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ねくら  作者: 名無しの
其の② 消極少年と自殺少女
32/43

火が水に入ると、どうなるか?




「ケイ!」


 少女の声が、僕の脳裏で反響し、曖昧だった視界に、亀裂が入る。


「ケイ! しっかりしてケイ!」


 少女が、僕の手を、握っている。


 視界が少しずつ、はっきりとしていき、暗い沼底から、僕の意識が、引き上げられる。


 その時、僕の意に反して、自然と僕の目線と少女のそれとが、重なった。

 

 少女の、恐怖の色を微塵も感じさせない、真っすぐな瞳が、僕を、見つめている。

 

 僕は、少女の瞳から逃げる様に、視線を宙に戻した。


 …………………………。

 

 冷静な思考状態を取り戻し、自分の行いを思い直してみる。

「……ごめん」

 一応、謝っておく。

 まさかこんな小学生みたいなヤツに見られるとは…………

 面倒な事をしてしまった。

 どうしようか?

 うーん。

 ふぅ。 

 あ、ていうか、これでこの少女きっと「な、なにこいつ! へ、変態!」とか言って、怖がってこれ以上僕と関わり持とうとしなくなるか……なんだ、それでいいじゃないか……謝って損した。

「いいよ、気にしないで」


 少女はまるで、何事もなかったかの様に、あっけらかんとしている。


 ん? んんん? ちょっと待て? コイツ、何言ってるんだ?

「……そ、それだけ?」

 えと、一応、今さっき、自分はかなりやばい事を少女にしそうになっていた様な気が、というか、一歩間違えれば完全に犯罪者だったなぁ。運がいいのか悪いのか、いや、良いのか、客観的に見ると……。

「あーべつに。こんな事、うちじゃ結構良くある事だし」

 少女がそんな事をしれっと言う。

 おい、まてまてまて、良くある事って、コイツ……。

 どこのヨハネスブルグからの帰国子女だよ………。

 

 割りと本気で、そう思った。





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