4-5 ネコ戦士、合成装備を身に着ける
夜明けに完成した合成装備は、まだトルソーみたいなやつに着せたままだったけど、朝日を受けてきらきらと輝いていた。
肩からウエストにかけてはファイアドラゴンの皮とサンダードラゴンの皮を重ねてあって、ファイアドラゴンの濃いピンクがサンダードラゴンの淡い金色の皮でソフトになって、やわらかなピンクに見えた。
ウエストから下はサンダードラゴンの皮を二枚重ねてあるので、きらきら光る金色で、短めのドレスの裾みたいになっている。
頭の装備はお姫様のティアラみたいなんだけど、王様からもらった勲章を埋め込んだので、それがティアラの宝石みたいに見える。
予想をはるかに上回る出来に、
「やったにゃ!すごいにゃ!!」
と私は声を上げた。
「おお、やったな。すげぇいい装備ができて俺も満足だぜ」
ケンさんも、にかっと笑った。
武器の方も、ファイアドラゴンの武器にサンダードラゴンの角を合わせて、元々のファイアドラゴンの武器よりシャープで、やや短めだけど、赤い刀身に金色の線が寄り添ってる感じで、すごくかっこよく仕上がった。
「さあ、モモちゃん。身に着けてみな」
ケンさんに言われて、私は装備と武器を持って家に戻り、装備を身に着けてみた。
肩を守る部分は可動式で、前脚の動きを邪魔しない機能性の良さだけど、パフスリーブみたいに見た目がかわいい。
くるっと回ってもドレスの裾も邪魔にならない。
武器を背負って、私はケンさんの所に戻った。
「おおっ!!いいな!動きはどうだ?」
ケンさんの言葉に、私は前脚をぐるぐる回したり、飛び上がったり、武器を抜いて構えたりして見せた。
「大丈夫にゃ!ケンさんホントにありがとにゃ!!お金は後で払うにゃ!!」
私がそう言うと、ケンさんは
「おお…じゃ、俺はちっと寝てくるわ…」
左手を上げて、よろよろと工房の奥の自宅に入って行った。
「お疲れ様にゃ!」
私もまた家に戻って、装備を脱いで毛づくろいをして、ベッドで丸くなった。
そのまましばらく爆睡してたらしい私は、お昼ごろに目を覚ました。
前脚で顔を洗いながらベッドを降りて、新しい装備を身に着けて、私は家を出た。
するとカールさんが
「おおっ!モモちゃん、お姫様みたいだな!」
と、私の新しい装備を見てそう言った。
「すっごくきれいだよ、モモちゃん」
カールさんがにこっと笑ってそう言うので、私はなんだか照れ臭くなった。
「そ、そうにゃ?きれいだにゃ?」
私がくるっと回ってカールさんに装備の後ろまで見せたりしていると、村のみんなも集まってきて
「おおっ?!まるでお姫様だな!!」
「お姫様でもこんな豪華なドレスは着られないだろうな!」
と口々にほめてくれた。
三人娘も寄ってきて
「前のもかわいかったけど、新しいのもかわいいね!」
「かわいいし、きれいだわ!」
「うん、肩のところもかわいいねぇ」
とほめてくれたので、私はすっごくうれしくなった。
「ケンさんの力だけじゃ皮の裁断できないから、私も手伝ったのにゃ!」
と私が言うと、
「自分で使う物を自分の手で作れたら、うれしいし誇らしいだろうね」
バーサさんがそう言ってほほ笑んだ。
そうだ、私はうれしいだけじゃなくって、誇らしいって気持ちもあったんだ。
ケンさんがどんな風に私の装備を作ってくれてたのか…その苦労を知ったことも大きかった。
私ってホントに幸せ者だ。
前世での人生もそれなりに充実してて楽しかったけど、ネコ戦士になってからの充実感の方が大きいかもしれない。
「私はホントに幸せ者にゃあ…」
バーサさんの顔を見上げて私がそう言うと、
「そうかい、そうかい…」
とバーサさんは優しく笑ってくれた。
バーサさんの優しい笑顔は、母の笑顔を思わせる笑顔だった。
ジンさんにもらった串焼きの肉を食べながら、私は今後のことを考えた。
ファイアドラゴンを倒し、サンダードラゴンを倒したけど、まだファイアドラゴンを追い詰めたモンスター…気温を下げるような力を持ったモンスターには出会っていない。
炎に雷に…モンスター育成ゲームで考えると、あとは水とか氷とか草とか、そんな感じのドラゴンが現れるんじゃないかと思ったけど、いやいやゲームじゃないんだから…と、私は心の中で前脚を横に振った。
それでも、気温を下げるモンスターは間違いなく氷系とかだろう。
氷と炎なら炎の方が強そうなのに、なんでファイアドラゴンは逃げてきたのかな?
相性で言えば炎系の方が強いはず…だけど、もしかしたら氷系のそのモンスターの方が、ファイアドラゴンより圧倒的に格が上なのかもしれない。
私は串焼きの肉をかじりながら、ずっと考え続けた。
すると
「モ、モモちゃん!串!串食っちゃだめだよ!!」
というジンさんの声がした。
気づくと私は焼き肉の串を粉々に噛み砕いてしまっていた。
「ご、ごめんにゃ!!」
と私が謝ると、ジンさんは
「い、いいけどよ…鉄の串を粉々にできるって…モモちゃん、どんだけ歯ぁ強いんだよ…」
と呆れたように言った。
装備はお姫様みたいなのに鉄の串を噛み砕くとか、恥ずかしすぎるわ…
幸い串のかけらは食べちゃってなかったみたいだけど…歯とアゴの強さも、ネコ戦士だからなのかな…と、私はそう思った。
今朝は雪が降りました。めっちゃ寒いです…寒い…寒い…ネコと一緒に寝たい…←




