寿命
「ありがとうございました」
お店をでて今日の売り上げを確認する。ざっと600万はあるだろう。たった120年分の寿命を売るだけで600万が手に入る。
遠い国まで航海したり、軍に入って領土を広げたり、電車に朝から揺られたり、沢山勉強して大学に入ったり…
今はそんなことをしなくても寿命を売って稼ぐ事ができるようになった。
技術力の躍進で人間は短命から自分達のような長命種と同等に生きられるような術を手に入れた。
つまり、寿命の受け渡しだ。
「今日は人類最上位の長命の○○さんに来ていただきました!○○さんは過去、投資家として成功なされそのほとんどを寿命の買取に使われたそうで、今はアドバイザーとして様々な分野で活躍されております!そして本日は……」
私はあの男を知っている、大体2000年前だろうかNPO法人で取締役をしていた男だ、やはり中抜きしていたのだろう。あの男の寿命の大半は私のものだと思うと少し気色が悪い。
ただいい気味だ、目が死にたがっている。いや、死んでいる。
1度譲渡された寿命は売ることはできないそして、死ぬことも許されない。自然界の法則に反するからだ、全ての生き物の寿命は細かく決まっているらしい…
医療技術も上がり、どんな事があっても寿命で死ねるレベルになったのもそのひとつだろう。
この世で辛いことは死ぬ事では無い、愛する人達を見送り続けることだ。
だからいつしか1人になった、自分の子孫の終焉を嫌という程経験し見送ってきた。あの男も身に染みてわかっただろう。
今日もまた湖のほとりにある大きな木の下で横になる、君を埋める時に植えた苗木も世界で1番大きな木になった。
「今年も最大限の寿命を売ってきたよ、いつになったら君がいる世界にいけるのかな、あの頃いた長命種ももう私だけになってしまった…
覚えているかい?初めて会った日。
君は病気の妹を治すために私を捕まえに来たんだ、君も病気なのにさ。そんな君を好きになったのが間違いだったのかもしれないね。」
そして辺りが暗くなる頃貧相なその子はやってきた。
あの日の君と同じセリフを吐き捨てて
「お前は魔女だろう!捕まって酷いことをされたく無かったら妹を助けろ!」
あの時私は意地悪をして、君のことをからかい続けた。そして妹を治す頃には、君は治せないところまで来てしまっていた。だから君はすぐに死んでしまった。今やっと生きてきた意味がわかった気がする。
「いいだろう好きなだけ寿命をあげよう、君にも妹にも…」
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「本日、人類最上位の長命の○○さんが亡くなりました。○○さんは自殺未遂世界記録の持ち主で…」
今日もまた湖のほとりにある大きな木の下で横になる、君を埋める時に植えた苗木も世界で2番に大きな木になった。
「今日君と僕の子孫がまた増えたよ」
そして辺りが暗くなる頃貧相なその子はやってきた。
あの日の僕と同じセリフを吐き捨てて




