私は、馬鹿で、特別だ
何か、形に残したかった。
そんな、くだらない欲から始まったんだ。
『うーん。何も思い付かん』
鉛筆を持ったまま、机に突っ伏した。
何か書こうと思ったはいいが、何が書きたいのか、それが決まってない。
他の人が書いたものを見ようと思ったけど、それじゃ意味がない。
私が、自らの手でたどり着いてこそ、そう思う。
『でもなぁ』
私なんぞが考えついたもの、みんな考えているし。
机に肘をついた。
世の中へのうらみつらみを書いたところで、それには意義がないような、そんな気がしてくる。
そんなの、行動する気がない人が、他人を変えようとしてるだけなんじゃないのか?
机の上の紙には、今も、なにも書かれていない。
『違うな』
違う。
何かと理由をつけて、なにも書けていない私よりも、少なくとも。
何かを書けているだけ、ずっとましなんだろう。
つまらなくてもいい。
誰にも読まれなくていい。
自分に甘く。
それでいいんだ。
『で、何書くの?』
結局、それが決まってない。
私が書けるもの、それはなんだ?
私は、何も知らない。
人生経験だって、たかだか十八年。
ちょっと背伸びした子供みたいなものだ。
偉そうに語れることなんて、一つもない。
社会、人、世界、大きな言葉。
分かってるようで、ほとんど分かってない。
『そうだ。知らない人にしか書けないことを書こう』
くだらない疑問を、みんな分かっているようなことを。
恥ずかしい妄想を、ただ書こう。
黒歴史を作ろう。
それで、笑われよう。
それで誰かに笑ってもらえるなら、そんなに嬉しいことはない。
誤字を指摘されたり、バカにされたりしよう。
それで、これを見た人が、こんなもんでいいのかって。
私が書いても、これよりは上手く出来るだろうって。
そんな風に思えるものを、作ろう。
それも、たくさん。
私は、馬鹿で、特別だ。
上ばっかりが特別で、下ばっかりが変だなんて、そんなのおかしいし。
下手な人のは、ただの失敗作。
そんなのは。嫌。
世界のほとんどは、下の人が頑張って出来てる。
たぶん。
だから。
私を書こう。
誰かじゃなくて、全部、私を。
数年後見返して、悶えたいと思います。




