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ソリオンのハガネ  作者: 伊那 遊
第二章・魔物狩り
50/75

 48 嫉妬と介入



 先日、魔力は遠征して補充したばかり。

 魔力光が漏れるほどの強力な《身体強化》を全身に施しても、心身ともに不調は出なかった。むしろ気分がいい。高揚する気分を少しばかり自制しながら、いい足場が無かったので鋼は直接そこへと飛んだ。

 ひとっ飛びで、三階建ての校舎の屋上へと。

「ふっ……!」

 短く呼気を吐き出す。寮からこっそり外出する際の三角飛びとは違い、一度の跳躍でこの高さとなるとさすがに余裕は無かった。強化が得意な鋼にとってもこの距離は限界に近い。息を整え、悲鳴が聞こえたと思しき中庭方面に目をやれば、やはりそこが正解だったと確信できる光景が展開されていた。

 校舎を「ロ」の形に見立てたその中央、ぽっかり空いた中庭の空間へと、上空から〈紅孔雀〉達が殺到していたのだ。

 目立つところにやって来た鋼に対しても二匹ほどが飛んできているが、無視して中庭側の屋上の縁へと駆ける。悲鳴の主とその状況を確認するのが先決だろう。

 見下ろした先に、血の赤が見えた。

 ぞわ、と背筋が粟立つ。人の血なんてしばらく見ていなかったものだからスイッチが入りかけた。落ち着け、と自分に言い聞かせ、まだ猶予がある事を確認する。中庭にへたり込んでいるその女子生徒は腕を負傷していた。まだ生きているし、すぐに死ぬような怪我ではない。

 中庭の中央。そこに逃げ遅れたのか女子生徒が一人取り残されていて、〈紅孔雀〉の攻撃を今しがた受けたらしかった。ざっくりと腕が抉られ血が吹き出て、痛みと恐怖で半狂乱になっている。

 中庭に面した校舎の窓からは何人もの学園の生徒達が顔を覗かせていて、血まみれの女子生徒や飛んでくる魔物を見ては騒いでいた。一部の生徒は《火矢》などの魔術を発動させて果敢にも負傷者を援護している。あまり命中していないようだが、それでも中庭を飛び回る四匹の〈紅孔雀〉への十分な牽制になっているようだ。いや、今一匹に直撃して落としたので残り三匹か。

 に、と口の端がつり上がる。実戦経験などほぼ無いであろう一般の生徒でも、突然の襲撃に対してすぐさま応戦を選択する者がいる。さすが騎士学校、なんとも頼もしい。

 先に鋼目掛けて突っ込んでくる二匹の方をなんとかする事にした。

 といっても、馬鹿正直に一直線に飛んでくる、特に体が大きいわけでもない魔物など。戦いになるわけが無かった。頭を捕らえて、首を折る。それを二回。五秒とかからず二匹の処理が終わったので、ついでにいい感じのクチバシをもいでおいた。

 ふと。

 何か嫌な感じがして、鋼は後ろを振り返る。

 校舎の上からは広い範囲でパルミナの街が見渡せた。他にあまり背の高い建物がないからだ。そして見える範囲だけでも〈紅孔雀〉とやらが四、五十匹はいて、小集団に分かれて様々な地区を襲っている。妙に学園の辺りに魔物が集中している気はするが、思った以上にかなり大規模な襲撃だった。

 特に怪しいものなど何も見当たらない。最後に遠くに見える街を囲う防壁に視線をやり、過敏になり過ぎかと中庭に向き直った。

 また一匹、窓から撃ち込まれた《火矢》により〈紅孔雀〉が数を減らしていた。生徒達の歓声が聞こえる。更には校舎の通用口から飛び出した人物が、負傷者の女子を助けに向かっていた。

 いい感じに人間側が優勢だが、今も残る二匹が完全に女子生徒に狙いを絞ったのが上から見ていて分かった。助けが間に合う、あるいはその前に魔術で撃ち落とせるかは微妙なところだろう。

 しかも。

「……集まってきてやがる」

 こちらから手出しできないかなりの上空にまた数匹新手の〈紅孔雀〉が集合し始めている。どうせなら手負いの獲物を狙おうという本能と、それを可能にする視力程度は備えている模様。

 クチバシ二本は左手で持ち直し鋼は中庭へと飛び降りた。

 降りるついでの空中で、飛んでいた一匹の頭を右手で捕まえつつ女子生徒の隣へ着地する。誤射というか鋼を魔物と間違えたようで、校舎の窓から《火矢》が飛んできたので持っていた鳥を盾にした。女子生徒を守ろうとしたのは分かるが下手すればその当人に当たりそうな軌道だった。

「気を付けろ馬鹿! 俺は自業自得だが彼女に当たるとこだ!」

 窓に向かって注意しておく。多少暴言も混じってしまったが鋼からしてみればこれくらいは当然というか、むしろこんな状況なので抑えた物言いである。言いながら、手の中の死にかけの鳥がピーピーうるさかったので武器としてぶん回す。接近してきていたもう一匹が叩きつけられ吹っ飛んで行った。

 助けられた女子生徒が痛がるのも忘れて、びっくりした顔でこちらを見ている。

「まあとにかく、もう安心だ。そういう怪我をいくつも見てきた俺が断言するが、死ぬような怪我じゃない。鳥は新手も俺が止めとくから、保健室か医務室か知らんが治療してもらいに行け」

「は、はい……」

 鋼には見覚えのない、恐らくは帝国人ではなく普通に日本人の黒髪女子生徒が頷く。そして別の鳥に叩きつけて心なしかぐったりとなった手の中の鳥は、念の為首の骨も折っておこう。

 ついでに新たな武器としてクチバシをぶちぶちと剥がしていると、女子を助けようと中庭を走ってきていた勇ましい男子生徒がこちらへ辿り着き、不機嫌そうな声を聞かせてくれた。

「……おい」

「ん? おお、崎山じゃねえか」

 上からぱっと見た程度では気付かなかったが、同室の崎山恭平だった。彼の場合不機嫌そうな声とぶっきらぼうな口調はデフォルトだ。

「何グロい事やってんだ。周りの奴らドン引きしてるぞ。俺もだが」

「ええ? いや、これ便利そうなもんでな。こうやってだな……」

 先程振り払った最後の一匹は吹き飛ばしはしたがまだ生きている。もたもたと姿勢を整え中庭を飛び回っていたので、鋼は今手に入れた新たなクチバシを投擲した。

 胴体に突き刺さりまたも吹き飛んだ〈紅孔雀〉は、そのまま校舎の二階と三階の間くらいの壁へと縫いとめられる。まだ生きており悶え苦しんでいるものの、しっかりと刺さっているので止めは不要だろう。

「ほらな?」

「ほらな、じゃねえよ。滅茶苦茶な野郎だな。……立てるか?」

 崎山の最後の問いかけはへたり込む女子生徒に対してのものだ。校舎の方へ怪我人を連れて行こうとして、場を動こうとしない鋼を促すような目つきで見てくる。

「いや、俺はまだここにいるから。その子は頼むわ」

 こちらの視線を辿り、崎山も校舎で切り取られた四角い空を見上げる。新手の第二陣は五匹いた。まああんなもの、せめて五十はいないと鋼にとっては脅威にもならないが。校舎の外周を見回って図書塔へ戻るにしても、目についた魔物くらいは減らしておきたいところだ。

「……さっきの様子じゃ心配要らんな。任せるからな」

 話が早くて非常に助かる。崎山は女子生徒を連れて校舎へと戻って行った。

 入れ替わるように別に通用口から、剣を差した男性が中庭へ駆けてきた。

「カミヤか! 状況はどうなっている!?」

 もはや見慣れた学園の教官、シシドだ。

「負傷者一名出ましたがもう治療に向かいました。あとはまあ、見ての通りの状況なんでここに来た奴くらい倒しておこうかと」

「剣も無いなら下がっておけ。あとは俺がここを見ておく。お前は生徒達に、所属クラスの教室で扉と窓を閉めて待機しろと伝えてくれ。学長からの指示だ」

「それはいいっすけど、図書塔に取り残されてる生徒もいるんですが。そっちは放置ですかね?」

「む。それは……」

 グリット教授が校舎へ駆け込んで行ったのはつい先程の事。まだシシドや学長に伝わっていないのは当然だ。

「ああいや、多分グリット教授が戻ってしかるべき対応をすると思うんで。とりあえず言われた内容をその辺の生徒に伝えて広めてもらいます。……ところで教官、アレ、なんすかね?」

 空を見上げ、鋼と同じものを目に留めたシシドがため息でもつきたそうな顔をする。

 集まっていた〈紅孔雀〉は数を七匹に増やしていて、それとは別に大きな個体が現れていた。

 全長四メートルほどの、今までのものと同系統らしい赤い羽毛の鳥だ。トサカのようなものが頭についていて、なんとなく自慢げに見える。しかし元の弱さを考えれば、大きくなったところで強そうには見えなかった。

「……〈大紅孔雀〉だ」

「そのままっすね……。で、念の為訊いときますがあいつら任せても大丈夫っすか?」

「丸腰の奴が何を言ってる。心配なんて要らんから、大人しく生徒は下がって守られておけ」

 了解です、と鋼が返すと、心外な事に不可解な視線を向けられた。

「……もっとゴネると思ってたんだがな」

「教官が俺をどんな風に思ってるかよーく分かりました。別に俺は魔物と戦いたいわけじゃないんで」

「そうなのか。いや、そうか。悪かったな。てっきり『俺も手伝いますよ』とか言い出す気がしていた」

「いやあ、あんな程度の相手で助太刀申し出るのはさすがに失礼かなと」

 何故だかシシドがその言葉でぴしりと固まったような。気のせいだろう。

「……だ、だが、空を飛ぶ相手に剣は不利だし、数の差もあるのでな。手伝うと言い出すのでは、と。いやもちろん、生徒に戦わす気など俺も無かったが。……楽勝とはいかない状況だろう?」

「本職の騎士が何謙遜言ってるんですか。俺でも素手で倍の数相手にしても楽勝だろう魔物相手に」

「そ、そう、だな……。当然俺も、あの程度の数は楽勝なわけだが!」

「変な気遣わなくていいっすよ教官」

 鋼は笑い飛ばしたが、シシドはなんだか不安そうな顔で魔物達を眺めていた。なるほど、楽に勝てる相手だとしても、守るべき者の多い教師としては緊張せずにはいられないと見える。

 話している内に魔物の集団が高度を下げてきていたので、鋼は言われた通りにこの場を離れる。去り際にせめてもの援護として、手持ち無沙汰に残っていた二本のクチバシを全力で投げておいた。

〈大紅孔雀〉と〈紅孔雀〉を一体ずつ仕留めたのを見届け満足する。

 落ちてきた死体とこちらを見比べながらなんとも複雑な表情でシシドが礼を言ったので、後は任せたと手を振り鋼は中庭を後にした。


 しかし、それにしても。

 最近戦った魔物はどいつもこいつも弱すぎるな。


 それ以上の強さの相手を望んでいる自らの思考に気付いて、鋼は苦い顔で舌打ちをした。



 ◆


 フード付きのローブをかぶった人影が双眼鏡を覗いている。

 サイズの大きいものをまといフードも深くまでかぶっているせいで、体格は隠され顔もほとんど窺えない。ただ、僅かに覗く肌は輝かんばかりに白く滑らかで、見る者にその美貌を容易に想像させた。

 素性を隠したい者だと一目で分かる不審な格好と挙措であったが、この場には人影の仲間がもう一人いるだけで、無意味に注目を集める心配は無かった。

 空が近い。

 それもそのはず、ここはパルミナの外壁上に位置する見張り塔の中だ。上階の一室には街の外の方角だけでなく反対側にも窓がついており、パルミナの街並みが一望できる。ローブの人物はそこから魔物に襲撃されている街の様子を眺めているのだった。

「……」

「首尾はどうだよ?」

 ローブの人物が双眼鏡を下ろしたタイミングで離れた床に寝そべっていた男が身体を起こし、やる気なさげに声をかけた。

 返答にフードの奥から発せられたのはまだ若い女の声だ。

「……騎士学校の生徒に明らかにヤバいのがいる」

「はぁ? ……ふーん。生徒ねえ……」

 嘲るように男は鼻で笑うが、女はいちいち取り合わない。言い返す余裕もないとばかりに、ただ声を硬くして報告を続けていく。

「校舎の屋上で〈紅孔雀〉を軽々仕留めたのだけど……。強化の精度が明らかに異常よ。足場もなしに屋上まで飛んだ」

「……校舎の高さは?」

「三階建て」

「そいつはキショイ。獣人か?」

「亜人ではないように見えたわ。黒髪だからニホン人か、あるいは帝国系列か」

「……ふーん。俺もそんくらい出来るけどよ、教師ならともかく生徒かい。さすがは王立学校ってとこか。テメーの魔物達じゃ襲わせても相手にならねえんじゃねえの?」

 無精ひげをしごきながらニヤニヤと小馬鹿にした風な表情をとる男に対し、女は苛立ちの滲んだ声で答える。

「フン、相手がそれなりならこっちもそれに合わせた戦力を用意するだけよ。少なくともアンタよりは役に立ってみせるわ」

「ハッ、言うじゃねえか淫売が」

「……下品な猿が吠えてるわね。うるさいったらありゃしない」

 言い合ううちにいつしか二人は睨み合い、場には殺気すら漂い始めた。

「その減らず口を縫いとめてやろうか? いや、娼婦にとっちゃあそれも大事な商売道具か」

「……あと一つでも侮辱するような口を利けば殺すわ」

「へえ? ご自慢の魔物達が来るまでに100回はテメーを殺せそうだな」

「その後私の配下全てに狙われて食い殺されても構わないなら、ご自由にどうぞ?」

 お互いに、相手が自分を殺すに足る能力を持っていると心の底では認めているからこそ、緊迫した空気は長く続かなかった。男は視線を外し、女は気の抜けたため息を一つつき、双方殺気を収める。

「やめましょうこんな事。軍人らしく最低限の会話で済ませればいい」

「違いねえ。で、わざわざ見届けた甲斐はあったのかよ?」

 問われ、女は少し考え込んだ末にそれに答えた。

「……明後日の本番は増員させるわ。それにもっと上位の奴らも追加したい」

「必要か? あくまで『偶発的な魔物の襲撃』を装えって通達だったろうがよ? 平和なこの辺りじゃ上位なんてあからさまに不自然だぞ」

「ほとんど被害が出ずにニホン人の印象に残らない方が問題でしょう? 国際問題に発展させるには一人二人くらいは死んでもらう必要があるのだし。このままだと、下手すれば死人すら出ないかもしれない。……上に掛け合ってみるわ」

「心配のし過ぎだと思うがねえ。多少デキる奴が一人や二人いたところで大勢は変わらんだろ。王女周りから騎士隊長レベルがしゃしゃり出てくるなら別だが、護衛対象から離れるはずが無いしな」

「……その生徒。さっき、こっちに気付いたような素振りを見せたの」

 多少デキる奴って程度じゃないかもしれない。そう言い足した女の声とは裏腹に、男の方は楽観的だ。

「ハア? 気のせいだろう。テメーは自分で戦わんからどう思ってるかは知らんけどよ、視線やら殺気やらに、実体があるとでも思ってんのかよ。背後からでも殺気に気付く! ってのは素人の想像だぜ」

「ウルクは後ろからでも敵意に気付くけど」

「ありゃ魔物だろうがよ。一部の魔物だとかキショイ達人になってくると確かに不意打ちが通用しねえのがいるがな……。あれは普段から無意識にでも周りを探ってんだとよ。知覚範囲内での生き物の緊張した息遣い、魔力の活性化、感情による魔力の質の変化だとかを敏感に察して反応できるとかなんとか。俺も全力で戦ってる時はそういう感覚があるから分かるんだけどよ、ここと騎士学校がどれだけ離れてると思う。この距離でこっちに気付くなんてのはあり得ねえ」

「無理のある想像なのは分かってる。でも妙に嫌な予感がして」

 肩をすくめて男の方が立ち上がった。

「ま、上が認めるなら俺としては文句もない。好きにすりゃいいだろうよ。用が済んだなら戻るぞ」

 頷いてローブの女も窓から身を離した。日本という国で作られた双眼鏡を、同じ国で作られたナップザックへと仕舞い込む。異世界製のこういった量産品はパルミナ周辺から王都にかけて流通してきており、仕組みは単純でも作りがしっかりしている事から巷では人気商品だ。

 そうした品を実際に手に取り、またはこの街で何度も目にすれば誰だって分かるというものだ。まだ見ぬ地球という異世界の、恐るべき技術力の高さが。

 だからこそ周辺国は危機感を抱いている。セイラン王国だけが大きな力を持った異世界と独占的に交流している現状に。

 王国と良好な関係を築いている同盟国のトリルなどはまだいい。だが消極的な敵対関係にあるといっていい東の隣国、グレンバルドとしてはこれはとうてい看過出来る状況ではないのだった。

 セイランとニホンを切り離すためなら帝国は手段を選ばない。この二年はニホンを敵に回さないために水面下でのみ動いていたものの、そろそろ偉い人達が痺れを切らしていて、とうとう今回の大規模な作戦に踏み切ったのだとか。


 ――見苦しい嫉妬だこと。


 一応は自分の所属している国についてどこか他人事のように胸中で評しながら、出て行く男の後に続く。

 帝国と異世界の倫理観は大きく違う。奴隷を使役する軍事強国であるグレンバルドはどうあってもニホンと相容れないのだ。セイランを挟まずどうにか交流しようにも、国のあり方を根本的に変えない限り良い関係は結べない。異世界がもたらす技術革新の波から、このままでは帝国だけが取り残される。

 上司から聞いた事のあるそのような話を思い返しながら、女はフードの奥で小さく失笑した。

 奴隷制を廃止し、ニホンに擦り寄るという発想は無いらしい。自分だけ異世界の恩恵に(あずか)れないから、せめて他を妨害する。これを嫉妬と言わずになんと言うのか。

 そうして女は、男に続いて見張り塔を後にした。外の防壁の上で待機していた警備隊の男が帝国式の敬礼をして二人を見送る。今の時間この場所の見張りを担当しているこの兵士は協力者であり、正体は帝国の密偵だ。


 グレンバルド帝国軍、第二特化兵団。

 ローブの女と無精ひげの男はその一員だ。一方面に特化した戦闘法を身に付け特殊任務にあたる第一特化兵団とは違い、本当に稀有な能力を持つ者だけを集めた少数精鋭の兵団だ。

 性格は二の次で集められたために他の軍関係者との折り合いは悪い。しかしその異常な才能や戦闘能力を買われ、帝国から重用されている事は知られているので侮られもしない。極秘任務を主に請け負うその性質上、『帝国の暗部』と呼ばれ身内からも忌避されているのがその実情だ。

 その人員が二人、本国を離れセイランの土を踏んでいる。

 それはグレンバルド帝国が、本腰を入れてセイランとニホンの間に介入すると決めた事を示していた。



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