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授業

その後私は警察署をあとにした。あのコンビニ強盗は奇妙だった。空白の三秒。消えた勇敢な女性。幾つかの謎が残る。

 そんなことは警察に任せればいい。学生の本分は勉強だろうという優等生のセリフを思い出す。溜息を吐き校門の前に立つ。コンビニ強盗に巻き込まれたから遅刻するということは既に担任に報告している。一歩を踏み出す前に携帯の電源を切った。

 そういえば昼食がない。コンビニ弁当を買いに行こうとして事件に巻き込まれた。警察が現場検証をしていたから買う暇はない。購買でパンでも買うかと再び溜息を吐き昇降口に向かう。

 教室に入ると二時間目が終わっていた。自分の席に荷物を置く。次の授業は数学だ。得意分野の数学の授業に間に合ってガッツポーズをする。その時隣の席に座っている男が声を掛けた。

「二宮。コンビニ強盗に巻き込まれたそうだね。警察署はどうだった。」

この男の名前は熊田勉。文芸部のエースだ。彼は全国大会に出たことがある。主に推理小説を執筆しているからこのような質問をしたのだろう。

「だから最悪だ。警察署は行く所ではない。殺人犯になった気分になる。あのコンビニ強盗は奇妙だった。」

うっかり話してしまった。この発言に勉は喰いつく。私は仕方なく説明した。

「ミステリとしては最高な話だな。怪しい女性は忽然と姿を消した。コンビニ強盗は終わりではない。」

そう言うと始業のチャイムが鳴った。地方戦争の相談をしたかったが、時間のある昼休みにすればいいだろうと思い、数学のノートを広げた。


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