5-3 ネコ戦士、知恵を絞る
この国が、滅びる…?
私が、アクアドラゴンを撃退すらできなかったら…?
「どういうことなのにゃ…?」
私はやっと絞り出した小さな声で、ケラーさんに尋ねた。
ケラーさんは眉間にしわを寄せて
「大昔に滅びた東の海辺の村は、王都よりそう遠くはない。ネコ戦士たちがアクアドラゴンを討伐してくれなければ、東の村だけでなく、王都も津波で滅んでいたかもしれぬのだ」
そう言った。
そんな…
この活気にあふれた王都が滅ぶ…?
そしたらきっと、ベリー村も滅んでしまうだろう。
そんなの…そんなの絶対イヤだ…!!
私は恐ろしい想像を振り払って考え始めた。
ただのネコ好きアラサーオタク女子の私がどんなに知恵を絞っても、いい考えなんか浮かばないかもしれない。
でも、考えないわけにはいかないんだ。
この世界に来てから、ずっと私を大切にしてきてくれたベリー村のみんな。
お母さんみたいなバーサさん。
狩りの相棒のカールさん。
友達みたいな三人娘。
私のために一生懸命装備を作ってくれるケンさん。
誰も…誰ひとりとして、失う訳にはいかないんだ…!!
しばらく乏しい脳みそをフル回転させて考え続けた末に、私は思いついた。
「ケラーさん、ファイアドラゴンを追い詰めた、川すら凍らせたモンスターの情報を下さいにゃ」
私がそう言うと、ケラーさんは
「少々待たれよ」
と、また本をめくり始めた。
そして、あるページで本をめくる手を止めたケラーさんは、
「…フリーザードラゴン…流れる川どころか、海まで凍らせた…とある」
と言った。
「フリーザードラゴンの弱点は何にゃ?」
と私が聞くと、
「炎と雷…とある。大昔のネコ戦士たちは、炎の武器と雷の武器でフリーザードラゴンを討伐した…と記してあるが…」
ケラーさんは私の顔を見て言った。
なので私は
「今の私の武器は、ファイアドラゴンとサンダードラゴンの合成武器にゃ。フリーザードラゴンに有効な武器のはずにゃ」
と言った。
ケラーさんがはっとした顔で目を見開いて私を見た。
「ネコ戦士殿…もしや、フリーザードラゴンを海辺まで追い詰める…と?」
ケラーさんの言葉に私はうなずいた。
「そうにゃ。なんとしてもフリーザードラゴンを先に見つけて、海辺の方に追いやるのにゃ。そんで、海を凍らせるのにゃ!」
私がそう言うと、ケラーさんは黙って考え始めた。
そして
「ううむ…可能性は高いとは言えんが…いやしかし…」
とぶつぶつとつぶやき始めた。
私はじれったくなって、
「この前ファイアドラゴンが現れたのは、ベリー村の北門のとこにゃ!フリーザードラゴンは、ベリー村と王都の間あたりに、まだいるかもしれないにゃろ?」
とケラーさんに言った。
ケラーさんは目を見開いて
「うむ…その可能性は…高いかもしれん…」
と言った。
なので私は
「なら、これからやることは決まったにゃ。観測隊の人たちに、必死でフリーザードラゴンを探してもらって、私がフリーザードラゴンを追いかけるにゃ!そして東の海辺まで生かしたまま追い詰めて、フリーザードラゴンに東の海を凍らせてもらうにゃ!!」
と声を大きくして言った。
「うむ…うむ…もう、それしか…ないかもしれん…」
ケラーさんも意を決したようにそう言った。
そうして私たちの今後の方針は決まった。
まずはフリーザードラゴンの動向を見極めること。
フリーザードラゴンを見つけたら、私がフリーザードラゴンを少しずつ攻撃しつつ、東の海辺の方に向かって追って行くこと。
そしてフリーザードラゴンに、東の海を凍らせるように仕向けること。
「…決まりだにゃ?」
私の言葉に、ケラーさんはうなずいた。
「ただ…そううまくはいかぬかもしれぬ」
ケラーさんは厳しい顔で私に言った。
「もしもフリーザードラゴンを見つけるより先に、アクアドラゴンが東の海に現れたとしたら…」
ケラーさんは途中で言葉を切った。
私は
「その時はその時にゃ。私が必死でアクアドラゴンと戦うにゃよ」
とケラーさんの目を見て言った。
ケラーさんは言葉を失い、そして悲しそうな目をして言った。
「すまぬ…すべてをおぬしに背負わせて…」
なので私は笑った。
「なんとかなるにゃ!!」
…笑うしかなかった。
ベッドで寝ていると、ネコが枕元にやってきて、布団に入れろと言います。布団の中があったまった頃を見計らってから来るあたり、かしこい…




