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夏、風鈴と君の髪。  作者: 詩乃
3/3

図書室の君

___________________________


___________________




…ゴォォン…ゴォォン…



遠くで、鐘の音が鳴っているのが聞こえる。


これは5時の合図。夏休みの下校時刻は5時半だから、そろそろ帰らなきゃいけない。


凝った腕を回しながらふと視線をずらすと、瑞希さんがいたはずの受付に人がいないことに気づく。


「帰っちゃったかな…」


ドアの音にも気がつかないなんて、どんだけ集中してるんだ僕。

せめて、「さよなら」くらいは言いたかったんだけど。


仕方がないから、原稿用紙をファイルに仕舞い込んで鞄に入れ、

半開きになっているドアを開ける。


「……?」


今、何か小さいものが見えた、ような。


気になって違和感の正体を探すと、

受付の椅子の部分、立ってないと見えないような場所に、メモ用紙が置いてあるのを見つけた。


〈用事があるので先に帰ります。

小説、出来上がったら見せてね みずき〉


瑞希さんの文字って結構右上がりで癖ついてるんだなぁ。髪の毛と同じだ。

小説、見せられる出来になるかな。でも瑞希さんには見せないと。図書室仲間だし。…なんて。


たった2行のメモから色んな考えが溢れる。それに比例して口角が上がっているのも、わかる。


「…気持ち悪いかな…」


そりゃあ、下校時刻ギリギリの図書室に1人でニヤけてる奴がいたら気持ち悪いか。というか怖いな。


メモ用紙を大切にポケットの中に仕舞った僕は、

今度こそ図書室を出た。

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