上履と画鋲
今日はまだ、ましな方だった。
椅子があったから。
上履きは、この前、燃えてしまった。
教科書は紙くずになっていたけど、張り合わせれば、なんとかなるかな。
今日も殴られたけど、痛いだけだったから。
最近、これくらいの痛みには、慣れてきた。
周りの奴らは、悪意と侮蔑の入り混じった目で、僕を見る。
そんな目で、僕を、見るな。
見るな。
僕をそんな目で見るな。
やめてくれ。
見るな。
止めろ。
どうして?
どうしてなんだ?
なんで?
やめてくれないんだ?
見るな。見るな。傍観者。見るな。みるな。みるな。みるな。みるな。みるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるな――――――――――
気が狂いそうになる。
他人の刺す様な視線に、僕は耐える事が出来ない。
誰かに助けて欲しかったのかもしれない。
だけど、僕には、誰も居なかった。
教師は、僕の事を、見ていない。
僕の声は、聞こえていない。
別に、いい。
奴らに何かしてほしいと、思っちゃいけないんだ。
もう、思わない。
皆、自分が、大切だ。
自分が大事。
それは、分かる。
分かっている。
とっくの昔に、そんな事には、気づいていた。
僕は、一人だ。
家に帰ると、叩かれる。蹴られる。殴られる。吊るされる。落とされる。閉じ込められる。
血を吐いても、意識が無くなっても、あいつは僕を殴り続ける。
僕はは生きているのか、それとも、もう死んでいるのか。
分からない。
自分が分からない。
痛みは沈殿していく。
逃げ出したい。
でも、逃げ出す事は、出来ない。
見つかれば、もっと酷い目にあうから。
兄は、父に逆らわない。
兄は笑いながら、見ているだけ。
ただ、そこにいるだけ。
兄も傍観者。
まだ、学校の方が、ましだ。
……まだ、ましだ。
誰にも言えない。
誰にも、言えない。
誰にも言わない。
ぼくは、だれにも、いわない。
視界が、黒く染まる。
心地よい、暗闇。
そこは、どこまでも行っても、明かりの見えない、深い闇。
僕はまた、あの闇に、落ちていく。
そこは、とても、居心地のいい場所。
だけど、出口は無い。
どこまで行っても、暗い。
暗い。
くらい。
もう、なにも、見えない。
自分が分からなくなる。
自分が、分からない。
何処までが自分で、何処からがそうじゃないのか。
もう、わからない。
自分は誰で、誰が自分なんだろう。
曖昧で、境目なんて、もう、無い。
僕は、誰なんだろう。
くらい。
もう自分なんて、どうでもいい。
ぼくは、ひとりぼっちだ。
いつまでも、ずっと、いっしょう、しんでも―――――おわらない