4-2 ネコ戦士、新たな脅威を知る
実は私は、カールさんにはハンドクリームだけじゃなくて、他のお土産も買ってきていた。
私の狩りの相棒とも言えるカールさんには、お土産一つじゃ足りないかな、と思ったからだ。
「えー、そんなに汚ねぇか?この手ぬぐい」
と自分の手拭いをひらひらさせてカールさんは笑っていた。
私はカールさんへのお土産が入った小さな紙袋をカールさんに差し出して、
「これからはこれも使ってにゃ」
と言った。
カールさんは驚いた顔をして、紙袋を開けて
「…ハンカチ…!」
と、さらに驚いた顔をした。
「いつも狩りについてきてくれてありがとにゃ」
私が笑って言うと、カールさんは満面の笑顔で
「ありがとうモモちゃん!大切に使うよ!」
と言ってくれた。
三人娘が寄ってきて
「男の人用のハンカチだね」
「うん、おしゃれでいい感じ」
「カールさんに似合いそうな色だねぇ」
と口々に言った。
カールさんはくすんだ金のくせ毛に濃い青い目だから、黄色と紺色のチェックのハンカチを選んだ。
カールさんはホントにうれしそうにハンカチを紙袋に戻して、カールさんの家…村長さんの家に戻って行った。
…あの人、あーゆーの使わずにしまっときそうな気がする…と私は思った。
王都から戻った夜はしっかり食べて、早々に家に戻ってベッドで丸くなって寝ることにした。
にぎやかな王都もいいけど、やっぱり村が落ち着くなー…と思いながら、私はしっぽに包まれてぐっすり眠った。
疲れてないと思ってたけど意外に疲れてたみたいで、私はいつもより遅く…夜が明けきってから目が覚めた。
なんだか村の人たちが騒がしい。
これはまたなんか厄介事かな…と思いながら装備を身に着けて家を出ると、
「モモ!王都から大型モンスターを発見したという知らせが届いたぞ!」
村長が慌てたように言った。
例の気温を下げるモンスターだろうかと思った私に、村長は
「王都の西の地上から、空に向かって雷のようなものが伸びるのが見えたそうじゃ」
と言った。
雷は空から…雲から地上に放出されるもんじゃないの?と寝起きでぼーっとしていた私はそう思った。
「大きな鳥のようなモンスターが雷のような光を発していたとのことじゃ!」
村長の言葉に、私は完全に目が覚めた。
「モンスター研究所からの情報はないのにゃ?」
と私は村長に尋ねた。
村長は書状の続きに目を通して、
「うむ。そのモンスターには角があり、その角から雷が出ているらしい。そしてその角が弱点だ…と書いてある」
と言った。
炎系モンスターの次は雷系モンスターって…前世のモンスター育成ゲームじゃん…
私はそう思ったけど、この世界はゲームじゃない。
そいつを倒さないと、もしかしたら王都が危ないかもしれない。
そして、この村も。
村長が
「伝書鳩と同時にギルド長殿も王都を発つと書いてあるので、小一時間もすればギルド長殿がモモを迎えに来るじゃろう」
と言ったので、私はうなずいてギルド長を待つことにした。
私はいつも通り焼き肉を食べて、バーサさんからもらったリンゴを食べて、ベリーの実をポーチの中に入れた。
これはもう、モンスター討伐に行く時の私のルーティーンだと言えるだろう。
「モモちゃん…気をつけて行くんだよ…!」
バーサさんがそう言って、私の前脚を両手で握りしめた。
「大丈夫にゃ。危なくなったら、いったん退いてから、また機会をうかがうにゃ」
私の言葉にバーサさんは、私の前脚を握ったまま
「うん、うん。それがいいよ。敵わないなら少しずつやればいいんだよ」
とうなずいた。
しばらくしてギルド長が馬でやってきて、
「ネコ戦士殿!準備はよろしいか?!」
と叫んだ。
「大丈夫にゃ!ギルド長さん、私をつれてってくださいにゃ!」
私はファイアドラゴンの武器を背負い直して、ギルド長に言った。
そしてギルド長の前に飛び乗って
「馬さん、疲れてるだろうけどお願いしますにゃ!」
と馬に言った。
馬は”まかせとけ”というように高くいなないて、王都の方角に方向転換した。
「んじゃ行ってくるにゃ!」
私が叫ぶと、村のみんなは
「無理すんなよ!!」
「気を付けるんだぞ!」
「私たち、ずっと祈ってるからね…!」
と口々に言ってくれた。
走り出した馬の上で、私はまだ見ぬ雷系モンスターの姿を想像していた。
鳥みたいで頭に角があって、その角から雷が出るって、どんなモンスターなんだろう。
いつの間にか私は、まだ見ぬモンスターと戦うことを楽しみにしていた。
ただのアラサーオタク女が戦闘狂みたいになるなんて、ちょっと考えられないことだけど、それはきっと、私が”ネコ戦士”だからなんだろう。
そう思って私は、しっぽをぴんと立てた。
今日は寒いので、入力中ネコがずっと膝の上でしっぽをちゅうちゅう吸ってました。邪魔だけどかわいい…←




