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真・恋姫†無双~北刀伝~  作者: NOマル
第二章~新たな出会い~
25/90

~公孫賛、袁紹と雌雄を決するのこと~

やっと書けたぁぁぁぁぁぁ!!

遅れて申し訳ありませんでした!

大変お待たせ致しました!

それでは、どうぞ!

桃花村から旅立った一刀達一行は、幽州に向けて足を動かしていた。数日経ち、ようやく公孫賛が治める幽州へと辿り着いた。

後は彼女が宝剣を返してくれれば解決する。

公孫賛がいる屋敷へ向かう途中、ある十字路が目に入った。


「あっ、この道見覚えがあるのだ」


鈴々は十字路の真ん中に立つ。


「この向こうに鈴々の村があって、確かこの辺で愛紗とお兄ちゃんに真名を預けたのだ」

「そうだったな、鈴々」

「よく覚えてるじゃないか」


一刀と愛紗も、鈴々との出会いを懐かしむ。そのまま先を行くと、今度は大きな山を目にした。


「あれが赤銅山か」

「ああ、お主達と賊退治に行った山だ」

(よく考えれば、彼処で瑠華と初めて出会ったんだよな)


赤銅山に蔓延る賊を討伐するため、一刀と愛紗、そして星の三人が賊の隠れ家へと侵入した。そして窮地に立たされる。そこを救ったのが、月読こと、瑠華である。


「あ、あの、潜入の為に小さな箱に三人で入ってくんずほぐれつしたっていう…」

「えぇっ!?」


顔を赤くして俯く朱里。それに反応するかの様に、劉備が声を上げる。


「星、朱里にどんな話をしたんだ……」

「ありのままをだが?」

「ありのままってお前なぁ……」


真顔で言ってくる星に対し、一刀は呆れた様に、はぁっと息を吐く。

そんなこんなで、一行は公孫賛の屋敷の門前に着いた。


「これは趙雲殿、関羽殿、張飛殿に北郷殿。本日は我が主に御用で?」

「うむ、取り次ぎを頼む」


星は門番にそう頼む。


「はい。関羽殿、相変わらず綺麗な黒髪ですね。では此方に」


門番は屋敷へと案内する。


「[黒髪の山賊狩り]の名は伊達じゃないですよね」

「前来た時も褒められたのだ」

「ああ、黒髪だけ…な」


劉備と鈴々はそう言うが、愛紗は複雑な心境だった。


「そんな落ち込むなって。愛紗は十分可愛いんだしさ」

「う…一刀…」

(…いいなぁ……)


にこりと優しく声をかける一刀。その笑顔を見て、愛紗は心が救われた様に感じる。

その様子を、劉備は羨ましそうに見ていた。












六人は屋敷の庭にある、客間で待っていた。そこへ、支度をした公孫賛がやって来た。


「待たせたな。ん?」


公孫賛は劉備の顔を見ると、おおっ、と喜びと驚きの声を上げる。


「【桃香】!どうしてお前がここに?」

「実はね、白珪ちゃん」

「おいおい、私とそなたの仲ではないか。昔共に机を並べて学んでいた時の様に、私の事も真名で呼んでくれ」

「え?」

「どうした?まさか私の真名を忘れた訳ではあるまい」


その言葉にギクッ!と体を震わせる劉備。その表情には焦りが見える。


「う、うん!もちろん!え、え〜っと確か〜……」

(おいおい、これは本気で忘れてるっぽいぞ)


額に指を付け、う〜んと唸る劉備を見て、一刀は何となく察した。すると、思い出したのか、はっと顔を上げる。


「あっ!パイパイちゃん!」

「【白蓮】だ!!」


間違えを指摘するように、公孫賛は自分の真名を叫ぶ。


「ほ、ほら、ちっちゃい時はそう呼んでたから、つい……」

「ちっちゃい時はちっちゃい時だ。これからはちゃんと、白蓮と呼んでくれよ?」


劉備に呆れながら公孫賛は、はぁ、と溜め息をつく。


「それにしても、懐かしいね」

「ああ。ほら、皆で盧植先生の所へ遊びに行ったのを覚えるか?」

「うん♪あれ?その時パイパイちゃんいたっけ?」

「白蓮だ!!」


その後も公孫賛はその時の話をするが、劉備は思い出す気配がない。


「う〜む…」

「どうした?星」

「いや、流石にああいうのを見せられると、影が薄いのをネタにしていた罪悪感が…」

「そうですね。劉備さん、悪意がない分、ある意味星さんよりたちが悪いかも…」

「所謂、天然って奴だな…」


星は申し訳なさそうにしており、一刀と朱里は劉備の行動に、共に苦笑いを浮かべていた。


「思い出したのだ!公孫賛は、このお姉ちゃんなのだ!」


今頃思い出した鈴々は、本人を指差す。公孫賛は忘れられていた事に気づき、またも肩をガクンと下ろす。


「ま、まあ、それはさておき、張飛、関羽、趙雲、北郷。お主達も久し振りだな」


四人を見渡すと、見たこともない女の子、朱里がいることに気づいた。


「ああ、もしや北郷と関羽の子か」

「ち、違います!」


愛紗は顔を真っ赤にして否定し、一刀も彼女と同じような顔になり、どうしたものかと顔をひきつっている。


「そうとも。そもそも愛紗と一刀は子を産む様な行為はまだ一度も…」

「余計な事を言わなくていい!」


またもや話をややこしくしそうな水色髪の少女の口を、愛紗は両手で防ぐ。









「え、宝剣はここにはない?」


宝剣がないことを知る劉備。公孫賛は、うむ、と暗い表情になり、顔を俯かせている。


「うむ…実は去年、我が領内は大変な不作でな。どうにか遣り繰りしてきたが、とうとうそれにも行き詰まり、袁紹の所へ行って、食糧を貸してくれる様頼んだのだが…」


「私が宝剣を手に入れたという噂を何処かで聞いたのだろう。食糧を貸すのはいいが、そのかたに宝剣を預けていけと言われ、やむ無く……」

「袁紹殿の所に宝剣を置いてきた、と」


太守として、村の民の為にはこうするしかなかったのだろう。公孫賛は、頭を項垂れている


「すまぬ!そなたの物だと分かっていれば、食糧のかたになどしなかったのだが…」

「しょうがないよ。知らなかったんだし…」


思いきり頭を下げ、劉備に謝罪する公孫賛。劉備はしょうがない、と彼女に答える。


「いや、今にして思えば、あの見事な鞘の造りといい、柄に填められた赤く輝く宝珠といい、あれは正しく子供の頃、家で見せられた宝剣に違いない。気づいて当然だったのに…!」

「もういいって…」


自らを責め続ける公孫賛。そんな彼女に、劉備は優しく微笑む。


「それに、宝剣をかたにしたのって、ご飯を食べられなくて困っている人を助ける為にした事なんでしょ?だったら私文句なんて言えないよ」

「桃香……」

「うん♪」


自分の事より、苦しんでいる民の事を優先に。愛紗はほう、と声を漏らす。


(やっぱ、この世界でもそのまんまだな。劉玄徳……)


史実でもそうだった様に、他人の事を思うその優しい心。この世界でも、目の前にいる少女がそれを証明している。

一刀も、いつの間にか笑みをこぼしていた。


「事情はともあれ、宝剣がないのなら、長居は無用だな」

「何日もかけて旅してきたのが無駄になっちゃったのだ」

「その旅の間に、入れ違いになってしまうとはな…」

「こうなったら、素直に返して貰えるかは分かりませんが、袁紹さんの所に行って頼んでみるしかないですね」

「でもあの袁紹だから、そう簡単にはいかないもんな…」


骨が折れるのは、目に見えている。そういう風に、一刀は答える。すると、公孫賛が椅子を後ろに下げ、立ち上がる。


「そういうことなら、私も一緒に行って、返してくれる様に掛け合おう」

「ありがとう、パイパイちゃん!」

「白蓮だ!!」


公孫賛の手をとって、礼を言う劉備。またまた真名を言い間違えられるのを見て、他五名は苦笑いを浮かべる。




















紀州を治める袁紹の屋敷の一室。目の前に鏡を置いて、下着姿の自分を眺めている少女がいた。少女、顔良は自分の体、特に腹部を見て、溜め息をつく。


「う〜ん、また増えちゃったかも…」

「斗詩!!」

「きゃあっ!?」


突然バン!と扉が勢いよく開き、顔良の同僚である、文醜が入ってきた。顔良は慌てて体を抱いて踞る。


「ちょっと猪々子!いきなり入ってこないでよ!!」

「客が来たんだけど、麗羽様は?」

「え?きっといつもの所よ」







いつもの所。

袁紹はそこで、侍女達によるマッサージを受けていた。


「あ…ん、そこそこ……」


艶々しい声を出しながら、憩いの時間をを過ごしている。

しかし、突然の入室によってその時間は終わった。


「麗羽様!」

「何ですの、猪々子?私の憩いの時間を邪魔しないで頂戴」

「いいじゃないですかちょっと位。麗羽様は憩いの間に人生やってる様なもんですし」

「何ですって!?」


聞き捨てならない言葉に、袁紹は声を上げる。


「あ、あの、先程から公孫賛殿がお待ちなんですけど…」

「分かってますわよ」


遠慮気味に言うと、袁紹は面倒そうに体を起こす。


「あんな辺境の貧乏領主。いくらでも待たせておけばいいのよ」
















赤い絨毯が敷いてある広い謁見の間。

一刀達六人と公孫賛は、横一列に並んでいた。正装に着替えた袁紹は、文醜、顔良と共に入室する。


「あら関羽さん。あなた達も来てたんですの?」

「遅いぞ袁紹!どれだけ待たせる気だ」

「あ〜ら公孫賛さん?人から物を借りてる割には態度が大きくありませんこと?」


上から目線で見下す袁紹。痛い所をつかれた公孫賛は、くっ!と歯を噛み締める。袁紹は玉座に腰掛ける。


「用件は聞いていますわ。あの宝剣を返せというのでしょう?」

「は、はい」

「駄目ですわ。あの宝剣は、そこの領主に貸した食糧のカタとして預かっているものなんですから。もし返して欲しければ、貸した食糧耳を揃えて持っていらっしゃい」


貸した分を返せ、と袁紹は言い放つ。


「袁紹!そこを何とか、頼む!」

「お断りですわ」

「えっ!?」


即答。

頭を下げるも即座に断られる公孫賛。すると、袁紹はニヤリと口角を上げる。


「…と言いたい所ですけど、丁度退屈してた所ですし」


「私達と勝負して勝てたら返してあげてもいいですわよ」


袁紹は六人、いや七人に勝負という提案を持ちかけた。


《勝負?》















場所は変わり、屋外にある鍛練場。


〔さぁ!袁紹様の気紛れで始まった[宝剣争奪戦]!!果たして勝つのは!?〕


〔名門袁家を代表する可憐にして優雅な袁紹様か!?〕


〔影の薄い貧乏領主の公孫賛か!?〕

「くぅ…好き勝手言いおって」


陳琳の紹介に腹を立てる公孫賛。

闘技場の周りには、大勢の観客が観に来ていた。


〔注目の第一試合は、[顔良]対[諸葛亮]の知識対決です!〕


用意された二つの席に、二人は腰掛ける。


「へへ〜ん♪朱里はおっぱいは小っちゃいけど頭はすっごくいいのだ」

「うぅ…」


[おっぱいはちっちゃいけど]

このワードが頭の中に響き、胸を押さえながら、朱里は顔を赤くする。


「はん、斗詩がいつまでも知力三十四だと思うなよ!麗羽様からもらった書物を読んで、知力三十六になったんだぞ」


袁紹も横で腕を組み、うんうん、と頷いている。


「知力も胴回りの寸法もどんどん数値が上がってるんだからな♪」

「余計なこと言わないで!!」


自分の事を言われ、怒鳴る顔良。


〔第一試合、知識対決のお題は…〕


【袁紹様の秘密】


予想だにしていないお題に戸惑う朱里。横の顔良は笑みを浮かべている。


〔第一問!今日の袁紹様の下着の色は?〕

「黒!」

〔正解!〕


早押しで答える顔良。袁紹は顔を赤らめて、スカートを引っ張っている。


〔第二問!袁紹様が怖い夢を見ないよう、寝る前にしているおまじないは?〕

「枕を裏返して三回叩く!」

〔正解!〕


またも顔良が答え、朱里は何も出来ずにいる。


〔第三問!袁紹様に最後のお通知があったのはいつ?〕

「三日前!」

〔せいかぁい!!〕


これを問題に出していいのか?

それから後の問題も、殆どが袁紹に関わる問題ばかり。何も知らない朱里は当然答える事が出来ず…


〔さぁ、いよいよこれが最後の問題です!袁紹様がおねしょをしていたのは何歳の時まで?〕

「十二歳!」

〔せいかぁい!!〕


〔百対零で、顔良の完全勝利です!〕


朱里はとぼとぼと戻っていく。


「やられたな」

「すみません、微塵も興味のない事ばかりだったので…」

「やむを得ん。教えられても知りたくもない事ばかりだったからな」


全くその通りである。

しょうがないよ、と一刀は朱里の頭を撫でて、優しく励ます。


「こっちが勝ったのに何となく気分が悪いのはどうしてかしら…」

「気のせいですよ、気のせい」


自分の恥ずかしい話を赤裸々に暴露され、頭を押さえる袁紹。


〔第二試合は、[鰻の掴み取り対決]!〕


〔生け簀の中の鰻をどちらが多く捕まえられるかを競ってもらいます!!〕


〔但し!鰻を手で掴むのではなく、おっぱいで挟んで捕まえてもらいます!!〕


《オオオオオォォォォ!!!》


内容を耳にすると、観客(主に男)が声を上げる。


星が愛紗の肩にポンと手を乗せる。


「愛紗、出番だな」

「ってさも当然の様に私に振るな!」

「おっぱい勝ち組の力を見せてやるのだ!」

「そうだそうだ〜!」

「鈴々何を…一刀、お前も乗っかるな!!」


鈴々の声に、上乗せするように叫ぶ一刀(鈴々の後ろに隠れながら)。


「そうですね…残念ですけどこの競技、私や鈴々ちゃんには荷が重いようですし……」

「え、ちょ、朱里まで〜!?」


しくしくと自分の非力さに嘆く朱里。


「どうしましたの?誰が出場するか早くお決めなさい。それとも棄権して不戦敗かしら?」


煽りをかける袁紹。くっ!と立ち往生していると、一人の少女が立ち上がった。


「私が行きます!」

「いや、劉備殿…」

「この勝負は私の宝剣を取り戻す為…皆さんばかりに迷惑はかけられません!!」


劉備は着ていた服を脱ぎ捨てた。


「おおっ!?」

「ふんっ!」

「ぎゃああっ!!」


つい目を見開いてしまい、それを見逃さなかった愛紗の二本の指が一刀の両目を突く。

目潰しを食らった一刀は、滝の様に涙を大量に放出し、その場に転げ回る。


「ぉおおうぅ!!全然前が見えないし涙が止まらないぃぃぃぃ〜〜!!」

「黙れ変態が」


つんとした表情で椅子に腰掛ける愛紗。左右に大きく転がる一刀。星、鈴々、朱里の三人は目で追っている。


〔それでは、よ〜い…〕


開始の銅鑼が鳴った。

両手で胸を隠している劉備と顔良は、大量の鰻がいる生け簀に向かって、胸で挟もうとする。


「えいっ!」

「きゃっ!」

「この、逃げるなぁ!」

「待てぇ!」


生け簀に入り、鰻を掴もうとする、が…


〈ちょっ!そこ、ちがぁ〜う!〉

〈あん、だめぇ、こんなの太すぎぃ〜!〉

〈動いちゃ…動いちゃだめぇ〜〜!〉


ぬるぬるとした鰻が二人の少女の胸の中で暴れだす。胸の中だけでなく、“あんな所”や“こんな所”にも…

未だに視力の回復していない一刀。彼の耳にも声は聞こえる。しかし、彼からすれば違う意味にも捉えられる。


(な、なんだこれは!?今どうなってるんだ!?)


目が見えない分、あらぬ方向へと妄想を膨らませてしまう。


(くっ!男として、せめて目の前で起こっている景色を眼に焼き付けなければ…勿体ない!!)


何を言っているのやら。


(頼む、太陽よ!俺に光を与えておくれぇぇぇぇぇぇ!!)


男として最低なお願いをしている事に全く気づいていない。そんな下らない願いが通じたのか、暗い景色に一筋の光が灯った。


(おおっ!天は我に味方をした!!もう少し…後、もう少しで……!!)

「ふんっ!!」

(あ〜〜………)


直ぐ様、軍神の追撃を受け、結局日の光を見ることは叶わなかったのであった。

そして、結果発表。


〔十三対十一でこの勝負、劉備選手の勝ちとします!〕

「やったぁ〜!!」


両手を万歳して喜ぶ劉備。愛紗は慌てて彼女の胸を隠す。


負けてしまい、俯いている顔良に、文醜は肩に手を置く。


「残念だったな…斗詩」

「猪々子…」

「胸じゃなく、腹の肉でだったら絶対有利だったのに…!」

「有利じゃないわよ絶対に!!」


両手を振り上げて怒る顔良。文醜は両手で彼女の胸を隠そうとしている。


[腕相撲]


【鈴々】対【文醜】


《ぐぬぬにににに〜!!》


力自慢の二人。顔を真っ赤にして、握りあっている手が震えている。


[早口言葉]


【一刀】対【顔良】


「隣の袁術はよく蜂蜜を舐める袁術だ、隣の袁術はよく蜂蜜を舐める袁術だ、隣の袁術はよく蜂蜜を舐める袁術だ!!」


「生麦生米生卵、隣の客はよく柿食う客だ、どじょうにょろにょろ三にょろにょろ合わせてにょろにょろ六にょろにょろ、かえるピョコピョコ三ピョコピョコ合わせてピョコピョコ六ピョコピョコ、李も桃も桃の内…っていつまで続くんだよぉ!!」


[物真似]


【愛紗】対【顔良】


「こほん、鈴々は胸はつるぺったんだけどお腹はポンポコリンなのだ〜♪」

「鈴々はそんな事言わないのだ〜!」


※上が愛紗で、下が鈴々である。


「お〜っほっほっほ!斗詩、あなた最近また太ったんじゃありませんこと〜?」

「むぅ〜〜!!」


※文醜が袁紹の真似をやっています。


[箱の中身は何でしょう?]


【劉備】対【顔良】


「ひゃっ!何かヌルッてしたぁ〜!」

「きゃっ!何かザラッとしたぁ〜!」


箱の中に手を突っ込み、各々感想を述べる二人。


[にらめっこ]


すぅ、と星は息を吸う。


「……………」

「ひぃぃぃぃ!?」


文醜の表情が一気に青ざめる。彼女の眼にしっかりと残った様で、夢にも出てきそうな表情だったという。


[小豆運び]


「ぐににに〜〜…!」


顔良は順調に箸で運んでいく。細かい作業が苦手な鈴々は力みすぎて、小豆を弾いてしまう。

何故苦手分野に出たのだろうか…



〔続いての勝負は…[貝合わせ]!〕


「はわぁっ!?」


貝合わせという言葉に反応し、顔を赤くする朱里。


「何か誤解している様だが、[貝合わせ]というのは、バラバラにした沢山の貝殻の中から、元は一つだったものを探すという無闇な遊びであって、別に厭らしい事ではないぞ?」

「へっ!?あの、わ、私別に……」


珍しく、今回ばかりは星が正論である。朱里が思い浮かんだ[別の意味での貝合わせ]というのは……………各自でお調べ下さい。


〔仮装対決!〕


文醜・顔良ペアは、文醜が黒、顔良が白を基調とした何処かのヒロイン物のバトルスーツを着ている。


劉備・愛紗・鈴々・星・朱里の五人も自分の色にあったヒロイン物の衣装を着用している(劉備・ピンク、愛紗・緑、星・青、朱里・黄、鈴々だけ赤いスカーフを巻いた橙色の虎の着ぐるみを着ている)。


「あの、私こういうのはちょっと……」

「孔明ちゃん、笑顔ですよ笑顔♪」

「そうだぞ朱里。印象点というのがあるからな♪」

「会場で鈴々と握手なのだ♪」

「どうして私がこんな事を…!」


前記の通り、劉備・星・鈴々はノリノリで、愛紗と朱里は顔を羞恥に染めている。


「うん、俺の見立て通り!」

「何が見立て通りだこの馬鹿っ!!」

「馬鹿で結構!こういうものを好む男だっているのだよ!!」

「訳が分からん事を抜かすなっ!!」


五人の服をチョイスした男に向けて、威圧する様に睨み付ける愛紗。よく分からない拘りを語り始める一刀に怒声を浴びせる。


[模擬戦]


ようやくそれっぽい対決になった。


〔北郷選手対文醜選手!果たして勝つのはどちらなのか!?〕


陳琳の実況の通り、舞台の上では、一刀と文醜が己の武器を手に、向き合っている。


「文醜さん!そんなブ男さっさと片付けてしまいなさい!」

「猪々子、頑張って〜!」

「任せて下さいよ〜」


袁紹は自分の陣地から、文醜に声をかける。文醜もそれに応える様に、手を振る。


「北郷さん!頑張って下さ〜い!」

「お兄ちゃ〜ん!頑張るのだ〜!!」

「おう、ありがとな」


劉備と鈴々も、負けじと一刀に声援を送る。


「あれ?関羽さん達は応援しないんですか?」

「いや、応援するもなにも…」

「結果はもう見えている」


愛紗と星はどこか達観した様な事を言う。


「えっ?それってどういう…」

「とにかく、見ていれば分かりますよ」


未だ分かっていない劉備に、朱里も二人と同じように答える。


そして、両者は配置に着く。


〔それでは、試合開始!〕


銅鑼の響く音が鳴り、開始の合図と共に、文醜が自分の武器である[斬馬刀]を振り上げる。


「どっこいしょぉぉぉ!!」


勢いをつけ、相手の頭目掛けて一気に降り下ろす。しかし、それが当たる事はなかった。当たる寸前、一刀は一歩後ろに下がった。周りから見れば、残像を切った様に見える。

文醜の攻撃は空を切り、地面に突き刺さった。


「この、避けんなぁっ!!」

「うおっ!いや、避けるなって言われても…」


文醜は構え直し、横薙ぎ、振り上げ、振り下ろす、等の行動を起こす。一刀の方は体を反らして、彼女の斬馬刀をかわしていく。

一刀は、自分の愛刀である[流星丸]の刀身を、まだ見せていない。


「そこだぁ!」


ただブンブンと振り回していた斬馬刀を、今度は相手の足元に切りつける。


「危ないっ!」


陣地にいる劉備が、声を上げる。しかし、彼の心配は無用であった。


「なっ!?」

「……」


不意の足払いが来る中、一刀は右足を少しだけ上げた。斬馬刀が真下に来ると、踵で刀身の部分を踏みつける。否、押さえつけた。


「ぐ、くぎぎ…!!」

「……」


文醜は力を入れて抜こうとするが、一向に抜ける気配がない。


(う〜ん、相手が女の子だとやりづらいんだよな〜…)

「くぉおおりゃあっ!!」


痺れを切らしたのか、文醜はそのまま振り上げた。力任せの行動に驚きつつ、一刀は高く跳んだ。


「すげぇ怪力だな」

「もらったぁ!!」


空中では何も出来ないとふみ、文醜は宙に浮いている一刀に、斬馬刀を突きつける。

しかし、一刀は慌てた様子を見せない。


「よっと」

「えっ!?」


落下していく途中、一刀は鞘で斬馬刀を突き、軌道を反らす。そして落下の重力を利用して、またもや地面に触れさせる。

触れた瞬間、一刀は直ぐ様相手の懐に入る。突然の事に対応出来ず、顔を歪める文醜。一刀は、チャキッと鯉口から少しだけ姿を表した刀身を、彼女の首元に付ける。


「…うっ……」

「まだやる?」


刃が光に反射して、一瞬輝く。

一刀が問いかけると、流石に不利だと感じ、文醜はゆらりと両手を上げる。


「ま、参った…」

「審査員、判定を」

〔…へっ?あ、はい!勝者、北郷選手!〕

《………》


一刀に促されると、呆然としていた陳琳は、ハッと我に帰り、結果を報告する。会場全体を見てみると、皆驚きを隠せないでいた。袁紹と顔良も目を見開いていた。


「す、すごい…」

「ほら、言った通りであったろう?」

「まあ、彼方からすれば相手が悪かったのだろうな」

「そうなんでしょうね」

「やっぱりお兄ちゃんは強いのだ♪」


一人だけ声を漏らす劉備。彼女以外の四人は、納得したかの様に頷いている。


〔さぁ、これまで様々な競技で対決してきましたが、結果は百二十五対百二十五の同点です!〕


〔次が最後の勝負となりますが、それは如何なる競技か!?〕


〔そして、最終的に勝利の栄冠を掴むのはどちらか!?〕


すると、袁紹が椅子から立ち上がった。


「こうなったら、私が出るしかないようですわね…」


ここまで一切の競技に出ていない袁紹。今頃になってようやく出場するようだ。


「最後の勝負…この袁家に伝わる白鳥のまわしを締めての[女相撲]とします!」

《おおおおおおおおっ!!!》


観客側から歓声が込み上げる(主に男)。


「愛紗…」

「だから私に振るな!」


またまた星が愛紗に出場を促す。


「そ、そうだ鈴々。ここは一つお前が…」

「まわしだけならいいけど、白鳥の首が付いてるのは流石にきついのだ…」


鈴々にも出来る事と出来ない事がある。


「なら、劉備殿!」

「母の遺言で財布の紐は締めても、白鳥のまわしだけは締めるなと……」

「劉備殿の母上はご健在であろう!?」


すると、愛紗の肩に手が置かれた。


「愛紗……」

「一刀…!」


彼なら味方してくれる―――かと思いきや、


「行ってこい♪」

「お前もかぁっ!?」


くるっと彼女の体を前に向くように回し、両手で前へと押していく。


「私が行こう!」

「白蓮ちゃん!?」

(そういやいたんだ……)


彼女の存在をすっかり忘れていた一刀。


「北郷、お前失礼な事を思わなかったか?」

「い、いや、全然!?」


心を読まれたかの様に、ジト〜ッと一刀を睨む公孫賛。ビクッと肩を震わしながら、何とか誤魔化す。


「今回の事は私に責任の一端がある。ここは私に任せてもらおう」

「しかし…」

「案ずるな。こんな事もあろうかと、白馬将軍の名に恥じぬ、白馬のまわしを持ってきた!白鳥のまわしごときに遅れはとらん!!」

「用意したんだ…」


得意気に語る公孫賛の横で、一刀と愛紗は苦く笑っていた。


[女相撲]


【公孫賛】対【袁紹】


袁紹は白鳥の頭が付いたまわし、公孫賛は白馬の首が付いたまわしを締めている。まわしを着けている為、勿論裸である。

二人は両手で胸を隠し、土俵に上がる。


〔見合って見合って!はっけよ〜い!〕


二人はお互いに睨みを効かせる。

そして、


〔のこったぁ!!〕

《っ!!》


両者は正面からぶつかり、白鳥と白馬が頭突きをしている。正にガチンコ勝負だ。


「くぅぅぅ!!」

「っ!中々やりますわね…けど、これならどうですかしら!!」


袁紹は一旦離れると、腰を捻り、白馬に往復ビンタの猛攻を浴びせる。

公孫賛は顔を歪めて、何とか耐える。


「こうなったら私も本気を出させていただきますわ!!」


すると、袁紹のまわしの白鳥の目が赤く光る。


「斗詩、白鳥の目が攻撃色に…!」

「麗羽様、本気なんだわ!」


側近二人も主の本気を身に感じていた。


「そぉ〜れそれそれそれそれそれそれ!!」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


袁紹の何ともいやらし…いや、凄まじい腰の動き。前後に素早く動かし、白鳥の嘴による連続突きを公孫賛は全身に食らう。数十体に分身した様に見える高速の突き。

これが名門の力なのだろうか。


(私は、私はここまでなのか…このまま影の薄い馬鹿の子で終わってしまうのか……!)


ジリジリと、土俵の外へ外へとと追いやられる。


(いつも、いつもそうだった……)


袁紹が繰り出す猛攻の最中、公孫賛の脳裏を過去の記憶が走馬灯の様に…


(いくら手を挙げても、先生に当ててもらえず…)


(親と買い物に行っても、途中で存在を忘れられ、町中に置き去りにされ…)


(友と言えば、白馬だけの日々…!)


これは、悲しすぎる……


「うぅ、うぅぅぅぅぅぅ!!」


過去の出来事を思い返した瞬間、公孫賛の体を黒色の氣が漂っていた。


「っ!」

「どうした、星?」

「白珪殿の心中に、鬱屈した氣が充満し始めている」

「ど、どういう意味だ!」


星が何かに気づき、愛紗はどうしたのかと問いかける。


「白珪殿は器が小さいだけに、溜まりに溜まったその氣が溢れだした時、それは激しい力となる!!」


星はそう断言した。


(星の言う通り、今の公孫賛の体を覆っているこの氣、かなりの量だ……!)


一刀も彼女の体から放出されている氣を感じ取っていた。


「秘技…白馬彗星拳!!」


その氣は白馬と一体となった。


「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


その一撃は、白鳥ごと袁紹を土俵の外へと吹き飛ばした。

そして、銅鑼が音を鳴らした。


〔勝者、公孫賛選手!!〕


次の瞬間、闘技場が拍手喝采の渦に包まれた。


「勝った…私は勝ったぞぉぉぉ!!」


涙を流し、万歳をしながら喜びを表す。


〈これでもう影が薄いとは言わせぬぞ~~!!〉

「た、確かに、取り返しのつかない位、強烈な印象に残したな…」

「いいのか?これで…」

「いいんじゃないんですか?本人が喜んでる様ですし…」


愛紗、星、朱里は何とも言えない心境になっていた。


こうして、劉備達は勝利したのであった…




―――因みに、


「………あのぅ、そろそろ目隠しと両手の紐をほどいてくれませんかね?」

「駄目だ。公孫賛殿が服を着るまでそのままでいろ」

「いや、いくら俺が男だからって、下心ありありで女の子の裸を見るような奴に見え―――」

「見える」

「……さいですか」


今の一刀の状況はというと、最終試合の開始直前に遡る。いざ始まる、という時に、何故か急に黒髪の少女の手によって、後ろから両手を紐で縛り上げられ、布で視界を塞がれた。先程の女相撲の時も、ずっとこの状態である。


「俺ってそんなに信用ないのか!?」

「ない」


……泣いてもいいですか?
















宝剣争奪戦が終わり、袁紹の屋敷の謁見の間に集まる。やっと宝剣を返して貰えると思いきや


「えっ?宝剣はここにはない!?」


袁紹から発せられた言葉に驚く公孫賛。


「どういう事だ!?」

「実は……」


玉座に座っている袁紹の横にいる顔良が、申し訳なさそうに語り出す。






『先日、従姉妹の袁術様から、遣いの方がやって来て…』


「お久し振りね【張勲】さん。【美羽】さんは元気にしていて?」

「はい、それはもう手に負えない程♪」


袁紹が袁術の真名を呼ぶと、目の前にいる、濃い青色のショートヘアの少女がそう答える。


「そう、所で今日は何の用で来たのかしら?」

「はい、聞いた所では袁紹様は素晴らしい宝剣を手に入れられたとか」

「あ〜らやだ、もう噂になってますのねぇ」


満更でもない表情を浮かべる袁紹。


「我が主は事の外、その宝剣に興味を示されて、もし宜しければ、この世にも珍しい“バカには見えない衣”と交換していただけないかと」


張勲は傍らに置いてある黒の重箱を開くと、何かを取り出すような仕草を行う。彼女は袁紹にその衣を見せるが、


「ん?何もないじゃありませんの」

「えぇっ!?まさか袁紹様、この衣がお見えにならないので…?」


つまりはこう言いたいのであろう。

見えないということは(あなたはバカである)と。


「ば、馬鹿を言っては困りますわ!見えてるに決まってるじゃありませんの!!」

「ですよね〜♪この色、この手触り、高価な刺繍、何処を探しても手に入らないかと」

「そ、そうですわね…本当に美しいこと……」


とか言いながら、ダラダラと顔は大量の汗で濡れている。


「猪々子!あなたもそう思うわよね!?」

「いっ!?ま、真に、結構な、お召し物で……」


急に話を振られ、たじたじになりながらその衣?を称賛する。


「なら、これと宝剣、交換していただけますよね♪」






「と言われて、交換してしまったんです…私は止めたんですよ?でも麗羽様が……」


これにはもう一刀は勿論、愛紗達も呆れた表情を浮かべるしかなかった。

袁家としてのプライドなのか、それとも本当の(お馬鹿)なのか…


「だが、それなら何故勝負をしようなどと―――」

「しょうがないでしょ!まさか負けるとは思ってなかったんだから!なのに、あなたたちが勝ったりするから悪いんですのよ!!」

「袁紹、貴様……!!」


理不尽な言い訳をする袁紹を睨み付ける公孫賛。


「分かりましたわよ。あなた達が勝ったんですから、公孫賛さん。あなたに貸した食糧の件、帳消しにしてさせてあげますわ。それでよろしいでしょ?」


何か文句でも?と言っている様にも聞こえ、更に苛立ちを募らせる公孫賛。


「そういう事を言っているのではない!私は―――」


ドガァァッ!!


《っ!?》


会話の最中、突然何かを砕く様な音が響いた。音の発生源を見てみると、一人の青年が近くにあった柱に拳をぶつけていた。亀裂が走り、パラパラと柱の欠片が落ちていく。


「――ざけんじゃねぇぞ…!!」


重く低い言葉。

その場にいる全員が一瞬体を震わせる。青年はゆっくりと顔を上げる。歯をギリッ!と軋ませ、恐ろしい形相で袁紹を睨み付けていた。


「劉備がどんな思いでここまで来たか、分かってんのかっ!!」

「っ!?」


さっきから出てくるのは謝罪の言葉ではなく、見苦しい言い訳ばかり。その発言が、御先祖の大事な宝剣を取り戻そうと頑張っている少女の思いを踏みにじった様に聞こえて、無性に腹が立った。

彼の横にいる仲間、そして目の前にいる三人もその覇気に押され、動けずにいた。特に袁紹は睨まれているせいで、大量の冷や汗をかいている。


「何とか言えよっ!!」

「北郷さんっ!」


少女は、袁紹に歩み出る一刀の前に立ち、彼を抑える。


「とにかく、落ち着いて…?」

「劉備…でもっ!」

「いいの、大丈夫……だから、ね?」


劉備は優しく微笑みかける。その笑みの影響か、一刀は渋々下がった。

そして、今度は劉備が袁紹と向き合う。


「袁紹さん…」

「な、何ですの?」

「私、袁術さんの所へ行きます。それで直接、宝剣を返してもらいます」


劉備は真剣な表情で袁紹に伝える。その瞳は強い意志が込められているようにも見える。


「そ、そう、分かりましたわ。それなら事情を説明した手紙を書いてあげますから、それを持って早くお行きなさい…」


すると、横にいる二人の側近が何か物言いたそうな顔を見せる。それに気づき、袁紹ははぁ、と息を吐く。


「でも今日はもう遅いから、ここに泊まっていくといいわ」


その言葉を聞いて、文醜と顔良は明るい表情を浮かべる。


「何をしてるの?すぐに宴の準備をなさい」


袁紹は玉座から立ち上がる。


「ちょっと着替えてきますから、その間にお酒もお料理も一番良いのを用意するのよ?」

「はい♪」







袁紹による宴に招かれた六、いや七人。

豪華な料理等を楽しんでいる六人。

一人だけ縁側に出て、夜空に浮かぶ月を眺めていた。青年は手摺にもたれる様に立っていた。彼の元に、一人の少女がやって来た。


「あ、北郷さんこんな所にいたんですか」

「劉備か…」


声をかけられ、彼女の方を向くと、劉備は一刀の横に立つ。


「どうかしたんですか?」

「いや、ちょっと反省しなきゃなって思ってさ…」

「えっ?」


何の事か分からずにいる劉備。


「劉備は怒りもせず、冷静に相手と話をしていたのに、俺はただ怒鳴り散らして自分の怒りをぶつけていただけだった。ほんと、情けないなぁってさ…」

「…そんな事ないですよ」


自分勝手な怒りをぶつけてしまった事に対して、自分を責めていた一刀。すると、劉備は優しく声をかけた。


「私、嬉しかったんですよ?他人である私の為に怒ってくれて、本気で思ってくれて…」

「劉備…」

「さっき、関羽さんとも話してたんです。北郷さんはどんな人なんだろうって」

「えっ?そ、それで…? 」


今日の事もあり、あまり良いことは言われていないかなという一刀の思いとは反し、劉備は優しく答える。


『あいつは、人の為に一生懸命になれる奴だ。いつだって、仲間を大切に思ったり、優しく接したり。とにかく、優しい奴なんだ…』


『あいつと仲間になれて、私は本当によかった。それだけは言える』


「――って言ってました」

「愛紗が……」


彼女の心の内を聞いて、青年の心は温かくなっていく。同時に喜びで一杯になった。


「だから、そんなに自分を責めないで下さい。自分の為にも、そして北郷さんを慕ってくれる人の為にも」

「………」


さっきとはまた違った真剣な声色で伝えられる。こんなにも自分の事を思ってくれている仲間がいるんだ。と一刀は改めて思う。


「私の、為にも………」

「……ん?」

「あ、いや、何でもないですっ!!」


小声で何かを呟いていたらしく、彼女の方を向く。劉備は両手をブンブンと振り、あたふたしだす。よく見ると、彼女の両頬は微かに赤みを帯びていた。


「そ、それじゃ、戻りましょうか!」

「お、おい、引っ張るなって!」


劉備は一刀の手を引いて、宴の場へと戻っていく。

二人が戻っていったすぐ後、一つの流星が夜空を流れた。













翌日、袁紹の屋敷から旅立ち、十字路に差し掛かった。太守である為、幽州へと戻らなければならない公孫賛。


「それじゃあ、私はこれで…」

「公孫賛殿、今回は世話になりました」


愛紗は公孫賛に礼を述べる。


「では桃香、道中気を付けてな。宝剣を取り戻せる様、祈っているぞ」

「ありがとう、パイパイちゃん♪」

《あっ…》


また間違えてしまった。


〈忘れるなよ?白蓮だ〜〜……!!〉


白馬に跨がり、公孫賛は幽州へと戻っていった。


「それでは、我らも行くか」

「あの、皆さん…」


劉備に呼び止められ、全員足を止める。


「ここから袁術さんの治める街までは、かなり遠いと聞いています。そんな所まで、皆さんにご一緒してもらっていいんでしょうか?ご迷惑な様なら、私一人で…」

「な〜にいってんだよ劉備。そんなの今更だぜ?」

「えっ?」


ポンと劉備の頭に手を乗せる一刀。


「そうですよ劉備さん」

「乗り掛かった船だ。最後まで付き合おう」

「皆さん…」


快く引き受けてくれる彼女達に、劉備は喜びの笑みをこぼす。


「よく言うのだ。旅は道連れ、世は…世は〜……」

「“弱気な気分をぶっ飛ばせ”だ」

「あ、それなのだ♪」


星に囁かれて、口にする鈴々。

それがあまりにも可笑しく思い、鈴々以外の全員が笑いだした。何のことなのか全く分かっていない鈴々。






一刀達の旅は、まだ始まったばかりだ―――







戦闘シーンいらなかったかな…?

もう補習が厳しいやら、体を壊してしまうやらで散々でした…

まだまだ書きたい話とかも一杯あるのになぁ~。

これからまた忙しくなってきそうなので、更新が遅れてしまうかもしれません。

ですが、それでも頑張って最後まで書き続けていくので、応援宜しくお願いします!

それでは♪

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