試験運用
テレポートした先は黒崎の部屋だ。黒崎は机に置いてある段ボールを開ける。
「本当は相談したかった。時間がなさそうだから。」
彼女は手紙を広げて私に見せた。
『第二次地方戦争のお知らせ。あなたはこの戦争に参加する義務がある。仲間を集めて戦争に参加して欲しい。尚今回は試験運用。結果によっては戦争を回避することもできるだろう。』
内容を理解できない。第二次世界大戦で日本は負けた。それからこの日本は戦争に参戦していない。若い人々にとって戦争は無縁なものだ。私は質問する。
「新手の詐欺ではないのか。」
黒崎は首を横に振る。彼女は小切手を机の上に置く。金額は一億円。
「この小切手は報酬です。詐欺師が一億円を払うとは思えない。」
彼女は残りの荷物を机に並べる。それは本とカードだった。カードは四枚ある。彼女は本を指差す。
「この本を少しだけ読んで分かったことだけど、これは戦争ではない。ゲームだよ。それで仲間が必要みたい。チームメンバーはカード枚数と同じ四人。」
ようやく趣旨が分かった。彼女が態々門限を破った理由は火災が原因ではない。相談したかったからだ。
「仲間になれと。」
彼女は頷く。
「分かった。仲間になろう。」




