ある女子高生が異世界で教祖になりました。
あなたは神を信じますか?
って、なんか宗教っぽい言い方になったけど。
まあ、私は信じていなかった。いるんなら見せてみろって思っていた。
でも、まあ、実際に見ればさすがの私も信じるよ?
あの日、“神”に会ってから私の人生は大きく狂った。
「私は神だ」
その日の朝、私が校門をくぐると、どこからか声が聞こえた。
この時間帯は登校する生徒も多いし、中にはそんな中二発言する生徒もいるだろう、と思った私はその声を軽くスルーした。
「娘よ、聞こえているのだろう。私は神だ」
次に同じ声が聞こえたのは、朝礼のとき。
変な声が聞こえるなーとは思ったけど、まあ朝礼中に声を出すわけにもいけないし後でいいか、と思いその声を聞かなかったことにした。
「娘よ、聞こえているのはわかっておる。返事くらいしたらどうだ」
またその声が聞こえたのは昼休みのとき。
しばらく声が聞こえなかったので、やはり気のせいだったのだ、と思い始めていたころだった。
さすがに何度も無視するのはかわいそうだと思ったので私は、
「なんですか」
返事をした。
それが大きな間違いだった。
返事をした直後、私は妙な浮遊感と激しい頭痛や吐き気に襲われ、思わず目を閉じ、その場にしゃがみこんだ。
2,3秒か、それ以上かそれ以下かわからない、長いような短いような時間、その不快感は続いた。そして、だいぶ楽になって目を開けると、周りの風景が真っ白に変わっていて、
なんと、目の前に立派なお髭を生やしたお爺さんがいた。
「あなたは……?」
「私は神だ」
いい年して中二病的発言をしたこのお爺さんは、こう続けた。
「まずは、よく来てくれた。礼を言う。話しかけるのも疲れるのでな、3回ですんで助かったよ。そして、お主をここに呼んだのはな、実はー」
その話は長かったので、要約すると、
その“神”なる爺さんはある世界を創り、管理をしていた。そして、その世界には彼をたたえる宗教があるのだが、できてからだいぶ長い時間がたったせいか、かなり彼の考えとずれてしまった。このままでは困ったことになるので、私に彼の思うような新しい宗教を作ってきてほしい、とのことだった。
その間、私はただぼーぜんとしながら、その話を聞いていた。
そして話を理解して血の気が引いた。
「ーというわけで、やってくれるだろうか」
「……む、無理です。私みたいなただの女子高生にできる事じゃないじゃないですか。やりませんよ!!」
あの説明を聞いてぜひやりたい、と思う人はいないだろう。よほどのお人好しでも、どう返事するか怪しいものだと思う。
まあ、この時、私に拒否権はなかったのだけど。
「申し訳ないとは思っておる。だが娘よ、お主しか居らんのだ」
そして、彼がそう言った直後、辺りが眩い光で満たされた。
「私の力の一部を分けてやるし、助言ならいくらでもしてやることが出来る。だから、どうにかがんばってほしい」
遠ざかっていく彼のシルエットにたいして怒りを覚えた私は悪くないと思う。
私の心の中は、不安で満たされていた。
光が収まったとき、私はどこともしれぬ森の中に一人で放り出された。
そして、
最近現れたらしい魔物とかいう化物に襲われたり、
それを“神”にもらったなんか凄い力で撃退したり、
その世界にもとからある宗教団体に、怪しい新興宗教の教祖だ、と言われて襲われたり、
仲間ができたり、
裏切られたり、
しているうちに、
悪の大魔王みたいなやつを退治して、世界中を“神”の考えたようにまとめあげた。
そんなこんなで、私はこの世界で尊敬される教祖様になった。
なったのはいいのだが、
全てが終わったあと、“神”にもとの世界に返してほしい、と頼んだのだけれども、
帰れない、らしい。彼の知る限りでは。
そんな訳で私は今、もとの世界に帰る方法を探して、絶賛大冒険中である。
いつかは帰りたいなぁ。
読んでくれて、ありがとうございます。