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ねくら  作者: 名無しの
其の① 狂実少年と現実少女
22/43

女、もとい、幼女、いや……少女が正しい。




とりあえず、駅から徒歩3分の地点にある寂れた書店で情報収集に励みながら今後の活動方針について一人脳内議論を行ってみる。

 コンビニ弁当は添加物いっぱいだし、ファミレスはなんだかんだ言ってお高くつくし、かといって立ち食い系は足が痛くなるし、何も食べずに断食修行を行うという手段は……貧血に悩まされる身である僕としてはあまりその選択肢は選びたくはない、などと一人会議をあーだこーだと思いつつ、続けていると、

 不意に、後ろから肩を叩かれた。

 どーせ、気のせいだろ、と思い当然無視をするが、

 今度はやや強めに叩かれた。

 二回も間違うとはせっかちなやつだな………まさかこんな所でカツアゲなんて……ないな。

 やはり無視を続行するが、また肩を強めに叩かれる。

 肩が外れると懸念したボク(貧弱)は、泣く泣く振り返り顔を見ずに「人違いです」と言って、目線を雑誌に素早く戻した。

 が、僕の努力の甲斐も虚しく、背後の気配は一向に消滅してくれない。

 なんか気に障る事したかな?

 と少し不安になってきたが、身に覚えが無いのと無駄に会話をしたくないので、無視を続行する。

 すると暫くの間、気配は後ろで固まったまま、そのまま停止していたが、

 突如、後ろの気配は僕の右側面に移動した。

 視界の隅に、確かに感じる、誰かの視線。

 誰かが、僕を、見つめている。

 僕には、視線の主の行動が、理解出来ない。

 なぜ僕の様な気持ち悪くて暗い人間にかまおうとするのか、なぜか?

 全く理解出来ない。

 僕は只そっとしておいてほしいだけなのに、なぜ僕の一人だけのこの一時を邪魔をしようとするのか? 学校に行ったら行ったでまた動物園の檻の中に閉じ籠まらなければならない時間がくるのだから、この一時、今だけでも僕を精神的に解放してほしいものだ。

 だから、僕は、自分の為に、無視を貫く。

 これは男の意地である。

 もうこの際だから躍起になり読書に集中しようとする僕。

 大人気ないとは言わせないぜ。

 そんな僕の気持ちもおかまい無しに、突然、両頰に柔らかい何かが、触れた。

 ま、ましゅまろが……なぜ?

 頭の中がましゅまろの出現に理解が及ばなくて、僕はこの状況に、ただ困惑するしかない。

 そして理解する間もなく、次の瞬間、僕の顔が90度右に曲がり、そのまま急速に落下。

 人間の、僕の首の骨がゴキンというマンガの様な効果音を立てた。

 明らかに僕の首の稼働域を無視した行為により凄まじい音が脳内に反響し、まさか自分の首の骨が折れてしまったのではないか、と驚いて唖然とする僕の眼前に飛び込んできたのは……切れ目の瞳が印象的な、幼い顔立ちの………女の顔だった。

 ……………女、もとい、幼女……少女が正しい。

 少女がボクの腕を掴み、不適な笑みを口元に浮かべた。

 なんだ、小学生か、とは口に出せない。

 よくエアコンの効いた店内で僕の額に嫌な汗(本日3回目)が滲み出てくる。


 単純に、嫌な予感がした。

 そしてなんだか死にたくなった。

 そんな、今日この頃(もう夜だけど)。




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