛ばされる時、触手が緩んで、一刀が空中に放り出されてしまった。


「うわっ、わああああ!!」


ぐるぐると回転し、そのまま地面へと落下していく。このままでは砂浜に激突する。そう思い、目を瞑る。


「…………あ、あれ?」


しかし、いくら待っても衝撃は訪れてこない。それどころか、何かに包まれている様な、温かいモノ抱えられていた。


「一刀さん、お怪我はありませんか?」

「見た所、無事な様だな」

「間に合って良かったのだ」


三人の美少女が優しく微笑んでいた。まるで天使に天国へと連れて行かれる。そう錯覚する位に、心地いいものだった。


「た、助かった……」


女の子に助けられる、というのは何とも情けない限りだが、今だけはこの余韻に浸る事にした。



◇◆◇◆



こうして、危機を脱した一刀達は、にゃんばん族に指輪を返し、過ちを許してくれた彼女達と、残りのバカンスを楽しく過ごしたのであった。


その最中に、桃香から腕を組まれ、自分の事に関しての質問攻めを受ける事になった。更には、黒髪の嫉妬神に睨まれ、いつの間に桃香と距離が近づいたのか?等とこちらも事情聴取を受ける羽目になった。


何はともあれ、楽しいバカンスを過ごせたのは事実。


そして今日、研究の為、島に残る水鏡に別れを告げ、帰路につくことに。




さて、あの守り神がどうなったのかと言うと、実は呂布が保護しており、船で一悶着あったのはまた別のお話。



南の島での旅は、最後の最後まで、大波乱が巻き起こったのであった。


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