3-8 ネコ戦士、王都を見物する
ケラーさんは
「今後も様々なモンスターが出没すると予想される。昨今のこの世界の状況は、古文書に記されていた数百年前の状況に似ているのだ」
と、眉間にしわを寄せて言った。
「この世界は狭いようで広い。大昔に滅びた隣国は、いまだに廃墟のような無残な状態のままだ。観測隊はかなり広範囲にわたり世界の状況を調査しているが、隣国のさらに向こうにも、廃墟となった…国であった場所があるのだ」
つまり、大昔の山みたいな大きなモンスターは隣国だけじゃなくて、その向こうの国も滅ぼした…ってことかもしれない。
そいつがまた現れたら…
私は頭を振って、恐ろしい想像を振り払った。
そこに
「ただ今戻りました。大型モンスターは発見されませんでした」
と言いながら入ってきた男の人は、私に気づくと
「ネ、ネコ戦士…?!」
とびっくりした。
私は笑って
「モモですにゃ。よろしくお願いしますにゃ」
と彼に言った。
すると彼は
「自分は観測隊飛行士ダナンと申します。よろしくお願い致します」
と敬礼をした。
自衛官みたい。
私の亡き父は自衛官だったので、なんだか懐かしくて、私の胸はあったかくなった。
「ダナンさん、めちゃくちゃ寒そうなところはなかったにゃ?」
私の問いに、ダナンさんは何かに思い当たったようで
「いえ、ベリー村にファイアドラゴンが迫った時のような異常気象はありませんでした」
と答えた。
ギルド長が
「例の件には重々注意するよう申し聞かせている。また何かあればすぐに依頼をするので待たれよ」
と、私に言った。
…何もないことを祈りたいわ…
そう思ったけど、とりあえず
「わかったにゃ」
と言っておいた。
その後、私はギルド長に城下街を案内してもらうことになった。
焼き肉屋台を見つけたので、そこで私は、この世界初の牛の焼き肉を食べてみることにした。
ギルド長が50ジロ払って、焼き肉を買ってくれた。
この世界での1ジロは大体日本円で言えば10円ぐらいだと思う。
屋台の焼き肉が500円ならまあ妥当だろう。
牛の焼き肉はほぼ赤身で、モールのような霜降りじゃなかったけど、実は私は前世では牛肉なら赤身が好きだったから、赤身の牛肉はうれしかった。
「おいしいにゃ~」
牛肉を頬張って笑う私を見て、焼き肉屋さんが言った。
「モールほど高級品じゃないけど、うまいだろ?」
え?!モールが高級品…あ、そうか、なかなか狩れないからか…
だから私がモールを狩るようになって、村はちょっと豊かになったんだ。
なるほどなぁと思いながら歩いていくと、八百屋さんもあった。
野菜の値段は村とそう変わらないけど、ベリーの実はすごく高かった。
「ベリーの実はベリー村の特産品なのだ。なので王都ではベリーの実は高級品と言えるだろう」
と、ギルド長は説明してくれた。
ベリー村、それなりに豊かなのでは?と私は思った。
服とかを売ってる店もあったので、私はバーサさんたち女性へのお土産を買うことにした。
シャツとかスカートは500ジロぐらいだから、みんなのお土産としてはちょっと高い。
でもスカーフなら100ジロ前後だから、お土産としては手頃だろう。
そう思った私は、みんなの髪や目の色に合いそうなスカーフを選んでいた。
するとギルド長がしげしげと私を見た後、
「ネコ戦士殿も女性なのだなぁ」
と、ちょっと笑った。
ギルド長の笑顔を見たのは初めてなので、私はちょっと驚いた。
まあこの人も人間なんだし当たり前か…
ギルド長の人間らしい面を見て、私は何だかうれしくなった。
スカーフをそれぞれ紙の袋に入れてもらって、お金を払ってお店を出ると、なんだか街の人たちが騒いでいた。
お店の近くの路上に、二頭立ての白い馬車がとまってて、
「おお、モモ殿、見つけたぞ」
と、中から王様が転がるように出てきた。
そして
「ファイアドラゴン討伐の礼として用意していたものを渡し忘れたのだ…!」
と、王様は私に言って、手の平ぐらいのきれいな箱を取り出した。
「ネコ戦士モモ殿、ファイアドラゴン討伐への感謝の証とし、勲章を授ける」
と言って王様が開けた箱の中には、花のような形のきらきらした勲章が入っていた。
「あ、ありがとうございますにゃ…」
そう答えながら、私はこれをどとにつけようかと悩んだ。
装備の胸につけたら邪魔そうだし…と考えた私は、セーラーハットのような頭の装備にそれをつけてみた。
「かわいいにゃ?」
と王様に聞くと、王様は魂が抜けたような顔をした後、
「う、うむ…かわいいぞ…」
と言った。
それを見ていたギルド長が口にこぶしを当ててぶーっと吹き出した。
ギルド長の超レアな様子が見られて、私は大満足だった。
最近日が長くなってきたので、ネコは西の窓際で西日を浴びながら窓際でぬくぬくしてます。あったかそう…




