7-4 ネコ戦士、空から世界を見る
すごい。
私、ホントに飛んでる。
前世ではハンググライダーどころか、飛行機にすら片手で足りるぐらいしか乗ったことがなかったのに。
私は興奮の余り
「にゃああああああっ!!」
と叫んでしまった。
するとダナンさんが慌てて
「大丈夫です!!大丈夫ですからっ…」
と後ろから言ってきた。
なので私は
「大丈夫にゃあ!!興奮しちゃっただけにゃあ!!」
と、少し後ろを振り返って笑った。
ダナンさんは安心したらしく、ちょっと笑って
「そうですか。では、この世界をご案内いたします」
と言った。
「まずは王都の東…ネコ戦士殿のご発案で増設した防壁と、東の海岸線です」
ダナンさんは飛行艇を少し傾けて旋回して、海辺の上を飛んだ。
突貫で足した防壁も、結構しっかりしてるように見えた。
…このあたりに、津波で滅びたティド村があったんだ…
「南に向かうとベリー村があります」
ダナンさんの言う通り、ベリー村が見えてきた。
広場を合わせれば結構広いベリー村も、ものすごく小さく見えたけど、その真ん中で三人娘が手を振ってるのが見えた。
「にゃっ!!アンナたちが手を振ってるにゃ!!」
私が言うと、ダナンさんは
「えっ?!自分には見えませんが…ネコ戦士殿には見えるのですか?!」
とびっくりしていた。
「見えるにゃ!針の先ぐらい小さいけど、手を振ってるにゃ!」
私の言葉に
「ネコ戦士殿の目は鳥のように良く見えるのですね!」
とダナンさんは言った。
ベリー村の周囲を見渡すと、村の北西から南にかけては原生林みたいな広い森林地帯だった。
そこから南にもう少し飛ぶと、煙を吐く火山が見えてきた。
「あれがデッガー火山です。過去に噴火した記録もありますが、ここ百年ほどは噴火をしたという記録はありません」
ダナンさんの言葉に、私はちょっと心配になった。
前世でも活火山の噴火はちょいちょいあった。
モンスターだけじゃなくて、こういうのも脅威だよなぁ…
飛行艇が右に旋回して、海を左に見ながら空を飛ぶと、ベリー村ぐらいの集落が見えてきた。
「あれが国の西にあるロナ村です。ロナ村ではモロコシの栽培が盛んです」
ダナンさんに言われてロナ村を見ると、広々とした黄色い畑があった。
一面黄色に見えるあたり、前世のトウモロコシより小麦とかに近いのかな?
ベリー村にはないので、きっとロナ村から買ってるんだろう。
そんなことを考えていると、ロナ村より北西の方に、小さく遠く、廃墟のようなものが見えた。
「あそこは何にゃ?ガレキの山みたいにゃ」
と私が尋ねると、ダナンさんは
「あれは大昔に滅びた隣国…トーネ王国です」
と答えてくれた。
「…あれが…ネコ戦士たちをひどい目に遭わせた国なのにゃ…?」
私がつぶやくと、
「かの国が滅びたのは、ネコ戦士たちを奴隷のように扱った報いでしょう…」
ダナンさんは、固い声で言った。
ガレキの山の上をさらに西に行くと、またガレキの山があった。
「あれも国だったにゃ?」
と尋ねると
「そうです。あれはゲナン王国という国で、この世界では唯一ネコ戦士がいなかったと言われています」
とダナンさんは答えた。
なるほど、ネコ戦士がいなかったから、真っ先にモンスターたちに滅ぼされたのかもしれないなぁ…
私がそう考えていると、ダナンさんは飛行艇を旋回させた。
ゲナン王国跡の西は広い海で、向こうには何もなかった。
そのまま大陸の上を北に向かうと、北の方も海に囲まれていて、目を凝らして見ても海の向こうには何も見えなかった。
もしかしたら、地球より海の面積がはるかに大きいから、海の向こうに見えるはずのこの大陸の端っこも見えないのかも…
とか、また考えていると、ダナンさんは飛行艇を右に旋回させて、ルーン王国の北の方に向かった。
「この先はかなり寒くなりますので、少し高度を下げます」
そう言ってダナンさんは少しずつ飛行艇の高度を下げていった。
すると少し先に集落が見えてきた…けど、針の先ぐらいに見える人たちは、慌てて家に入って行ってるみたいだった。
飛行艇が怖いのかな…?とか思ってたら
「あれがルーン王国最北にある、バツ村です」
とダナンさんが言うので、私はバツ村の周囲を見回した。
バツ村の南には広い池に広い草地と山地があって、その東には王都に向かうらしい街道があった。
そしてバツ村から北に離れたあたりは、滅びた隣国から連なる海。
海からバツ村までの間は緩やかに上ってるけど、防壁はない。
アクアドラゴンが上陸したら、バツ村まで津波は届くかもしれない…と私は思った。
「これよりまた少しずつ高度を上げ、王都に戻ります」
ダナンさんはそう言って、飛行艇を右に旋回させながら少しずつ高度を上げた。
「ダナンさん、すごいにゃ!!飛行艇の操縦、うまいにゃ!!」
ダナンさんの操縦の正確さに舌を巻いて私がそう言うと、ダナンさんは
「自分だけではなく、観測隊の中堅以上の者は皆この程度はできますよ」
と、私の後ろで言った。
そして
「我々にできることは、こうして飛行艇に乗り、モンスターの動きなどを観測することだけです。我々には、モンスターと戦う力はありませんので」
とダナンさんは続けた。
なので私は
「観測隊の人たちのおかげで、モンスターの位置を確認できるのにゃ。それでギルド長さんが私を馬で連れてってくれるから、私はモンスターと戦えるのにゃ!ありがとにゃ!!」
と、ダナンさんに感謝を伝えた。
ダナンさんは
「はっ!今後も正確な情報をお届けできるよう、精進致します!」
と言って、王都上空から緩やかに飛行艇を回しながら、飛行艇で飛び立った高台に静かに着陸した。
「おみごとにゃ!!」
と私が前脚で拍手すると、ダナンさんは照れたように笑って
「恐縮です」
と言った。
こうして、私たちの空の旅は、無事に終わった。
昨日思いついて描いた鉛筆画は、ネコの日に…と思ってたんですが、似合いそうなページのおまけにしようかなとwなので明後日アップする話の後ろにくっつけようかなと思います~




