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論争 前編
宮本は再びアドバイスをする。
「私が熊田君にアドバイスしたことを参考にしたことは認めましょう。投げる役を熊田君に指名した作戦は信頼がなければ成立しません。あなたの考えたのは必勝法ではありません。地方戦争というゲームの必勝法はルールを支配することです。プレイヤーが勝手にルールを設定できるゲームですから。あなたのルールには一つだけ穴があります。妨害に関するルールはなかったことです。」
宮本は私のいる席まで歩く。
「これであなたたちの負けです。これでも少しは手加減しましたよ。それでもあなたたちは負けた。この実力では勝てるかしら。」
負けた二人は暗い顔をしている。これが地方戦争というゲームの恐ろしさ。五日間のゲームで負ければ一億円の借金。この状況に絶望しない人はいない。
私は床に転がっているサッカーボールを蹴った。八つ当たりをしても何も変わらないことは分かっている。
「ルールを支配するという考えは間違っている。ルールは公平であるべきだ。プレイヤーで話し合ってルールを決めることもできたはずだ。」




