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ネコ好き女子、ネコ戦士になる  作者: リュウ
第6章 ネコ戦士、奮闘する

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6-6 ネコ戦士、アクアドラゴン対策のため、再び王都に行く

私たちが王都に着いたのは、多分四時前とかそのぐらいだったけど、秋の日は落ちるのが早いので、少し日は傾いていた。

王都の城下街にはランプの灯がともり始めていて、私たちはその中を傭兵ギルドに向かっていた。

すると

「モモちゃーん!」

と、子供の声がした。

見ると道端にジェイとロイとケイ…リーナさんちの子供達がいた。

「モモちゃん、元気だった?」

一番年上のジェイがにこにこ笑って声をかけてきた。

私は甥たちの小さい頃を思い出して、ふっと笑った。

「もちろんにゃ。ジェイもロイもケイも元気だったにゃ?」

私の言葉に

「元気だよ!」

「勉強は難しいけど…」

「友達できたよ!」

三人はそれぞれ答えてくれた。

ジェイが

「モモちゃんは?お仕事?」

と尋ねてきたので

「そうにゃ。これから傭兵ギルドに行くにゃ」

と私は答えた。

するとジェイは

「そっか…大変だね…」

と、少し淋しそうに言った。

ベリー村を離れてから、まだそう経ってないけど、やっぱり淋しいんだろうな…

無理もない、まだ三人とも小さいんだもの。

「ヒマができたら、リーナさんとウェンさん連れてくるから、それまで勉強頑張ってにゃ!」

私が言うと、三人はぱっと顔を明るくして

「うん!ありがとう!モモちゃんも頑張ってね!」

と言って、私に手を振ってくれた。

私も子供達に向かって右前脚を振ってから

「さあ、ギルド長さん、行くにゃ」

とギルド長をうながした。

…早くヒマになって、リーナさんたちを連れてこられたらいいなぁ…


傭兵ギルドに着いて、厩舎に馬をつなぐと、いつも通りギルド長は私をギルドの建物に連れて入った。

いつもなら元気に挨拶してくれる傭兵たちが、妙に静かだった。

「お疲れ様にゃ!」

と私が言うと、傭兵たちは

「あっ…お疲れ様です…」

と元気のカケラもない挨拶を返してきた。

「どうしたのにゃ?元気ないにゃあ。疲れてるにゃ?」

私が尋ねると、あの時泣いて謝った傭兵が

「…ケラーさんにめちゃくちゃ怒られました…」

と、しょんぼりと答えた。

そして他の傭兵が

「ネコ戦士殿の邪魔をするなんて…しかもネコ戦士殿を危険な目に遭わせるなんてって、めっちゃ怒られたっすよ…」

と言った。

と同時に、研究所長のケラーさんが奥の研究室からバタバタと走ってきた。

「ネコ戦士殿!こたびは傭兵たちがご迷惑をおかけし、誠に申し訳ないっ!!」

ケラーさんが頭を下げたので、私はため息をついて右前脚を振って

「もう終わったことにゃ。それより次のことを話し合いに来たから、話そうにゃ」

とケラーさんに言った。


私には、確認しておきたいことがいくつかあった。

「今日、傭兵のみんながアクアドラゴンを弓矢で攻撃したけど、全部ちゃんと当たったのに、アクアドラゴンの体に刺さったり刺さらなかったりしたにゃ。アクアドラゴンのウロコが硬いのは、私のオオツラーオの武器が弾かれたことでもわかったけどにゃ、矢が刺さらなかったのには他にも理由があるんじゃないのかにゃ?」

私の言葉にケラーさんは

「…他の理由…とは…?」

と首をかしげた。

なので私は

「傭兵が使った矢の矢じりを見せてにゃ」

と、傭兵たちの方を向いて言った。

傭兵のひとりが立ち上がって矢を一本持って来てくれたので、私はその矢じりを見つめた。

「…これじゃダメにゃ」

私がため息をつくと、

「えっ…」

「ど、どうして…」

傭兵たちは戸惑った様子だった。

「アクアドラゴンのウロコはオオツラーオのウロコより小さいみたいだったから、ウロコとウロコの隙間も狭かったにゃ。この矢じりの先は太いから、そのせいで弾かれたんだと思うにゃ」

私がそう言うと、

「な…なるほど…」

ケラーさんは矢じりをまじまじと見て、うなった。

「何本か刺さった矢もあったけど、それは多分運良くウロコの隙間に刺さっただけにゃ。それもすぐにアクアドラゴンに振り落とされたから、しっかり刺さってたわけじゃなさそうにゃ」

私の言葉にケラーさんは

「うむ。ではもっと矢じりを細くとがらせるよう、鍛冶師に注文しよう」

と言ってくれたけど、実はまだ気になる所があった。

「もし、この矢じりを細くとがらせても、まだ足りないにゃ」


「…それは、どういう…?」

ケラーさんがまた首をかしげた。

「この矢じりには、カエシがないのにゃ」

私がそう言うと、

「カエシ…?」

ケラーさんも傭兵たちも首をかしげて問い返してきた。

えっ…カエシ、知らないの…?

私の父が釣り好きだったので、たまに二人で釣りに行ったんだけど、釣り針には、魚に刺さったら針が抜けにくくなるよう、カエシと呼ばれる突起がある…と、父が教えてくれた。

この世界って、釣り針とかないのか…???

困った私は、とりあえず図を描いて見せることにした。

私はペン先にインクをつけて、ケラーさんが机の上に広げてくれた紙に、カエシをつけた矢じりの図を描き始めた。

前世ではアナログでイラストとか描いてたので、ペン先とペン軸とインクに懐かしさを感じて、ちょっとだけわくわくしながら私は矢じりの絵を描いた。

「この突起がカエシで、これがあると、刺さったら簡単には抜けなくなるのにゃ」

私がそう説明すると、

「おおっ…!」

「なるほど、これはすごい…!」

傭兵たちは感心したように声を上げた。

…この世界の人たち、どうやって魚釣ってるんだろ…もしかして投網で魚獲ってるだけなのか…?

思いがけない逆カルチャーショックに私は驚いたけど、まだ確認したいことがあった。

「ここまでは、アクアドラゴンを討伐するってことを前提とした話にゃ」

私がそう言うと、ケラーさんは

「…討伐することを前提とした話…とは…?」

と私に尋ねてきた。

「アクアドラゴン、討伐しなきゃダメなのにゃ?」

私のひと言に、ケラーさんもギルド長も、傭兵たちも固まった。

 

昨日の吹雪が嘘のような青天で、ネコも西日を浴びて満足そうですw

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