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包囲 そして逃走
「いいよ。その代り飛ばすだけだから。俺が部屋にいたらとまずいだろう。」
「心配しないで。部屋に来てほしいの。少し見てほしい物があるから。そろそろあれが奇襲を仕掛ける時間帯でしょう。」
目の前に警察官のコスプレをしたサイボーグが現れた。
「二宮透。お前は既に包囲されている。観念して自首しろ。」
私は殺人犯ではない。この古臭い刑事ドラマのセリフをインストールできる人物に心当たりがある。ハカセだろう。ハカセは私を拉致して能力の研究をしたいのだろう。そして毎晩サイボーグを使って奇襲を仕掛ける。これは日常茶判事だ。最近殺人犯ではないのかという錯覚に陥ることが多くなった。
周りを見るとサイボーグが四方を囲んでいる。咄嗟に黒崎の手を握る。
「そのセリフに偽りはなかった。」
私は包囲網を突破するために作戦を実行した。ポケットからボールを取り出した。ボールが地面に落ちると煙が出てきた。
「奇襲対策球バージョン2。それでは皆さんまた会いましょう。」
私はテレポートした。