7-1 ネコ戦士、ニワトリと新たな武器を欲しがる
この世界にも卵があると知った私は、ギルド長が王都に戻る前に色々聞いてみることにした。
「ギルド長さん、王都ではニワトリ飼ってるのにゃ?」
と私が聞くと、
「うむ。城下街をはずれた王都東と西に、それぞれニワトリを飼育する者たちがいるのだ」
ギルド長はそう答えてくれた。
なので
「そこでは卵採るだけにゃ?肉にするためのニワトリは飼ってないにゃ?」
続けて私が問うと、ギルド長は
「王都で流通している鶏肉は、年老いて卵を産めなくなったニワトリをつぶしたものだ。なのでネコ戦士殿が倒してくれるツラーオやオオツラーオ…鶏肉に似た肉ではあるが、鶏肉より柔らかで美味な肉が近頃東都では鶏肉よりはるかに人気が高いのだ」
と言った。
なるほど…年を取ったニワトリは、たしかに痩せて硬そうだ…
この国でのニワトリ事情を知った私は、厚かましいお願いをギルド長にぶつけてみた。
「ベリー村でもニワトリ飼いたいのにゃ。どうやったらニワトリ譲ってもらえるにゃ?」
ギルド長はしばらく考えてたけど、やがて
「…了解した。恐らくニワトリを飼育する者たちに、ネコ戦士殿からの願いだと伝えれば、快く譲り渡してくれるだろう。何羽必要だ?」
と、あっさり承諾してくれた。
私はうれしくなって
「オス一羽とメス三羽欲しいにゃ。ダメならオスメス一羽ずつお願いするにゃ!」
とギルド長におねだりしてみた。
オス一羽メス三羽いれば、有精卵でヒヨコから育ててニワトリの数を増やしながら、村のみんなで少しずつ食べられるぐらいには卵が採れるようになるだろう。
私はわくわくして、自然に顔がほころんできた。
するとギルド長が
「ネコ戦士殿は、本当に卵が好きなのだな」
と言って、ふっと笑った。
レアなギルド長の笑顔だけど、時々見る笑顔より、ちょっと優しい笑顔だった。
私はちょっとびっくりしたけど、
「卵、大好きにゃ!」
と笑い返した。
ギルド長はまたふっと笑って
「心得た。では王都に戻り次第、ニワトリを手配しよう」
と言った。
そして馬を充分休ませたギルド長は、王都に向かって戻っていった。
「…ギルド長さん、優しく笑うと意外にかっこよく見えるにゃ…」
私がぼそっとそうつぶやくと
「…モモちゃん、あいつが好きなのか…?」
カールさんが私の後ろから声をかけてきた。
…しまった、この人私のこと好きだったんだ…
カールさんはまだショック受けてるような顔をしてたけど、とりあえず放置した。
私には他に、大切な用事があったからだ。
私は鍛冶屋のケンさんのとこに行って
「ケンさん、お願いがあるのにゃ」
と、ケンさんに声をかけた。
「ん?どうした?まさかアクアドラゴンとの戦いで装備が壊れたってんじゃねぇだろうな?」
ケンさんは驚いた顔でそう言った。
私は首を横に振って
「防具も武器も無事にゃよ。でも、アクアドラゴンには、今の武器じゃダメみたいなのにゃ」
と、アクアドラゴンと戦った時に感じたことをケンさんに伝えた。
「オオツラーオの武器を投げたら、アクアドラゴンのウロコに弾き返されたのにゃ」
私の言葉にケンさんは
「なんだと…?!」
と右の眉毛だけをぴくりと上げた。
「ファイアドラゴンとサンダードラゴンの合成武器投げたら、ちょっとだけ傷はついたんにゃけど、ホントに薄皮一枚程度の傷だったにゃ」
続けて私がそう言うと、ケンさんは黙ってうなりだした。
そして
「…わかった。改良方法を考えるぜ」
と、ケンさんは店の奥に入って行った。
ケンさんの店から出ると、三人娘がなぜかカールさんに怒っていた。
「モモちゃんは大変なの!命がけなのよ!!」
「なのにお仕事仲間のギルド長さんに嫉妬するなんて!!」
「そうよ!!どーんと構えて、いつでもモモちゃんの力になれるようにどっしりしてなさいよ!!」
…三人娘、カールさんのこと好きだったんじゃないのか…?
「アンナ、マリア、エマ、どうしたにゃ?」
私が尋ねると、三人は
「モモちゃんがちょっとギルド長さんのこと褒めたからって、カールさんが嫉妬してるからさぁ!」
「だから、ちょっとヤキ入れてんのよ!!」
「モモちゃんは気にしなくていいからね!」
と言った。
カールさんがしょんぼりして
「モモちゃん…俺は…」
と言いかけたところに
「今はアクアドラゴン対策のための武器の改良をケンさんに頼んで待ってるのにゃ。武器の改良が、今の私にとって一番大切なことにゃ」
と、私はきっぱりと言った。
「ほら、見なさいよー!!」
三人娘にそう言われて、カールさんははっとした顔をして
「…ごめん…俺…ホントにごめん…」
と私に謝った。
なので私も
「私こそゴメンにゃ。私、余裕ないのにゃ」
とカールさんに謝った。
…マジですまん、カールさん…
私たちが村の真ん中あたりで話していると、ケンさんが走ってきた。
「モモちゃん!武器の改良方法、考えついたぞ!!」
え、マジか、早くね?
ケンさん有能すぎる…
第7章開始です~。ネコは私の部屋のベッドの上で寝てます。すやすや気持ちよさそう…




